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羽田新ルート|離陸ルートでバードストライク事故【追記】

8月29日午後5時30分ごろ、羽田空港を離陸した便でバードストライクによる機体損傷が発生。国土交通省航空局は航空事故と認定。もし川崎コンビナート上空を通過するルートで発生していたら……。

※投稿20年9月2日(追記21年8月31日)


もくじ

羽田上空でバードストライク、国交省が航空事故認定

8月29日午後5時30分ごろ、羽田空港を離陸したスカイマークの羽田発福岡行きBC21便でバードストライクによる機体損傷が発生。乗客乗員76人にけがはなかったが、国土交通省航空局から航空事故に認定された。

スカイマーク、羽田上空でバードストライク 国交省が航空事故認定

8月29日午後5時30分ごろ、羽田空港を離陸したスカイマーク(SKY/BC)の羽田発福岡行きBC21便(ボーイング737-800型機、登録記号JA73NM)で鳥の衝突(バードストライク)による機体損傷が発生した。乗客乗員76人にけがはなかった。同機は福岡着後、国土交通省航空局(JCAB)から航空事故に認定された

9月1日にスカイマークが公表した報告書によると、福岡行きBC21便は8月29日午後5時21分に羽田を出発。同30分に羽田空港のA滑走路(RWY16R)を離陸し、羽田空港の東南東約15キロメートル、高度約3300メートル付近を上昇中に鳥と衝突した。午後6時に同社の運航管理を担う「FOC部」に、機長がバードストライクの可能性があると報告した。(以下略)

Aviation Wire 9月1日

スカイマーク社はホームページで9月1日、バードストライクによる機体損傷を国土交通省航空局へ報告したことを伝えている(次図)。

バードストライクによる機体損傷に関する国土交通省航空局への報告について|スカイマーク
バードストライクによる機体損傷に関する国土交通省航空局への報告について|スカイマーク

バードストライクはどこで発生したのか?

Aviation Wireはスカイマークが公表した報告書によるとして、「羽田空港の東南東約15キロメートル、高度約3300メートル付近を上昇中に鳥と衝突した」と報じている。「羽田空港の東南東約15キロメートル」「高度約3300メートル付近」とは具体的にどこなのか?

flightradar24の当日のデータをもとに確認してみよう。

当該機はA滑走路を南に向けて離陸したあと、左旋回しながら千葉県市川市の上空から陸域に入り、さらに左旋回し、江戸川区、江東区を通過し、皇居上空を突き切り、福岡空港に向かっている。

 

さて、バードストライクが発生した位置なのだが、2か所が考えられる。

一つは「高度約3300メートル付近」から推定した位置。高度3300mは10,827ft。当該機が約10,000ftを飛行していた位置は市川市に近い(次図)。ただ、「羽田空港の東南東約15キロメートル」とは整合していない。

高度約3300メートル付近

そもそも地上3300mを飛んでいる鳥って、何なのか。バードストライクを頻繁に発生させているトビなのか(次図)。

いくら猛禽類の飛翔高度が高いからといってトビが3千mを超えて飛ぶのだろうか。

2019年 バードストライク データ
2019年 バードストライク データ|国交省(P11)(0.9MB

 

もう一つは、「羽田空港の東南東約15キロメートル」から推定した位置。このときの当該機の飛行高度は約5450ft(約1660m)だから「高度約3300メートル付近」とは整合していない。

羽田空港の東南東約15キロメートル

一体どちらの地点でバードストライクが発生したのだろうか……。

もし川崎ルートで発生していたら

運輸安全委員会HPには本件事案の概要として「東京国際空港の東南東約15キロメートル、高度約3,300メートル」と記されている(次図)。鳥の種類の記載はない。調査状況は「調査中」となっているので、今後の報告が待たれる。

調査中の案件 | 航空 | 運輸安全委員会

 

「鳥衝突による機体損傷事案」は毎年全国で50件前後発生している(次表)。

鳥衝突による機体損傷事案
2019年 バードストライク データ|国交省(P16)(同上)

 

