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羽田新ルート|VOICES共有情報「FEEDBACK」 No.2021-03号

パイロットが経験した不安全飛行を報告する「航空安全情報自発報告制度(VOICES)」。業務実施者間で共有すべき重要な安全情報が「FEEDBACK」として、年3回(3月、7~8月、11~12月)発行されている。

3月23日に発行された「No.2021-03号」(全62頁。179件)の中から、羽田新ルートに係る情報4件をピックアップしておいた。

略語が多用されていて門外漢には読みづらいが、パイロットらが羽田新ルートの難しさを訴えていることだけは理解できる。


もくじ

48. 突然の ILS RWY16?

「ATC(航空路管制)側としては、条件が合えば積極的に ILS RWY16L/R(悪天時のA/C滑走路到着ルート)を運用したい、という意図があるような気がしました」というコックピット内3人からの気になる所感。

羽田のアプローチ方式の変更についてです。

当時私は OBS シートでした。当日の HND の TAF は 06Z を境に、梅雨前線通過のため、「北風 10kt + Low Ceiling + SHRA」から「強めの南南西風 + Low Ceiling + SHRA」に変化を予報。ただ、降下直前の ATIS では、「160/3kt 3,000m FEW002, BKN005」程度で ILS Z RWY34L/R の運用をしていました

PF と PM は「しばらく 34L/R で運用、南風が強まってきたら 22、23 になるだろう」という読みのもとで、34L/R、22、23 の四種類の ILS の準備をしていました。OBS シートの私も「そこまで準備しておけば心配なし」との考えでしたが、STAR の開始点の POLIX 手前(時刻で 0545Z 前後)で東京アプローチに承認されたのは“Cleard for POLIX R Arrival, Expect ILS RWY16R Approach”ということでした。

コックピット内 3 人の所感に過ぎませんが、ATC 側としては、条件が合えば積極的に ILS RWY16L/R を運用したい、という意図があるような気がしました。もちろん、Tailwind 下での 34 アプローチに対する不具合があって急遽 RWY CHG となったのかもしれませんし、G/A が発生して RWY CHG ということもあります。

しかし、もし予め ATC 側であるタイミングでのアプローチ方式の変更を予定しているのであれば、事前に ATIS で通報していただくことはできないものでしょうか?

例えばロンドンヒースローなどでは定期の RWY CHG について事前に報じていたと思います。羽田に関しても“ILS RWY16L/R IN USE FROM 0600z”とか報じていただければ、降下前の忙しい時期に「この風、この VIS だと RWY22?16?」という推理ゲームをしなくて済むかと思います

また、その進入角度が大きく取り上げられている RWY16 アプローチですが、個人的には Threshold のDisplace が非常にスレットです。社内レポートでも 16R の A6 以南が滑りやすいとの報告がありましたが、折角の 3,000m RWY が勿体ない。

騒音対策で Path を上方に移動させる意図だったように記憶していますが、これでどれほど騒音対策になるのでしょうか?むしろ有効滑走路長減少による安全マージンの低下の方が影響は大きいように思います。今後アフターコロナで長大路線からの Heavy Weight 機の着陸も増えるかと思いますので、懸念されるところです

ちなみに、今回の着陸では、国際線ターミナル側に右 Turn で出るHigh Speed の L5 が Threshold から6,000ft 足らずなので、「L5 を逃すと左 Turn で国内線ターミナル側に一度出る可能性が高い」と 3 人で確認していましたが、実際 ATC から指示されたのは“Turn Right at L4 or L3”でした。(たしかにこっちの方が嬉しいですけど、予想していなかっただけにスレットと言えばスレットです。)

突然の ILS RWY16?


VOICES コメント

羽田のように複数の滑走路があり、多くの RNAV STAR Profile を持つ空港では、使用滑走路が事前に余裕を持ってわからないと、FMS のセットアップなどパイロットの Workload が高くなります

ATIS だけではなく、タイムリーな情報共有を構築してほしいですね。

また、羽田 RWY 16R/L に関する運用は、パイロットからの報告で改善されている部分もあります。今後も様々なヒヤリハット情報をよろしくお願いします。

49. Alternate Altitude Setting であわや・・・

羽田新ルートのC滑走路到着ルートに進入中の出来事。

羽田空港に向け RNAV RWY16L へ OSHIMA L ARRIVAL にて Approach 中、“Direct SNARE、Descend &Maintain 6,000”の指示を受け Open Descent で降下していた。

6,000 に到達する直前に“Descend via STAR to 4,500,CLR for RNAV RWY16L”を指示された(SNARE は Mandatory 6,000)。

Approach Clearance が来たら ALT を 1,500に Set するという Procedure に飛びつき、ALT** 注)の状態で ALT Knob を 1,500 に Set してしまい、ALT Modeが V/S Mode になり降下を継続した。

PM が即座に Assertion/ALT Push Button を Push してくれたためことなきを得た

Alternate Altitude Setting を実施する場合は、「何が」「どうなったら」高度をセットするのかということを PF/PM 間でしっかりと共有し、実際の操作の前には PM が Assertion を行えるだけの余裕(ゆっくりとした操作)が必要だということを再認識した。

  • 注)ALT*:Autoflight System が Altitude Selector に Set した高度を捕捉すると ALT*が表示され、しばらくすると*(Star)マークが消え ALT Hold Mode になります。
  • メモ
    PM(パイロットモニタリング)、PF(パイロットフライング)。PFは主に操縦を担当し、PMはモニターや通信などを担当。機長・副操縦士のどちらかがPFを、もう一方がPMを担当。

