東日本大震災でのマンション被害を踏まえ、大都市では行政による防災対応に係るマンション支援策として登録・認定制度が創設された。
その後の状況を適宜フォローしていく。
※投稿22年2月7日(更新25年8月14日)
首都圏
東京とどまるマンション
東京都は23年1月27日、「東京都LCP住宅」を「東京とどまるマンション」に名称変更した。名称の登録変更に伴い、下記登録ステッカーのデザインも変更する予定( 民間住宅部 マンション課 マンション施策調整担当に電話確認済み23年1月30日)。
概要
- 東京都では、停電時でも水の供給やエレベーターの運転に必要な最小限の電源の確保(ハード対策)や、防災マニュアルを策定し、居住者共同で様々な防災活動を行う取組(ソフト対策)によって、自宅での生活を継続しやすい共同住宅(マンション等)を「東京都LCP(Life Continuity Performance: 居住継続性能)住宅」として、普及を図っている。
登録状況:273件(24年6月30日現在)
※登録件数は、2025年5月31日現在653件(次図)。

※上図件数の合計は651件(登録時期不明の1件は含まない)。
メモ
- 東日本大震災が発生した翌年度、12年4月20日に施行された「東京都LCP住宅情報登録・閲覧制度」に登録された件数はたったの6件(21年11月29日現在)。うち3件は制度が改正された20年6月以降の登録。
- 制度創設当初、非常用発電機の設置や排熱利用の努力義務、15年以上の機器委託期間など、登録に立ちはだかる“高すぎる壁”があった(その後、壁は取り払われた)。
- 新制度(東京とどまるマンション)では、防災備蓄資器材の補助や蓄電池・発電機・浸水対策の補助といった助成制度が導入されて、登録件数は一気に増加した。
中央区 防災対策優良マンション認定制度
マンションの防災力の向上や地域とのつながりを一層高めるため、防災組織の結成や防災マニュアルを作成するなどソフト面の防災対策を積極的に取り組むマンションを「中央区防災対策優良マンション」として認定する制度。
住宅の戸数が10戸(専用部分の床面積が1戸当たり40m2以上)以上のマンションが対象。
認定を受けたマンションは、2025年5月15日現在114件(次図)。

すみだ良質な集合住宅認定制度・防災型
集合住宅の居住に関する様々な機能について、ハード・ソフト両面において特に配慮された集合住宅を、「すみだ良質な集合住宅」として認定する制度のうち、防災や災害に配慮した機能を有し、災害発生から3日間、避難所に行かず生活ができる集合住宅を認定。
2024年5月23日現在、「すみだ良質な集合住宅」として認定された19件のうち14件(賃貸11件+分譲3件)が「防災型」として認定されている。

荒川区 災害時地域貢献建築物
日頃から自主的に地震等の災害に備え、自己の安全の確保に努める「自助」と、相互に協力して地域の安全確保に努める「共助」による震災対策を促進するとともに、水害時に近隣住民の一時の避難先となる建物を「災害時地域貢献建築物」として認定することにより、地域防災力の向上を図る制度。
新耐震基準(昭和56年6月1日施行)を満たしていて、5階建て以上かつ延床面積1,000m2以上の建築物が対象。
認定されたのは、2024年10月11日現在、マンション・アパート15件。
よこはま 防災力向上マンション
制度創設の背景として、近年、台風や豪雨などの風水害が激甚化・頻発化。特に、令和元年東日本台風(2019年、台風第19号)では、大雨に伴う内水氾濫などにより、首都圏の高層マンションにおいて電気設備が浸水し、居住継続が困難になるという被害が発生したことなど。
災害に強いマンションの形成と周辺地域を含めた防災力の向上を図るため、防災対策を実施しているマンションを「よこはま防災力向上マンション」として横浜市が認定。
新築・既存、分譲・賃貸に関わらず、すべてのマンション(共同住宅)を認定対象としている。
認定されたのは、2024年12月25日現在54件(次図)。