また、国交省が運営している鳥衝突情報サイトに公開されている「鳥衝突件数(2015~2019年)」データから、羽田空港で過去5年間で発生したバードストライク838件は、全国合計7,959件の11%を占めていることが分かる。つまり、今回羽田で発生したバードストライク事故はレアなケースではないということだ。 

 

今回のバードストライク事故は、羽田新ルート運用中のA滑走路離陸ルートで発生した(次図)。

羽田新ルート運用中のA滑走路離陸ルートで発生した
羽田空港飛行コース「航跡図」8月29日17~18時

 

もし、B滑走路から離陸し川崎コンビナート上空を通過するルートで発生していたらどうなっていたのか。もっと大騒ぎになっていたのかもしれない。

※9月7日バードストライクを起こしたスカイマークBC21便(ボーイング737-800型機)の航跡動画を追記。


羽田新ルート出発機のバードストライク航跡動画 - YouTube

※国交省が運営している「羽田空港飛行コース」の航跡動画をもとに筆者作成した。

【追記】

運輸安全委員会、 「経過報告」を公表

※21年8月31日追記

運輸安全委員会が21年8月26日に公表した「経過報告」をひも解く。

事故発生から1年以内に調査を終えることが困難なので経過報告するとされている。

スカイマーク株式会社所属ボーイング式737-800型JA73NMの航空事故調査について(経過報告)

運輸安全委員会は、令和2年8月29日、東京国際空港を離陸したスカイマーク株式会社所属ボーイング式737-800型JA73NMが、離陸上昇中に鳥衝突によって機体を損傷した航空事故について、令和2年8月から原因を究明するための調査を進めてきたところであるが、事実情報に関する情報の入手、原因の分析及び再発防止策の検討のために、さらに一定の時間を要する状況である。このため、本件調査については、本事故発生日から一年以内に調査を終えることが困難であると見込まれる状況にあることから、運輸安全委員会設置法第25条第4項の規定に基づき、以下のとおり本調査の経過を報告する。(以下略)


バードストライクが発生した時刻・場所は「17時34分16秒、同機がPLUTO付近を高度8,500ft、速度240kt で上昇中」であったことが分かる。

(1)飛行の経過

(前略)同機は、駐機場を離れてから事故発生まで異常はなく、指定された標準計器出発方式による離陸後、管制官からの指示に従い、巡航高度FL2400に向け上昇していた。17時34分16秒、同機がPLUTO付近を高度8,500ft、速度240kt で上昇中、機長席の左下方に衝撃音があり、その後コクピット内に異臭が感じられたため、運航乗務員は計器類及びシステムのチェックを実施し、両エンジン、与圧等すべてにおいて異常がないことを確認した。(以下略)

高度8,500ftとはメール換算で2590.8m。スカイマーク社が公表したとされる当初の報告書の「高度約3300メートル付近」とは異なっている。

運輸安全委員会が公表した「推定飛行経路図」は次図。

推定飛行経路図

運輸安全委員会は、「引き続き、分析等によって得られた結果を踏まえて、本航空事故の原因等調査を進める」としている。

4.今後の調査

本航空事故の原因の究明及び再発防止策の検討のため、これまでの調査で得られた情報を基に、飛行解析及び衝突した鳥種特定など、更なる事実確認や分析を行う必要がある。

運輸安全委員会は、引き続き、分析等によって得られた結果を踏まえて、本航空事故の原因等調査を進める。また、原因関係者からの意見聴取及び調査参加国への意見照会を行う。

ボーイング式737-800型 鳥衝突による機体損傷 | 運輸安全委員会

スカイマーク社「3300メートル」と回答

※20年9月6日追記

Aviation Wireは9月6日、読者からの指摘を受けて、スカイマークに改めて確認したがバードストライク高度が3300mであるとの回答があったことを報じた。

複数の読者の方から「3300フィート(1006メートル)」ではとの指摘がありましたが、スカイマークに改めて確認したところ「3300メートル(1万フィート)」と回答がありました。

Aviation Wire 9月6日

それでは羽田空港の東南東約15kmとの整合が取れない。運輸安全委員会の調査結果報告が待たれる。

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