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羽田新ルート|「都及び関係区市連絡会」(令和4年度 第1回分科会)コッソリ開催

「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」の「令和4年度 第1回分科会」が22年4月27日に開催されていたことをご存じだろうか。

※投稿22年6月3日(追記22年6月28日)


もくじ

都及び関係区市連絡会、今回もコッソリ開催されていた

東京都都市整備局の「羽田空港の更なる機能強化について」のページの「最終更新日」が6月2日17時、「令和4年6月2日」に変っていた。

どこが変わったのかと、目を皿のようにしてチェックしていくと、都市整備局の読みづらい「トピックス」に「都及び関係区市連絡会 分科会(第1回)」が追記されたことに気づく(次図)。

毎度のことであるが、トピックスに掲載された日付がないので、ぼーっと見ているだけでは、新着情報であることに気が付かない。また、都HPの新着情報にも都市整備局HPの新着情報にも掲載されていないので、一般の都民が知ることは不可能である(それが狙いか…)。

東京都都市整備局の「羽田空港の更なる機能強化について」

リンク先を開くと、「議事の要旨」にいつもは「意見なし」となっているのに、今回は3件の質疑応答が記録されている。

会議の概要
  • 会議名 令和4年度羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会 分科会(第1回)
  • 開催日 令和4年4月27日(水曜日)
  • 出席状況 東京都、港区、新宿区、江東区、品川区、目黒区、大田区、渋谷区、中野区、 豊島区、北区、板橋区、練馬区、江戸川区、国土交通省
  • 議事の要旨
    * 国土交通省より、騒音測定結果や部品欠落報告等についての説明
    * 国土交通省より、羽田大気環境調査報告についての説明。

【主な意見及び国の回答等】

  • 復便も進んできており、季節変わりに伴い南風運用が行われる日も多くなってきている。また、運航停止中だった国内線仕様のボーイング777型機に関して、再発防止策の実施を条件に商業運航の再開を許可するという動きもある。国においては、このような動向を踏まえて、引き続き騒音影響を少しでも低減するための措置、検討を進め、実施していただきたい。
    • ⇒プラット&ホイットニー式PW4000系列型エンジンを搭載したボーイング777型機について、必要な再発防止策の実施を条件に、商業運航再開を認めることとした。このような動きも踏まえつつ、短期測定も含めた騒音測定結果を細かく注視しながら、少しでも騒音軽減効果が図られないか引き続き検討を行う。また、取組について、地域の方により広くお伝えできるように、情報提供についてもしっかりと取り組んで参りたい
  • 3月13日に渋谷区のテニスコートに氷の塊が落下してきたということがあった。国で調査した結果、航空機に由来する可能性は極めて低く、航空機に由来するものであるとは断定できないと結論を頂いているが、今後、こうしたことは全くあり得ない現象とは言い切れないと考えている。飛行機の部品関係だけではなく、飛行中の自然現象に係る落下物対策にも力を入れていただきたいと強く要請させていただく。また、その対策について必要に応じて国から区民へもご説明いただきたい
    • ⇒2018年3月に策定した落下物防止対策総合パッケージにおける落下物防止対策基準では、部品だけではなく、氷塊についても対策を規定している。具体的には、航空機に手洗用の水を給水する場合には、給水時に吹きこぼれた水のふき取りを徹底すること、空中で航空機外に排水する排水口への氷塊の付着を防止するため、排水口に備え付けられているヒーターの定期的な点検を実施すること、整備士に対し、着氷を防ぐための点検ポイントを周知徹底すること等の対策を具体的に規定し、実施させることで、氷塊の落下防止を図っている。また、落下物対策については、ホームページ等で地域の方々に引き続き丁寧な情報提供に取り組んで参りたい
  • 固定化回避検討会について区に寄せられた意見として、現在検討中の経路を地図に重ねてほしいという要望があった。区としても、固定化回避検討会についてしっかり検討し、可能な限り早急に結論をお示しいただきたい。もう1つ、落下物対策の引き続きの取り組みをよろしくお願いしたい。
    • ⇒新飛行経路の固定化回避については、現在、安全性評価等の具体的な作業を鋭意進めているところである。固定化回避や騒音軽減につながる具体策が得られるよう、必要な作業を進めてまいる。 航空機からの落下物に対する懸念や不安の払拭を図るべく、2018年3月に落下物対策総合パッケージをとりまとめ、落下物対策を充実・強化している。今後も引き続き、落下物対策総合パッケージに盛り込まれた対策を関係者とともに着実かつ強力に実施することにより、落下物ゼロを目指して最大限取り組んでまいる。

