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羽田新ルート|質問主意書(羽田空港の新飛行ルート)

第200回国会(19年10月4日~12月9日)の参議院の質問主意書87件(12月04日現在)のなかに、68番目として羽田新ルートに係る次の質問主意書が埋もれている。

山添拓 参議院議員(日本共産党)が11月21日提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。

読みやすいように、一問一答形式に再構成しておいた。
※時間のない方は、「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

山添拓 参議院議員(日本共産党)
山添 拓 参議院議員(共産党、1期、東大⇒早大大学院法務研究科、35歳)

政府は、首都圏の空港の機能強化策の一環として、羽田空港の国際線を増便するために離着陸ルートを変更し、2020年3月29日以降、都心を含む人口密集地の上空を超低空かつ多頻度で航空機を飛行させようとしている(以下「新飛行ルート」という。)。


しかし、新飛行ルートの直下やその近辺の住民からは、騒音、落下物、墜落の危険、あるいは資産価値の低下など、様々な不安と懸念が表明され、複数の区議会で新飛行ルートの見直し等を求める決議や意見書が採択されている。


住民の理解を得られない中で新飛行ルートの運用開始を強行することは許されず、直ちに撤回すべきであると考える。
そこで、以下質問する。

1.「地元の理解」について

本年3月以降、複数の区議会(以下「前記各区議会」という。)において、新飛行ルートの計画について「容認することはできない」(品川区議会)、「見直し等を強く求める」(渋谷区議会)など、懸念を表明する決議や意見書が採択されている。

問1-1:「地元の理解」を示す新たな決議や意見書が採択された事実は?

総理や国土交通大臣は国会において、新飛行ルートは「地元の理解」を得て進める旨、繰り返し答弁しているが、前記各区議会において、新飛行ルートの計画について懸念を表明する決議や意見書がその後撤回ないし変更され、「地元の理解」を示す新たな決議や意見書が採択された事実はあるか明らかにされたい。

答1-1:新たな飛行経路に関する決議又は意見書は可決されていないものと認識

御指摘の「「地元の理解」を示す新たな決議や意見書」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、品川区議会において平成31年3月26日に「新飛行ルート案を容認することはでき」ず、「品川区上空を飛行しないルートへの再考を強く求める」旨の決議が可決され、その後、同区からの意見及び当該意見に対する国土交通省の回答を踏まえ、同区議会において令和元年9月20日に「区民の不安払しょくにつながる効果的な対策の実施と、早急かつ具体的にルートの再考および固定化を避ける取り組みを示し、実行に移すことを強く求める」旨の新たな決議が可決されたことは認識している。


また、渋谷区議会において平成31年3月26日に「計画の見直し等を強く求める」旨の意見書が、港区議会において令和元年10月10日に「港区の上空を低空飛行する経路を固定化することなく、空港の管制方法の見直しや地方空港への分散など、別の選択肢を検討することを強く求める」旨の意見書がそれぞれ可決され、これらの意見書が地方自治法(昭和22年法律第67号)第99条の規定に基づき、同省へ提出されたことは認識している。


これらの決議及び意見書が可決されて以降、品川区議会、渋谷区議会又は港区議会において、東京国際空港(以下「羽田空港」という。)における新たな飛行経路(以下「新経路」という。)に関する決議又は意見書は可決されていないものと認識している

問1-2:意見書の採択以降、各区議会に対し、いかなる対応を行ったか?

