南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートの運用が開始されたのは20年4月3日。
新型コロナの影響により国内線・国際線ともに大幅な減便が続いているなかで、羽田新ルートの運用が強行されている。
21年2月の運用実績を可視化する。
※投稿2月7日(更新3月2日)
- 【月次変化】20年8月ピーク(23日間、1,800機超)
- 【機/日】20年8月初旬ピーク:Aルート30機超、Cルート60機超
- 【機/時】20年8月初旬ピーク:Aルート10機超、Cルート20機超
- 【機材】国交省計画よりも大型機の割合が小さい
【月次変化】20年8月ピーク(23日間、1,800機超)
南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートが運用された機数・日数ともに、20年9月以降大幅に減少していたが、21年2月大幅に増加(次図)。
猛暑になるとゴーアラウンドが増えるというような事象は、20年夏は特に確認できなかった(次図)。
※気温が上昇して空気密度が低くなると、揚力が小さくなるので、操縦難度が上がりゴーアラウンドが増えると指摘されている。
猛暑に関連した記事については、以下参照。
【機/日】20年8月初旬ピーク:Aルート30機超、Cルート60機超
20年5月まで続いていた減便は、6月、7月と回復に向かい、8月初旬には、A滑走路到着ルートは1日あたり30機を、C滑走路到着ルートは1日あたり60機を超えた。
20年8月中旬を過ぎて機数が減少傾向の後、10月下旬から増加の兆候が見られたが、南風時の運用日数そのものが大幅に減少した(次図)。
※ところどころ機数が大幅に少ないのは、当日の運用時間が短かったことによる。
※実機飛行確認の機数はflightradar24で、運用開始後の機数は「羽田空港飛行コース」の航跡動画をもとに調べた(以下、同じ)。
上図を月の平均値・中央値に集計したのが次図。
冬場は南風時の運用日数が減少することに加え、コロナ水際対策として20年12月28日から全世界からの外国人新規入国停止の影響が出ている様子がよく分かる。
(参考図:到着ルート)
※破線は「悪天時」ルート
【機/時】20年8月初旬ピーク:Aルート10機超、Cルート20機超
1時間当たりの通過頻度の推移を下図に示す。
国交省の計画では、A滑走路到着ルートは1時間当たり14回(4分17秒ごと)、C滑走路到着ルートは1時間当たり30回(2分ごと)の頻度で飛ぶことになっている。
ところが、新型コロナの影響による減便が著しく、20年4月下旬以降、A滑走路到着ルートでは1時間当たり5機程度、C滑走路到着ルートでは1時間当たり10機程度だった。
20年6月、7月はA・C滑走路到着ルートともに回復に向かい、8月初旬にはA滑走路到着ルートは1時間あたり10機を、C滑走路到着ルートは1時間あたり20機を超えた。
8月中旬を過ぎて機数が減少傾向の後、10月下旬から増加の兆候が見られたが、南風時の運用日数そのものが大幅に減少した(次図)。
※ところどころC滑走路到着ルートの通過頻度が跳ね上がっているのは、当日同ルートの運用時間が短かったことによる。
上図を月の平均値・中央値に集計したのが次図。
【機材】国交省計画よりも大型機の割合が小さい
機材区分別(小・中・大型機)の通過機数の推移を可視化したのが次図。
20年4月初旬に45機前後飛行していた小型機は、4月下旬以降半減。中型機も同様の傾向が見られた。
6月以降8月中旬まで、小・中・大型機ともに機数が増加。8月中旬を過ぎて小・中・大型機ともに機数が減少傾向の後、10月下旬から増加の兆候が見られたが、南風時の運用日数そのものが大幅に減少した。
国交省の説明資料によれば、羽田空港で使われている飛行機は、小型機48%、中型機25%、大型機26%となっている(次図)。
FAQ冊子v6.2_P58
一方、筆者の調査では、国交省データ(19年1月時点)と比べて大型機の割合が小さく、そのぶん小・中型機の割合が大きくなっていることが分かる(次図)。
したがって、本来の飛行騒音状況はもっと酷いことに要留意。
2020年で最も多かった機材はボーイング737-800(小型機)の2,671
機(38%)。
※機材区分は概ね、大型機(300席以上)、中型機(200~300席)、小型機(200席未満)とした。
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