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なぜ国交省航空局の競争入札案件で「再公告」が多いのか

国交省航空局の入札公告一覧を眺めていて妙なことに気が付いた。

最近の件名に「再公告」が並んでいるのである。なぜなのか……。


もくじ

国交省航空局の最近の件名に「再公告」が並んでいる

国交省航空局の入札公告一覧を眺めていて妙なことに気が付いた。

最近の件名に「再公告」が並んでいるのである(次図)。

航空:入札公告 - 国土交通省


109件(公告日:21年1月13日~2月17日)のうち、17件が備考欄に「再公告」と記されている(21年2月18日現在)。

なぜ、これら17件は再公告となったのか?

まずは、元の「公告」と「再公告」で何が変わったのか確認してみよう。

「再公告」で入札の参加資格要件が拡大されていた

再公告17件のうち、現在でも元の公告が公開されているのは次の8件(国交省はすぐにデータを消したがるので17件全部を検証することができない)。

  • 飛行検査センター電気設備保守(令和3年度)
  • 飛行検査装置用GNSS補正データ提供業務(令和3年度)
  • 飛行検査データ分析・管理システムネットワーク維持(令和3年度)
  • 飛行検査機保守点検整備作業(令和3年度DHC8型機・CJ4型機飛行検査システム関連機器)
  • 令和3年度空港保安防災教育訓練センターの警備請負
  • 空港保安防災教育訓練センターのLPガス購入
  • 令和3年度FACE端末等保守請負
  • 令和3年度航空交通管理処理システム保守請負

各公告と再公告の内容を比べてみて変わっていたのは、参加資格要件のみであった。

いずれも資格要件が拡大されているのだが、1件を除いて全て、資格要件が上級に拡大(「C又はD等級」⇒「A、B、C又はD等級」)。「飛行検査機保守点検整備作業・・・」だけが資格要件が緩和(「A又はB等級」⇒「A、B、C又はD等級」)されているのである。

「飛行検査センター電気設備保守(令和3年度)」の例を次図に示す。

飛行検査センター電気設備保守(令和3年度)公告

飛行検査センター電気設備保守(令和3年度)再公告

 

これら8件につき、過去の入札情報をひも解いてみよう。

再公告8件と同じ件名、過去2か年の入札情報を可視化

航空局発注 入札結果|公共調達の適正化に係る情報の公表」に18年度と19年度の入札結果が公開されている。残念ながら、どんなにググっても17年度の入札結果はヒットしない(国交省はすぐにデータを消したがる)。

再公告8件と同じ件名につき、過去2か年(18・19年度)の入札情報を整理した結果を次表に示す。

  • 8件のうち7件が1社入札。
  • 1件をのぞき過去2年、同じ会社が受注している。
  • 19年度は8件のうち5件が入札率99%超。
  • 1件以外はすべて1千万円未満の小規模案件(1件だけが5千万円超)。

国交省航空局の入札結果(上段18年度、下段19年度)

入札者の資格等級のミスマッチが原因!?

国交省航空局の入札者の資格は、「統一資格審査申請・調達情報検索サイト」の「有資格者名簿閲覧」で調べることができる(次図)。

有資格者名簿閲覧

 

再公告8件につき、落札者の資格等級を見て驚いた(次表)。

なんと、過去2年の落札者は、今回の公告に掲載された資格等級を満たしていないのである。

今回の告示だけ資格要件を間違えた事務的ミスなのか、それとも以前から間違えていたのか、過去2年の公告文書が公開されていないので確認することができない

8件のうち7件はもともと公告条件よりも高い等級の事業者が応札していたので問題ない。でも、「飛行検査機保守点検整備作業」だけは資格等級Cの事業者が落札していたので、過去2年間の資格要件が今回の公告のように「A又はB」だったとすれば問題ありということになる。

国交省航空局の入札者の資格等級(上段18年度、下段19年度)

雑感

なぜ国交省航空局の最近の件名に「再公告」が並んでいるのか?

過去2年落札してきた事業者の資格等級と公告に記された資格要件にミスマッチがあったことが原因と考えられる。

以下、今回の調査を踏まえた雑感。

  • 競争入札とはいえ、8件のうち7件は1社入札。残り1件は2社入札。これでは競争原理が働かないのではないか。
  • 8件のうち再公告で唯一資格要件が緩和されたのは、「飛行検査機保守点検整備作業」。本件名は岡山航空(株)が過去2年間、6千万円前後で受注していた。今回の資格要件の修正が今回限りの事務的ミスであればさほど問題にはならないが、そうでない場合には問題ありだ。なぜならば、本来の資格等級「A又はB」であるところを資格等級Cの事業者がこれまで落札してきたことになるからだ。
  • 入札関係文書は過去2年分しかHPで公開されていない。データ量など大したことがないのだから、過去5年分くらい公開しておいてもよさそうなものだが、これでは国交省航空局は入札関係文書を早く削除しておきたいと思われてもしたがないのでは。
  • 再公告8件の元となっている「告示」情報は、2月18日には公開されていたのだが、翌19日には削除されていた(次図)。

    翌19日には削除されていた

    筆者の2月18日午前6:05のツイート「国交省航空局、再公告だらけ チョット調べてみるか…」を見た航空局関係者が、削除を急いだのか。よほど知られたくない情報だったのか……。

【追記】再公告で唯一資格要件が緩和された事案

※21年4月4日追記

8件のうち再公告で唯一資格要件が緩和された岡山航空(株)のその後の調査結果については、「毎回「再公告」で入札資格を緩和、1社が高い落札率で受注」参照。

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