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羽田新ルート|都議会「20年第4回定例会」質疑応答

都議会の「20年第4回定例会」本会議の代表質問(12月8日)で星見てい子議員(共産党)から、羽田新ルートに係る質疑応答があった。

録画映像をもとに、全文テキスト化(約1千900文字)しておいた。

※時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

星見議員:当面、羽田新ルートの運用を中止するよう求めるべき

星見てい子議員(共産)

星見てい子議員(共産)議員(日本共産党、都議1期、北海道教育大卒、目黒区議会議員3期10年、63歳)

都心上空を大型機が超低空飛行する羽田新ルート反対の声はますます広がっています。私の地元、目黒区では「飛行機が近くて怖い。客席の窓まで見える」「オンライン会議をしていてもうるさくて仕事にならない」などの声が上がっています。


品川区では新ルートの賛否を問う住民投票を求める直接請求が取り組まれ、法廷必要数6,800人の3倍を超える20,760人の署名が寄せられました。まもなく区議会の審査が始まります。

飛行経路に当たる各区の議会では、党派や政治的立場を超えて都心低空飛行ルートの運用は中止すべきなどの声が上がっています。


知事は羽田新ルートのこうした厳しい声の広がりをどう受け止めていますか。都知事として、この声にどう答えるのですか。


国際航空運送協会IATAは、2021年の世界の航空需要が2019年の半分にとどまるとの見通しを発表しました。

実際に日本航空の国際線は今なお78%もの減便です。全日空の社長は日経新聞のインタビューに、「国際線の回復には数年単位の時間が必要だろう」と答えています。

コロナ禍で、航空需要が落ち込み、新ルートを運用する必要がないのに住民の反対に耳を貸さず、運用を続けるのはおかしいと思いませんか。

国際便の減便を踏まえ、国に対して少なくとも当面、羽田新ルートの運用を中止するよう求めるべきです。知事いかがですか。

小池都知事:丁寧な情報提供・・・

小池都知事
小池百合子 都知事(2期、カイロ大卒、68歳)

羽田空港の新飛行経路でございます。
国が決定した新飛行経路でございますが、都民の皆様方から、騒音・安全対策の実施など、様々な意見があることは承知しております


将来に渡りまして、東京が国際競争力を持って持続的な発展を続けていくためには国内外に豊富なネットワークを有する羽田空港の機能強化を図ることが不可欠であります。

都といたしまして、引き続き国に対しまして都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供、騒音・安全対策の着実な実施を求めてまいります

東京都技監:丁寧な情報提供・・・

都市整備局長
東京都技監(千葉大院卒、86年入都 )

羽田空港の新飛行経路の運用についてでございます。

現在、新型コロナウイルス感染症の影響により減便していることは承知しております。

国は日本の国際競争力の強化、首都圏における航空機の騒音による影響の分散等のためには、羽田空港における新飛行経路の運用は必要不可欠であるとともに、羽田空港におきまして減便が発生している期間を活用して、航空機の騒音対策や安全対策を改めて徹底し、増便した際の円滑な運用に備えるため、本年3月から新飛行経路の運用を開始したとしております。


国は、運用開始後も新飛行経路下における航空機騒音の測定結果の公表や落下物対策として機体チェックの体制強化等、様々な取り組みを実施しております。

都と致しましては、引き続き国に対しまして、都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や騒音・安全対策の着実な実施を求めてまいります


次に、羽田空港の新飛行経路についてでございます。

都と致しましては、将来にわたって東京が国際競争力を持って持続的な発展を続けていくためには国内外に豊富なネットワークを有する羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。


国は、運用開始後も新飛行経路下における航空機騒音の測定結果の公表や落下物対策として機体チェックの体制強化等、様々な取り組みを実施しております。

引き続き国に対しまして、都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や騒音・安全対策の着実な実施を求めてまいります。

星見議員:安全が確保される保証などないことは明白

星見てい子議員
星見てい子議員

次に、羽田新ルートです。
外環(道)と羽田新ルートについて知事の発言は瓜二つです。すなわち国の責任で進めている。都は、安全、安心の確保と丁寧な説明を国に求めている。そして国際競争力のために必要だ。いずれも外環と羽田新ルートに共通しています。


外環(道の陥没事故)の経緯を見れば、羽田新ルートについても、安全が確保される保証などないことは明白ではありませんか。
知事いかがですか。以上3問です。知事の答弁を求め、再質問を終わります。

東京都技監:丁寧な情報提供・・・

東京都技監
東京都技監

羽田空港の再質問につきまして、ご答弁申し上げます。
羽田空港の新飛行経路の導入につきましては、国の責任と判断で決めるものでございます


将来に渡りまして、東京が国際競争力を持って持続的な発展を続けていくためには国内外に豊富なネットワークを有する羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。

都と致しましては、引き続き国に対し、都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や騒音・安全対策の着実な実施を求めてまいります

雑感(プロレスのなかに、技監の巧妙な技)

結果が見えているという意味で、共産党議員と小池都知事・技監との間で繰り広げられていた、いつもながらのプロレスのような質疑応答。

ただ、当日議場で聞いていた人も、ネット動画を視聴した人も今回、技監が巧妙な技を繰り出していたことには気が付かなかったのではないか。

筆者も文字に起こして読み返して、初めて二つの技を認識することができた。

「東京都技監」は、技術職が就くことのできる副知事に準ずるポストで、事務職も含めた一般職における最高の地位。技監というだけあって、繰り出される技が違う。

騒音負担共有論に与していない

ひとつは「羽田空港の機能強化を図ることが不可欠」とされる理由について、国と都の立場の違いを明らかにしていること。

都は「東京が国際競争力を持って持続的な発展を続けていくために」(知事)不可欠としている。一方、国は「国際競争力の強化、首都圏における航空機の騒音による影響の分散等のために」(技監)に不可欠としている。

つまり、国交省がコロナ減便で新ルートを強行する理由として新たに強調し始めた「首都圏全体での騒音負担の共有」に、東京都は与していないという立場を暗に示しているのである。

国に丸投げ

二つ目は、星見議員の質問に対して、都知事も技監も常套句で切り返していること(上記の黄色マーキング部分)。

引き続き国に対しまして、都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や騒音・安全対策の着実な実施を求めてまいります。

さすがに3回も同じフレーズを聞かされては、論点を見失いそうになる。結局のところ、技監の次の再答弁で集約されたように、羽田新ルート問題について、都は国に丸投げしているということ。

新飛行経路の導入につきましては、国の責任と判断で決めるものでございます。

都知事の再答弁を求める怒号のなか、レフェリー(議長)が東京都技監の登壇しか認めなかったので、議場が荒れた……。

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