【会議資料】

 

公開された「会議資料」(次図)は、国交省が「新飛行経路の定期運用報告(第12回」として6月2日に公表した資料とほぼ同じ。

国交省は4月27日に都及び関係区市連絡会で関係自治体に羽田新ルートの運用状況を報告し、約1か月後の6月2日に、都と示し合わせたように同じ日に関連資料を公表するという手順を踏んでいたことが分かる

会議資料

都民の怒りの矛先は都ではなく、国に向かっている!?

国交省の配布資料(6月2日公表)に無かったのは、「(資料7-2)都に寄せられた意見について」(PDF:394KB)。22年1月1日から2月28日までの問合せ件数(速報値)が掲載されている。2か月でたったの9件。

国や国が委託しているコールセンターに寄せされた件数と比較すると、都に寄せられた件数がいかに少ないかがよく分かる(次図)。

都民の怒りの矛先は東京都ではなく、国に向かっているのか。あるいは都民は東京都に羽田新ルートに係る対応を期待していないのか……。

羽田新ルートに関して寄せられた意見の件数

固定化回避検討会、第5回目はいつ開催されるのか

今回、都主催の分科会が開催されたからといって、昨年8月を最後に開催されていない固定化回避検討会がまもなく開催されると見るのは気が早いのではないか。

なぜならば、今回の「第1回分科会」の開催時期(4月28日)は、昨年度の「第1回分科会」開催時期(4月27日)とほぼ同じ。分科会の開催は、すでにルーチン化している可能性があるからだ。

「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」 開催状況

「議事の要旨」によれば、自治体から「固定化回避検討会(略)可能な限り早急に結論をお示しいただきたい」との要望に対して、国交省は「現在、安全性評価等の具体的な作業を鋭意進めているところ」とお茶を濁している。

昨年度の第2回分科会が開催されたのが8月30日であったことを勘案すると、固定化回避検討会が開催されるのは参院選(7月10日?)の後になるのか……。

そういえば、都主催の「航空機騒音調査に係る検討会」のほうも、昨年3月に開催されて以降、1年以上開催されていない。

【追記】開示請求で「出欠表(予定)」「議事概要」入手

※追記22年6月28日

東京都に開示請求していた文書(出欠表(予定)議事概要)を入手したので、以下ひも解く。

開示請求によって、「議事の要旨」では分からなかった「主な意見」の発言者が大田・渋谷・品川区であったことが判明した。

わざわざ開示請求しなくても済むように、「出欠表(予定)」と「議事概要」は最初からホームページに公開しておけばいいと思うのだが、なぜ東京都はそのようにしないのか。ひょっとして、最初の分科会(20年6月10日開催)のときにそれらの情報を非公開としたので、いまさらながら変更したくないという前例踏襲主義がそうさせているのだろうか……。

13区のうち4区(江東・太田・豊島・練馬)は代理出席

東京都からの参加は谷崎馨一 都市整備局理事。13区のうち、部長の代理で参加したのは、4区(江東・太田・豊島・練馬)。

※今回公開されたのは「出席表(予定)」(次表)なので、最終的に誰が出席したのかは確定できない。

出席表(予定)

大田・渋谷・品川区以外の出席者は置物状態…

議事概要では、「関係区の主な発言」として、江東・太田・豊島・練馬区から意見が出されたが、国交省からは従来通りの回答がなされたことが記されている。

※下記、原文には改行はないが、WEB上で読みやすくするために筆者にて必要に応じて改行した。

大田区からの騒音低減要望に対して、国交省は「少しでも騒音軽減効果が図られないか引き続き検討を行う」と常套句で返答。

「議事の要旨」には記されていなかった国交省としては言質をとられたくないであろう発言「大田区には、特にB滑走路西向き離陸の騒音について大変ご負担をおかけしていると認識している」(下記朱書き)が記録されている。

(騒音対策について)