国土交通省は、前記各区議会の新飛行ルートの計画について懸念を表明する決議ないし意見書の採択以降、前記各区議会に対し、いかなる対応を行ったか示されたい。

答1-2:国土交通省から品川区議会、渋谷区議会(略)に所属する議員に対して説明

御指摘の「懸念を表明する決議ないし意見書」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、羽田空港における新経路の運用に向けて、騒音対策、航空機からの落下物対策等を推進しており、これらの内容について、国土交通省から品川区議会、渋谷区議会交通・公有地問題特別委員会及び港区議会に所属する議員に対して説明を行ったところであり、今後も丁寧な情報提供に努めてまいりたい。

2.降下角を3.5度に引き上げることについて

国土交通省は、新飛行ルートの追加の対策として、南風好天時の新到着経路の降下角を3度から3.5度に出来る限り引き上げることによって、飛行高度の引き上げ、騒音影響の低減を図るとしている

問2-1:「南風好天時」に到着する便の割合、過去の実績?

羽田空港において「南風好天時」が想定される年間の日数、時間帯、全到着便に占める「南風好天時」に到着する便の割合について、過去の実績に基づき具体的に示されたい。

答2-1:判断基準が異なるため、お答えすることは困難

羽田空港における平成28年から平成30年までの飛行経路の運用実績について申し上げれば、南風時に新経路を運用することとしている15時から19時までの間における南風運用の割合は約4割であるが、現在の飛行経路と新経路とはその運用に係る好天時又は悪天時の判断基準が異なるため、新経路の運用開始前である現段階においては、お尋ねについてお答えすることは困難である。

問2-2:降下角を3.5度に引き上げ、騒音はどの程度低減?

降下角を3.5度に引き上げることにより、新飛行ルートにおける騒音はどの程度低減されるのか、根拠とともに示されたい。

答2-2:一般に、飛行高度が高くなれば(略)騒音影響が軽減される

航空機の騒音は、飛行経路から側方にどの程度離れているかや地形等により軽減される程度が異なるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、一般に、飛行高度が高くなれば地上から航空機までの距離が遠くなり騒音影響が軽減されることから、御指摘の「南風好天時の新到着経路」については、降下角の引上げによる飛行高度の引上げを行うこととしている。

3.世界の国際空港で都心低空飛行ルートを新たに設定した例について

問3:国土交通省の把握するところ?

国土交通省は、本年10月18日、「直近20年程度の間に、世界の国際空港で新たにルートの拡張や新空港の開港、既存空港の拡張などにより、羽田空港の新飛行ルートのように都心部を低空で飛行する離着陸ルートを新たに設定した例があるか」という私の問いに対し、「承知していない」と回答した。この回答に相違はないか。


国際空港評議会が調査・公表している世界の各空港における私の前記問いに該当する例の有無について、国土交通省の把握するところを明らかにされたい。

答3:お尋ねのような例は承知していない

お尋ねの「世界の国際空港」又は「国際空港評議会が調査・公表している世界の各空港」における「直近20年程度の間に」「新たにルートの拡張や新空港の開港、既存空港の拡張などにより、羽田空港の新飛行ルートのように都心部を低空で飛行する離着陸ルートを新たに設定した例」の有無については、国土交通省において網羅的に把握しているものではないため、お答えすることは困難である。


なお、御指摘の「本年10月18日」においては、「国際空港評議会が調査・公表している世界の各空港」のうち平成30年における年間の離着陸回数が多い上位30空港(羽田空港を除く。)については、同省においてはお尋ねのような例は承知していないという趣旨でお答えしたものである。

4.航空機の部品欠落情報の報告制度について

問4:全国7空港、報告件数?

国土交通省は、2017年11月以降、全国7空港(成田、関西、羽田、中部、福岡、那覇、新千歳)について、航空機の部品欠落情報の報告制度を設けている。2018年11月から2019年10月までの報告件数及び2017年11月から2019年10月までの累積報告件数を明らかにされたい

答4:報告件数は518件(18年11月1日から19年9月30日)

御指摘の「航空機の部品欠落情報の報告制度」に基づく平成30年11月1日から令和元年9月30日までの期間に発生した部品欠落の報告件数は518件であり、当該制度の運用を開始した平成29年11月9日から令和元年9月30日までの期間に発生した部品欠落の報告件数は917件である。


なお、同年10月1日から同月31日までの期間に発生した部品欠落の報告件数については、現在、集計作業を行っているところであり、お答えすることは困難である。

5.新飛行ルートの周知のための広告・広報費用について

国土交通省航空局は、新飛行ルートの周知のための広告・広報費用(以下「広告・広報費用」という。)について、私の事務所の問い合わせに対し、「過去5年間の予算額は約10億5千万円程度」と回答している。

問5-1:過去5年間の執行額?

