東日本大震災でのマンション被害を踏まえ、大都市では行政による防災対応に係るマンション支援策として登録・認定制度が創設された。その後の状況を適宜フォローしていく。
※投稿22年2月7日(更新23年8月22日)
東京とどまるマンション
※追記23年1月29日
東京都は23年1月27日、「東京都LCP住宅」を「東京とどまるマンション」に名称変更した。
名称の登録変更に伴い、下記登録ステッカーのデザインも変更する予定( 民間住宅部 マンション課 マンション施策調整担当に電話確認済み23年1月30日)。
概要
- 東京都では、停電時でも水の供給やエレベーターの運転に必要な最小限の電源の確保(ハード対策)や、防災マニュアルを策定し、居住者共同で様々な防災活動を行う取組(ソフト対策)によって、自宅での生活を継続しやすい共同住宅(マンション等)を「東京都LCP(Life Continuity Performance: 居住継続性能)住宅」として、普及を図っている。
登録状況:17件(23年7月28日現在)
メモ
- 東日本大震災が発生した翌年度、12年4月20日に施行された「東京都LCP住宅情報登録・閲覧制度」に登録された件数はたったの6件(21年11月29日現在)。うち3件は制度が改正された20年6月以降の登録。
- 旧制度では、外部からの電力供給が途絶した場合でも、運転可能な常用発電機が設置されていることや、発電に伴い発生する熱の利用に努めることなど、登録するためのハードルは極めて高かった。
- 新制度では、常用発電機の排熱利用努力義務や同機委託期間15年以上規定が削除されるなど、登録のハードルが多少下がった。登録件数は今後増えるのか……。
大阪府 防災力強化マンション
概要
- 防災性の向上と災害に強い良質なマンション整備を誘導するため、耐震性や耐火性など建物の安全性に関する基準に適合することに加え、被災時の生活維持に求められる設備・施設等の整備など、防災力が強化されたマンションを大阪府が認定する制度。12年12月3日要綱施行。
認定状況:8件(22年2月28日現在)
メモ
- 大阪市に3年遅れて創設された制度。大阪市以外の府内が対象。
- 60mを超える超高層建築物における長周期地震動対策については、現在国で検討しており、その検討結果が示されていないため、現時点では認定対象外とされている(よくあるご質問Q24|大阪府)。
- 小規模賃貸(総戸数25戸、5階建て、高槻市)が18年5月31日に認定されて以降、5年ぶりに1件追加。PR不足なのか、認定メリット(住宅ローンの金利引き下げ等)に魅力が感じられないのか……。
大阪市 防災力強化マンション
概要
- 防災性の向上と災害に強い良質なマンションの整備を誘導するため、耐震性や耐火性など建物の安全性に関する基準に適合することに加え、被災時の生活維持に求められる設備・施設等の整備、住民による日常的な防災活動等の実施など、ハード・ソフト両面で防災力が強化されたマンションを大阪市が認定する制度。09年5月19日要綱施行(09年8月から受付開始)。
- 同要綱・基準とも頻繁に改正されている。直近の改正は21年4月1日(22年2月7日現在)。
認定状況:57件(23年6月12日現在)
メモ
- 大阪府と異なり、要綱・基準とも頻繁に改正され、認定件数も一定数維持されていたが、22年以降は認定数増えず。
杜の都防災力向上マンション
認定マーク(6つ星の例)
概要
- マンションにおける防災活動のさらなる充実や建物性能の向上を図ることを目的に、マンションの防災力を独自に仙台市が認定する制度。
認定状況:60件(23年3月24日現在)
メモ
- マンションの防災力を6つ星(「防災性能」「防災活動」それぞれ最大で3つ星)で認定するという手法が特徴。
- 要綱・要領・基準とも頻繁に改正され、認定件数も一定数維持されている。
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