大田区

  • 大田区より改めて要望する。
  • 大田区は、B滑走路西向き離陸の影響を大きく受けており、新飛行経路の運用開始から2年が経った今も、区民からは悲痛の声が届いている。
  • 航空局においては、B西離陸に関して運用開始当初より様々な対策を講じていただいているが、直近の航空会社の発表によると復便も進んできており、季節の変わりに伴い南風運用が行われる日も多くなってきている状況である。
  • また、先月、国交省のプレスリリースでは、運航停止中だった国内線仕様のボーイング777機に関して、再発防止策の実施を条件に商業運航の再開を許可するという動きもある。国においては、このような動向を踏まえて、引き続き騒音影響を少しでも低減するための措置、検討を進め、実施していただきたい

国交省

  • 大田区には、特にB滑走路西向き離陸の騒音について大変ご負担をおかけしていると認識している。
  • また、フラット&ホイットニー式PW4000系列型エンジンを搭載したボーイング777型機について、必要な再発防止策の実施を条件に、商業運航再開を認めることとした。
  • このような動きも踏まえつつ、短期測定も含めた騒音測定結果を細かく注視しながら、少しでも騒音軽減効果が図られないか引き続き検討を行う。また、取組について、地域の方により広くお伝えできるように、情報提供についてもしっかりと取り組んで参りたい。


渋谷区からは、3月13日に区内テニスコートに氷塊が落下した件について、飛行中の自然現象に係る落下物対策にも力を入れていただきたいと強い要請が出された。

(安全対策について)

渋谷区

  • 部品の欠落ではないが、3月13日に本区の本町のテ三スコー卜に氷の塊が上空かち落下してきたということがあった。同時刻ごろ、上空を羽田新飛行経路通過中の飛行機が通っていた。
  • 本区においては住民だけではなく、新飛行ルートに関心をもつ方々から不安な声が挙がっている。事実関係の調査を区から国に要請し、ご調査いただいた結果、航空機に由来する可能性は極めて低く、航空機に由来するものであるとは断定できないと結論をいただいている。
  • 今後について、こうしたことが全くあり得ない現象ということは言い切れないと区としては考えている。飛行機の部品関係だけではなぐ、飛行中の自然現象に係る落下物対策にも力を入れていただきたいと強く要請させていただく
  • また、その対策について必要に応じて国から区民へもご説明いただきたいと考えているが、いかがか。

国交省

  • 2018年3月に策定した落下物防止対策総合パッケージにおける落下物防止対策基準では、部品だけではなく、氷塊についても対策を規定している。
  • 具体的には、航空機に手洗用の水を給水する場合には、給水時に吹きこぼれた水のふき取りを徹底すること、空中で航空機外に排水する排水ロヘの氷塊の付着を防止するため、排水口に備え付けられているヒーターの定期的な点検を実施すること、整備士に対し、着氷を防ぐための点検ポイントを周知徹底すること等の対策を具体的に規定し、実施させることで、氷塊の落下防止を図っている
  • また、落下物対策については、ホームページ等で地域の方々に引き続き丁寧な情報提供に取り組んで参りたい。

渋谷区

  • 今後とも力を入れてやっていただきだいと思う。よろしくお願いします。


品川区からは、固定化回避検討会の検討結果を可能な限り早急に示すよう要望が出た。

国交省は「現在、安全性評価等の具体的な作業を鋭意進めているところである」として具体的な期限を示さなかった。

(その他)

品川区

  • 今回の議事とは直接は関係ないが、要望を申し上げる。
  • 固定化回避検討会について区に寄せられた意見として、現在検討中の経路を地図に重ねてほしいという要望があった。区としても、固定化回避検討会についてしっかり検討していただいて、可能な限り早急に結論をお示しいただきたい
  • それからもう1つ、落下物対策の引き続きの取り組みをよろしくお願いしたい。

国交省

  • 新飛行経路の固定化回避については、現在、安全性評価等の具体的な作業を鋭意進めているところである。固定化回避や騒音軽減につながる具体策が得られるよう、必要な作業を進めてまいる。
  • 航空機からの落下物に対する懸念や不安の払拭を図るべく、2018年3月に落下物対策総合パッケージをとりまとめ、落下物対策を充実・強化している。今後も引き続き、落下物対策総合パッケージに盛り込まれた対策を関係者とともに着実かつ強力に実施することにより、落下物ゼロを目指して最大限取り組んでまいる。

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