第203回国会(20年10月26日~12月5日)の衆議院の質問主意書83件のなかに、39番目として羽田新ルートに係る次の質問主意書が埋もれている。
松原仁 衆議院議員が11月26日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。
松原仁 衆議院議員(7期、立憲民主党、早大商卒、64歳)
質問:住民投票の結果、政府の判断に影響を与えうるか
羽田空港の新飛行ルート運用に関して、政府は総理大臣、国土交通大臣が「地元の理解」を得て導入すると説明してきた。
また、松原仁のこれまでの質問主意書に対して、この場合の「地元」の主体とは住民や町会、企業、地方公共団体であるとの答弁を行っている。
にもかかわらず、政府からルート下に位置する住民や町会、企業に対し、新飛行ルートへの賛否や理解を問うアンケートや世論調査は行われないまま運用が開始された。他方、東京都品川区において、新飛行ルート運用の賛否を問う住民投票を行うための条例案が区議会への直接請求制度によって提出され、2万筆を超える署名が提出されたとの報道がある。そこで以下質問する。
一般論として、条例に基づく羽田空港新飛行ルート運用への賛成もしくは反対の意思表示を行う住民投票の結果は、新飛行ルートへの「地元の理解」を得た、という政府の判断に影響を与えうるか。
回答:仮定の質問、お答えすることは差し控えたい
衆議院議員松原仁君提出羽田空港新飛行ルート運用を問う住民投票に関する質問に対する答弁書お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたい。
雑感
羽田新ルートの是非を問う品川住民投票の動きに対して、政府の反応を知る貴重な質問であったが、菅政権が得意とする「仮定の質問・差し控え技」によって肩透かしを食らった格好になった。
では、どのように質問すれば良かったのか?
たとえば、次のように質問してみる。
- 条例制定の直接請求に必要な署名数の3倍に近い有効署名数が集まった事実に対して、政府はどのように受け止めているのか?
「そのような署名数が集まったという事実は認識している」と、かわされてしまうのだろうか……。
あわせて読みたい(松原議員の質問主意書)
これまでに松原仁議員が提出した、羽田新ルートに係る質問主意書関連の記事:
※日付は本ブログで記事化した日
20年
- 12月10日:コロナ禍に伴う羽田空港発着の航空需要の減少
- 6月25日:航空機の降下率
- 3月23日:新型コロナ、モラトリアム適用
- 3月5日:着陸方式、パイロット懸念、デルタ・エアカナダ対応
- 2月4日:「飛行経路指定」に関する大臣告示
19年
- 12月16日:新飛行ルートの騒音調査
- 7月12日:区議会決議、公聴会、試験飛行、世論調査
- 6月13日:落下物防止のための洋上脚下げ
- 6月7日:京浜島の事業者・労働者への影響
- 6月6日:品川・渋谷区の見直しを求める決議への対応
- 5月31日:大田区との約束は!?
- 5月23日:低空飛行ルートの採用方法
- 5月23日:上皇陛下の仮住まい対策
- 2月26日:羽田空港への低空飛行問題
18年
- 12月18日:羽田空港新飛行ルート案の変更