広告・広報費用の過去5年間の執行額を年度別に明らかにされたい。

答5-1:15年度0.3億円、・・・、19年度2.5億円

国土交通省航空局においては、羽田空港の機能強化に関する情報提供のための経費(以下「情報提供経費」という。)として、平成26年度においては3,326万7,900円(税込み)、平成27年度においては2億6,132万6,840円(税込み)、平成28年度においては1億9,267万円(税込み)、平成29年度においては2億9,861万円(税込み)、平成30年度においては2億5,836万9,696円(税込み)を執行したところである。

問5-2:20年度予算の概算要求における広告・広報費用?

2020年度予算の概算要求における広告・広報費用の計上額を明らかにされたい。

答5-2:616億円の内数として計上

令和2年度における情報提供経費は、同年度の予算概算要求において羽田空港に関する予算要求額616億円の内数として計上しているところである。

雑感

質問書(約1千400文字)と答弁書(約2千文字)は別々の文書なので、上記のように一問一答形式に再構成しないと、内容を的確に把握することはできない。

1.「地元の理解」について

品川・渋谷・港区で羽田新ルート計画に懸念を表明する決議や意見書が出されたことに対して、国交省は「国土交通省から品川区議会、渋谷区議会交通・公有地問題特別委員会及び港区議会に所属する議員に対して説明を行ったところであり、今後も丁寧な情報提供に努めてまいりたい」と回答。

「丁寧な情報提供」という文言を流行語大賞(国会版)に推薦したい。

2.降下角を3.5度に引き上げることについて

国交省は、騒音対策として飛行降下角を3度から3.5度に引き上げた。なのに、騒音低減効果を問われて、「一般に、飛行高度が高くなれば地上から航空機までの距離が遠くなり騒音影響が軽減される」という答弁に納得する市民は多くないだろう。

筆者の試算によれば、飛行降下角を3度から3.5度に引き上げても、1dB程度しか騒音低減効果が得られない

※詳しくは、「高度引き上げ、国交省の愚策」参照。

3.世界の国際空港で都心低空飛行ルートを新たに設定した例

年間の離着陸回数が多い上位30空港(羽田空港を除く)で、直近20年程度の間に、羽田空港のように新たに都心部を低空で飛行するルートを設定した例はないということが明らかになった。

つまり、都心上空に新たに設定された羽田新ルートは、世界でも稀有な例ということである。

4.航空機の部品欠落情報の報告制度

国交省の答弁によれば、11か月間(18年11月1日~19年9月30日)に発生した部品欠落の報告件数は518件。同制度開始後の23か月間(17年11月9日~19年9月30日)の件数は917件。

つまり、同制度が導入されて、部品欠落が減るどころか増えている(減っていない!)ということになる(次図)。

「航空機の部品欠落情報の報告制度」導入以降の欠落件数

5.新飛行ルートの周知のための広告・広報費用について

「過去5年間の予算額は約10億5千万円程度」に対して、執行額の合計は10億円を超えている(各年の内訳は次図)。

羽田新ルート周知に係る広告・広報費用(情報提供経費)

国交省の答弁によれば、18年度の執行額は「2億5,836万9,696円(税込み)」ということになっている。

一方、筆者の調査では、18年度に国交省が博報堂契約(随契)した「「羽田空港機能強化に係る情報提供・意見把握検討等業務」の額は2億4,840万円。契約額と執行額はほぼ一致していることが確認できる。 

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