中国人が日本の不動産を買っているという話はよく聞くが、公的な統計データがないので、その全体像はよく分からない。
中国人による日本の不動産買いを可視化できないものかと考えていたところ、中国人向けの日本の不動産物件売買プラットフォーム「神居秒算(しんきょびょうさん)」というサイ卜に掲載されている物件情報を可視化することで、その一端を捉えられるのではないかと思い付いた。
神居秒算とは
神居秒算は、“良い部屋を素早く見つける、相場をその場で計算できる”を意味する、中華圏の不動産投資家向け日本不動産プラットフォーム。
都心部の中古ワンルームマンション投資を中心に手がける東証マザーズ上場企業であるGAテクノロジーズ(代表取締役の樋口社長は青山メインランド出身)が20年6月11日、NeoXから神居秒算事業を取得した。
神居秒算は、自社開発の拡張現実(AR)アプリと、日本の15万棟以上の分譲マンションのデータ、20年間の取引データを網羅したデータベースを活用した不動産プラットフォーム。2017年1月に中国上海で設立したNeoX Chinaと東京都渋谷区に本社を構えるNeoXが共同運営しており、中華圏の投資家向けに、日本不動産情報を提供。日本国内の不動産事業者に対しては中華圏の投資家への販売チャネルとしての役割を担う。
(CNET Japan 20年06月12日)
東京・大阪のマンションが圧倒的に多い
神居秒算に掲載されている物件数は8,174件(12月28日現在、以下同じ)。内訳をみると次表のように、東京と大阪のマンションが圧倒的に多い。
東京23区(3,588件)の内訳をみると、新宿区、港区、豊島区の順に多いことが分かる(次図)。
23区マンションでは港区が特異
東京23区(3,588件)のうちマンション(3,121件)の内訳を価格別、面積別、間取り別に可視化してみると興味深い事象が見えてくる。
特に、港区の掲載物件は「9,600万円以上」が半数近くを占めているのである(次図、ピンク囲み)。
港区は、面積が大きい物件の割合が多いのも特徴。60m2以上の物件が半数を超えている(次図、ピンク囲み)。
港区は、部屋数が多い物件の割合が多いのも特徴。2室以上の物件が半数を超えている(次図、ピンク囲み)。
港区のマンション掲載物件数を「価格」と「面積」でクロス集計した結果を次表に示す。
広くて高額な物件に集中していることが一目瞭然であろう。
では、神居秒算に掲載されている港区のマンションのうち、「90m2以上」かつ「9,600万円以上」で掲載されている68件とは、具体的にどのような物件なのか?
そのことについては、後日記事化するかも……。
記事化した⇒中国人投資家向け!港区高額マンションの実態
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