東京都が平日の毎日公表している羽田新ルートに係る騒音モニタリングの測定結果をチェックしていて、妙なことに気がついた。7月30日は「南風時」とされているのに騒音値の記載がないのである。
原因を調べた結果を以下に整理しておいた。
都の騒音モニタリング結果、7月30日に騒音値の記載がない
東京都が平日の毎日公表している羽田新ルートに係る騒音モニタリングの測定結果をチェックしていて、妙なことに気がついた。
7月30日は「南風時」とされているのに騒音値の記載がない(次図)。
15時から17時頃にかけて都心に厚い雨雲
気象庁のホームページで7月30日の羽田の気象状況を確認してみた。
羽田新ルートの運用時間帯である15時から18時にかけて、主に南風が吹いているが風速は6m/s未満と強くない(次図)。
これはどうしたことかと思いながら、日本気象協会のホームページをひも解いてみたら、同日は関東では所々で雨雲や雷雲が発生していたことが報じられていた。
東京都心 気温グッと下がり25℃台 夜遅くまで局地的な雷雨や非常に激しい雨に注意
30日、関東では所々で雨雲や雷雲が発生しています。東京都心の気温はグッと下がり、15時は25℃台になりました。厳しい暑さは解消されている所がありますが、夜遅くにかけて、雨の降り方に注意が必要です。
さらに日本気象協会のホームページで7月30日の「東京都の雨雲レーダー」を見てみると、15時から17時頃にかけて都心には厚い雨雲に覆われていく様子が動画で描かれていた。
ひょっとして、この都心の厚い雨雲が7月30日に騒音値の記載がないことの遠因なのか。
7月30日は南風なのに羽田新ルートが使われていなかった
国交省が運営しているサイト「羽田空港飛行コース」で公開されている7月30日の航跡図をチェックしてみた。
15時から19時まで、1時間ごとの航跡図を見てみると、いずれも羽田新ルートが使われていなかったことが確認できる(次図)。
「羽田空港飛行コース」で公開されている「過去の運用状況」データをひも解いてみると、15:10から15:30は「ILS RWY22・・・」、それ以外の時間帯は「LDA W RWY22・・・」で運用されていたことが確認できる。
- 15:00:LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
- 15:10:ILS RWY22/ILS Z RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
- 15:30:ILS RWY22/ILS Z RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
- 16:00:LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
- 16:30:LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
- 17:00:LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
- 17:12:LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
- 17:30:LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
- 18:00:LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
- 18:30:LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23 DEP RWY 16L/16R
- 19:00:ILS Z RWY34L/ILS Z RWY34R LDG RWY 34L/34R DEP RWY 05/34R
何を意味しているのか分からない人のために、可視化したのが次図。
簡単に言えば、7月30日は南風時の運用ではあったものの、羽田新ルートを使わない従来ルートで運用がされていたということだ。都心上空が厚い雨雲で覆われていたので、羽田新ルートの悪天時運用もできなかったということなのではないか。
「運用状況の区分|国交省」を元に筆者作成
なんだ、南風が吹いていても羽田新ルートを使わなくて従来ルートで対応できるじゃないかという話……。
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