川口市 防災体制認定マンション
来るべき災害に備え、耐震性など防災性能に優れたマンションの整備を促進するとともに、マンションにおける防災活動のさらなる充実を図るために、防災体制が優れた分譲マンションを、申請に基づいて川口市が独自に評価・認定する制度として、「川口市 防災体制認定マンション制度」が2022年4月1日に創設された。
対象は、川口市内にある既存の分譲マンション(設計、施工段階にあるマンション、賃貸マンションは対象外)。認定の有効期間は認定日及び更新日から2年間。
認定を受けたマンションは、2025年6月11日現在3件。3件のうち2件は更新。

関西圏
大阪府 防災力強化マンション

大阪府の認定プレート仕様
概要
- 防災性の向上と災害に強い良質なマンション整備を誘導するため、耐震性や耐火性など建物の安全性に関する基準に適合することに加え、被災時の生活維持に求められる設備・施設等の整備など、防災力が強化されたマンションを大阪府が認定する制度。12年12月3日要綱施行。
認定状況:8件(23年3月14日現在)

メモ
- 大阪市に3年遅れて創設された制度。大阪市以外の府内が対象。
- 60mを超える超高層建築物における長周期地震動対策については、現在国で検討しており、その検討結果が示されていないため、現時点では認定対象外とされている(よくあるご質問Q24|大阪府)。
- 小規模賃貸(総戸数25戸、5階建て、高槻市)が18年5月31日に認定されて以降、5年ぶりに1件追加。PR不足なのか、認定メリット(住宅ローンの金利引き下げ等)に魅力が感じられないのか……。
大阪市 防災力強化マンション

大阪市の認定プレート(設置例)
概要
- 防災性の向上と災害に強い良質なマンションの整備を誘導するため、耐震性や耐火性など建物の安全性に関する基準に適合することに加え、被災時の生活維持に求められる設備・施設等の整備、住民による日常的な防災活動等の実施など、ハード・ソフト両面で防災力が強化されたマンションを大阪市が認定する制度。09年5月19日要綱施行(09年8月から受付開始)。
- 同要綱・基準とも頻繁に改正されている。直近の改正は24年4月1日(24年8月16現在)。
認定状況:58件(25年1月14日現在)

メモ
- 要綱・基準とも頻繁に改正されている割には、認定件数増えず。
岡山市 防災力向上マンション認定制度
マンションにおける防災対策の推進と地域とのつながりを高めるため、防災組織の設置や防災マニュアルの作成、地域への一時的な避難場所の提供など、ソフト面の防災対策に積極的に取り組むマンションを「岡山市防災力向上マンション」として認定。
2024年4月1日に創設された。
対象は、2以上の住⼾を有した3階建て以上の建築物(分譲・賃貸を問わない)。
認定を受けたマンションは、2024年9月9日現在3件。
その他
杜の都 防災力向上マンション

認定マーク(6つ星の例)
概要
- マンションにおける防災活動のさらなる充実や建物性能の向上を図ることを目的に、マンションの防災力を独自に仙台市が認定する制度。
認定状況:64件(24年7月18日現在)

※上図は、「防災性能」認定マンションを対象とした。「防災活動」のみの認定マンションは含まれてない。
メモ
- マンションの防災力を6つ星(「防災性能」「防災活動」それぞれ最大で3つ星)で認定するという手法が特徴。
- 要綱・要領・基準とも頻繁に改正されているが、認定件数は21年以降あまり増えていない。
主な自治体の「防災対応マンション」認定件数の比較
主な自治体の「防災対応マンション」の累計認定件数の推移を次図に示す。
東京都の件数が突出していることが分かる。これは2023年1月に「東京都LCP住宅」から「東京とどまるマンション」に制度を変更したことの影響が大きい。
横浜市、大阪市、仙台市の累計登録件数はほとんど伸びておらず60件に届かない。大阪府に至ってはたったの8件。

※仙台市は、「防災性能」認定マンションを対象とし、「防災活動」のみの認定マンションは含まれてない。
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