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羽田新ルート|性能準拠型進入方式とは、固定化回避に係る技術的方策検討会との関係は?

国交省航空局は8月6日、「空港周辺における安全かつ効率的な運航を実現するための性能準拠型進入方式等に関する調査」に係る入札公告を出した。

性能準拠型進入方式とは何なのか。羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会の検討内容と関係はあるのか。以下に整理しておいた。


もくじ

性能準拠型進入方式等に関する調査、入札公告

国交省航空局は8月6日、「空港周辺における安全かつ効率的な運航を実現するための性能準拠型進入方式等に関する調査」に係る入札公告を出した。

入札公告(航空局)

  • 提出期限:21年9月13日16時00分
  • 開札日:21年9月14日15時00分
  • 履行期間:契約締結日の翌日から22年3月22日まで

※一般競争入札

発注概要

  • 欧米等において導入が検討/運用が行われている新たな進入方式等に関する調査、国際会議への出席による情報収集等を行い、我が国への新しい運航方式等の導入に係る検討を実施する。

性能準拠型進入方式とは何なのか。羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会の検討内容と関係はあるのか。以下に整理しておいた。

性能準拠型進入方式とは

まずは性能準拠型進入方式の確認。

ネットでググってもなかなか分かりやすい説明が見当たらないなかで、比較的分かりやすいのが電子航法研究所 上席研究員の次の性能準拠型航法(PBN)の説明。

性能準拠型航法PBN:Performance Based Navigation)

  • (前略)航空機の性能が高くても(たとえば、管制間隔の短縮可)、関連機の性能が低い場合は低い性能による基準が適用されるため、性能の高さが活かせず、空域あるいは時間を無駄にしたり(出発遅延)、経済的な高度を飛行できない場合がある。
    PBN運航とは、航空機の性能によって運航できる航空路や空域を分離する(高性能の航空機に限定する)ことである。これにより空域全体の管制効率の向上が期待できる。

(独)電子航法研究所 上席研究員福島幸子「いろいろな航法」情報処理 Vol.53 No.10 2012年1月(PDF:1.2MB

さらに理解を補うために見つけたのが、国交省のイラスト。 

性能準拠型の運用
 国交省「第6回 将来の航空交通システムに関する研究会」09年12月8日 参考資料P49

 

性能準拠型航法とは、装備要件(Sensor-base)ではなく性能要件(Performance-base)によって規定された航法。性能要件さえ満たせばセンサー、機器はある意味どんなものでもよいので、センサーに依存したルートや方式の維持管理に係るコストの低減が期待できる(参考:PBN- アビオニクス ソフトウェア)。

※性能準拠型航法は、Performance-based navigation - Wikipedia(英文)が詳しい。

性能準拠型進入方式等に関する調査、昨年度も実施

じつは、「空港周辺における安全かつ効率的な運航を実現するための性能準拠型進入方式等に関する調査」は昨年度も実施されている。

一般財団法人運輸総合研究所が1,750万円で落札(95.0%)しているのである(競争入札経過調書)。

このとき運輸総合研究所が受託した業務の概要は、同所の「令和2年度事業報告書」で知ることができる。性能準拠型進入方式の導入課題を整理したとされている。

空港周辺における安全かつ効率的な運航を実現するための性能準拠型進入方式等に関する調査(ワシントン国際問題研究所)

  • 航空機の機上装置の性能に応じた新たな進入・出発方式や遠隔操縦航空機システムが有人航空機と同一の空域・空港を飛行することの実用化に向けた調査を行い、これらの導入に係る課題を整理した。

「令和2年度事業報告書」P19

ちなみに、同所は一昨年度にも同様の業務を実施している。

性能準拠型進入方式に係る運航要件に関する調査(ワシントン国際問題研究所)

  • 機上装置・地上施設の双方により達成される性能に応じて可能となる航空機の新たな進入方式・出発方式を調査・検討した。

「令和元年度事業報告書」P18

まとめ

国交省航空局は昨年度に続いて今年度も「性能準拠型進入方式等に関する調査」を一般競争入札にかけている。

昨年度は、一般財団法人運輸総合研究所が1,750万円で落札(95.0%)し、性能準拠型進入方式の導入課題を整理。今年度の落札はまだ先だが(9月14日)、調査内容には国際会議への出席を踏まえた海外調査が含まれている。

ということなので、この調査は、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会の検討事項のうち「海外動向等調査」との関係があるのではないのか、というのが筆者の見立て。

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