国交省は羽田新ルート下の13区と川崎市、埼玉県内の6市に、夏ダイヤの運用状況などを記したチラシを配布する(配布時期:20年12月~21年2月)。
市民が知りたいと思うことや、市民に知らせるべきことが必ずしも書かれていないのに約2,400万円(推定)を投じるなんて血税のムダ……。
チラシ配布で”丁寧な説明”の実績作り
国交省は2月1日、「各区市における新飛行経路の夏ダイヤの運用状況についてとりまとめ」を公表。
各区市における新飛行経路の夏ダイヤの運用状況についてとりまとめました
羽田空港新飛行経路の夏ダイヤ(2020年3月29日~10月※)の運用状況や騒音・落下物対策等の取組について、地域の皆様に広くお知らせするための資料をとりまとめました。
本資料は、ポスティングによりお配りしたものと同一の内容です(配布時期:2020年12月~2021年2月)。※配布時期の都合上、品川区版の騒音測定値は、2020年8月までの結果を記載しております。
資料は、こちらのページからご覧いただけます。
何のことやらと思い、リンク先をクリックすると、ポスティング先とされる地域のマップとそれぞれの自治体のリンクが表示される(次図)。
羽田新ルート下の13区と川崎市、埼玉県内の6市である。
さらに各区・市のリンク先をクリックすると、PDFで4枚のチラシが表示される(下図)。
各ページに記されている内容は、「運用報告」以外は各区・市ともほぼ同じ。
- 〇〇区(市)の皆さまへ
- 運用報告 ※データや図が区・市ごとにカスタマイズされている
- 騒音・落下物などの対策について
- 情報公開について
↓ 渋谷区の例(PDF:6.2MB)
問題なのは、国交省が言いたいことはたくさん書かれているが、市民が知りたいと思うことや、市民に知らせるべきことが必ずしも書かれていないことである。
たとえば、コロナの影響で国内外の航空機が大幅に減便しているのに、なぜ新ルートの運用が強行されているのか。大幅な減便に加え、小型機の割合が増えているため、当初計画していたときよりも航空機騒音が小さきことや頻度が少なくなっていることなど。
国交省としては、羽田新ルート下の13区と川崎市、埼玉県内の6市にチラシを配ることで”丁寧な説明”をしたという実績作りになるのである。
チラシの印刷・配布費用、約2,400万円(推定)
国交省は20年12月から21年2月にかけて、このチラシを配布する。
国交省が"やってる感"をPRするために費やそうとしている血税はいかほどなのか推定してみた。
税込み1式で約2,400万円(内訳次表)。けっこうな金額である。
中抜きがあれば、さらに大きな金額になるのかも……。
※さいたま市(9つの区)と川崎市(7つの区)は、羽田新ルートが通過する区のみをチラシ配布対象世帯として金額を推定した。2市のすべの区を配布対象世帯とすると、約3千万円になる。
一般競争ではなく、随意契約なのか?
実際いくらなのか?
国交省東京航空局公表している「令和2年度入札等結果」をひも解いてみたが、それらしい件名は見当たらない。
ひょっとして一般競争ではなく、随意契約なのか?
随契だとすれば、新飛行ルートの周知のための広告・広報費用数億円のなかに埋もれてしまうので、その実態は分からない。
ちなみに、山添拓 参議院議員(日本共産党)が19年11月21日提出した質問主意書に対する政府答弁書により、新飛行ルートの周知のための広告・広報費用は18年度3.0億円、19年度2.6億円であることが判明している(次図)。
20年度の広告・広報費用は、「羽田空港に関する予算要求額616億円の内数」(政府答弁書)なので、ますます分からない。
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