    運航乗務職-業務内容の紹介-|ジェイエア

50. 羽田 RWY34L のハンガーウェーブと滑走路運用について

台風通過直後、羽田新ルートのA滑走路到着ルートに進入中の出来事。

羽田空港は台風通過直後で 360°から 30~40kt の強風。

西からの到着で通常は RWY 34L ですが、1nm Finalに 20kt Loss の Windshear Alert、夜間で RCLL&RTZL OUT、雨の上がりかけで Non-Grooved と不利な条件が揃い過ぎています。

先行機は軒並み 34R を要求しますが、"34R だと 20 分待ちですよ”と管制官に言われやむなく 34L にしたり、待っても 34R にしたりと、人それぞれ。

混雑する交信を縫って我々が APP にコンタクトした時には Alert も消え雨も上がっていたので 34L に進入しました。ハンガー越えの気流のせいか 500ft 以下でかなりの Rough、200ft で急激な速度低下、Target SPD は上限の Vref+15 にしていましたが Vref を切りそうになり Windshear Warning が鳴ってゴーアラウンドしました

前乗務機種の上限 Vref+20 なら、とか定時性に囚われた部分もあり悔やまれる一方、滑走路運用にも疑問が残りました。このような状況では方面別運用に拘らず、例えば 34L をハンガーや灯火の影響が少ない離陸専用、34R を着陸専用とするなどできないものでしょうか。

台風接近中だった昼間に出発した際は、横風オーバーが明らかなのに西行きの離陸滑走路が 05でヒヤヒヤ、程なく 34R になりました。もちろん遅れても安全優先で所望の滑走路を要求すべきですが、方面別運用に反する要求であるが故に後回しになるのか、その滑走路を使用する機に関しては公平に扱われるのか分からないのも要求をためらう一因です。

管制官も滑走路運用で苦心されていると思いますが、気象特性も含め参考にしていただければと思います。

 

VOICES コメント

投稿者の考察通り、定時性よりも最終的には安全サイドに行動を取るべきですね。

しかし、この問題は、管制だけの裁量で対応できる範囲は限られています。空港、空域、航空会社の運航ポリシーなど様々なステークホルダーが協力して考えていく必要がありますね。

65. Go Around で…

羽田新ルートのA滑走路到着ルートに進入中の出来事。

Airport Standby からの起用で、羽田-新千歳をアサインされた帰りの夜間の新千歳-羽田便でのことです。

新千歳での Turn Around で運航情報を確認すると、午前中の TAF では到着の 1100Z 頃には TEMPO 220/25G35だったものから、06Z のものでは 330/05 の STEADY に変わっていた。

RWY 34R になるかもしれないので、RWY 23 で作成されていた Flight Plan からの変更分と、Long Vector が予想されるため変更後の Flight Plan に対してさらに 3,000lbs を Up しました。

降下の 15 分前に ATIS、Arrival Area Information、ALWIN を取ってもらうと、地上の風は 330/05 だが上空は南西風が強く、1,000ft 以下での風の変化が予想できました。RTE1 にILS Z 34R、RTE2 に ILS Z 34L を Set して Briefing を行いました。

降下するにしたがい南西風が強くなりました。TOKYO APP から RWY 34L への変更は可能かと尋ねられラッキーと思い Accept したのが運の尽きでした

CREAM を過ぎてから ARLON にかけ 5,000ft で LEVEL で飛び Flap を下して早めに安定させたのですが、5,000ft で 230/50kt 前後の風も相まって他機に TCAS RA を生じさせてしまったようでした。

RWY 34L の Finalでも南西風が強く、AP をできるだけ長く使って降下する旨を表明しました。

降下するにつれ雨足が強まり、500ft AGL 以降はワイパーの効果も少なく 300ft AGL では RTHL と PAPI しかはっきり見えず、220/35kt に近い風で Wing Crab Angle を 15°近くとっていたため安定した着陸ができないと判断し GA しました。

AP を使用したまま GA し 400ft AGL で LNAV を繋いだ際に HDG が右に動き始め、TWR の指示の Left HDG200 4,000ftが聞き取れず、副操縦士に確認してもらいました。機の動きに対し直観的に HDG Knob を右に回し、HDG SELSW を押してしまったのですが、確認してもらったあと副操縦士に「左です」と言われすぐに左に回しました。

RWY34L なので左に向けなければならないところ風に流されたこともあり右に航跡が変わったことで、TOKYO DEP に移管されて Make Left Turn と強く指示を受けました。すぐに HDG Knob を左に 200 まで回しました。その後 5,000ft への上昇を指示され、ILS RWY22 へ誘導されましたがすぐに ILS RWY23 へと変更され着陸しました。

RWY23 着陸時の風は 1,000ft では 210/40kt、地上は 210/20kt でした。FLT 終了後 Debriefingではこの件と次にこのようなことにならないためにどうしたら良いかを話し合いました。私として悔やまれるのは、1 回目の RWY34L の進入時に GA 後の旋回方向について Final であまり言及せず PM に対して Monitorの方向性を示すことができなかったこと、LNAV を使用したままにしておけばよかったのに TWR の指示の確認を待たず HDG SEL SW を押してしまったことです。

 

VOICES コメント

想定と異なる状況になったとき、直感的な行動は思わぬエラーを助長する可能性があります。特にAutomation 使用時には、Lateral または機体の Vertical Mode を変更する際に注意が必要ですね。

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2021年6月1日、このブログ開設から17周年を迎えました (^_^)/
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