国土交通省は6月7日、全国主要都市の計100地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」<22年第1四半期>を公表。
22年第1四半期(22年1月1日~4月1日)の佃、月島、豊洲、有明といった、湾岸エリアの新築分譲マンションの価格動向を中心に、不動産鑑定士のコメントをピックアップしておこう。
東京都区部の地価動向に係る変動率の変化(次図)。
「東京都区部の地価動向」(P23)を元に作成
【佃・月島】新築マンション価格、緩やかな上昇傾向が続く
当地区の根強いマンション需要に支えられ、マンション分譲価格については緩やかな上昇傾向が続くと見込まれる。
地価動向
- 当地区は銀座等の都心への優れた接近性を備えるとともに、東京タワーや東京スカイツリー等のランドマーク施設や河川等に囲まれた変化に富んだ眺望が得られることから、分譲・賃貸ともに高層マンションの需要が強い。
- 新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降、人口・世帯数共に概ね横ばい傾向で推移しており、今後もBRTの本格運行や環状2号線の整備等の都市基盤整備による利便性の向上のほか、子育て関連施設などの生活利便施設の拡充等も進んでいることから、さらなる発展が期待される。
- 新型コロナウイルス感染症の影響は長期化しているものの、当地区への影響は小さく、新築マンションに対する販売状況は引き続き好調である。
- また、中古マンション市況についても活発な状態であり、需給動向に大きな変化は生じておらず販売在庫数でも安定した推移が見られる。
- 当地区の安定したマンション市況や周辺で見込まれる開発への期待感を背景に、新築及び中古マンション共にマンション分譲等の価格は緩やかに上昇している。
- このような状況から、デベロッパー等によるマンション開発素地に対する需要が強く、取引利回りは横ばいが続き、取引価格は緩やかな上昇傾向にあることから当期の地価動向もやや上昇で推移した。
将来地価動向
- 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化することにより市況悪化の懸念は残るものの、当地区の根強いマンション需要に支えられ、マンション分譲価格については緩やかな上昇傾向が続くと見込まれることから、将来の地価動向はやや上昇で推移すると予想される。
豊洲・有明地区、調査対象から外れる!
今期(22年第1四半期)から調査対象地区から外されたのは全国で20地区(次図)。都内の「住宅系地区」としては、4地区(品川、豊洲、有明、立川)が外れた。
じつは、有明地区は、「特に地価動向を把握する必要性の高い地区」として14年第1四半期から調査対象に入った(そのとき芝浦と恵比寿は調査対象から外れた)。豊洲地区のほうは、国交省HPに公開されている古い資料で確認すると少なくとも19年第4四半期には対象地域になっている。
「特に地価動向を把握する必要性の高い地区」から今回、有明地区と豊洲地区が外れたということは、両地区における新築マンション計画が枯渇していくことでも意味しているのか……。
【参考】豊洲・有明、前期(21年第4四半期)の概況
豊洲・有明地区が調査対象から外れたので、参考までに前期(21年第4四半期)の概況を記しておく。
※詳しくは、「湾岸エリアのマンション市場動向|21年第4四半期」参照。
【豊洲】新築マンション分譲価格、上昇傾向
販売状況は良好であり、マンション分譲価格は上昇傾向が続いている。中古マンション市場においても、供給量の少なさから、価格水準は引き続き上昇傾向で推移している。
【有明】新築マンション分譲価格、緩やかに上昇
マンション需要者の購入意欲は底堅く、マンション分譲価格は緩やかに上昇している。
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