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羽田新ルート|東京都、「さらなる機能強化」の検討を国に要求

東京都は7月27日、「令和3年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求」を公表。

553頁からなる「冊子」と67頁からなる「冊子(抜粋版)」の2種類。

令和3年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求


もくじ

国への提案要求内容(昨年度とほぼ同じ)

「施策1 羽田国際空港の機能強化 」対して、「国への提案要求内容」が掲載されている(次図)。

国への提案要求内容
(抜粋版 P2-3)

「具体的要求内容」は次のとおり。

具体的要求内容

  • (1)※省略

  • (2)新飛行経路運用開始後も、情報提供については、様々な手段を通じて、地元への丁寧な情報提供と意見聴取に努めること

    安全対策については、引き続き万全を尽くし、落下物対策の強化に向けて、平成30年9月に策定された落下物防止対策基準の充実や安全対策の取組に関する情報提供の充実に努めること。

    騒音対策については、低騒音機の導入促進を図るとともに、防音工事助成の円滑な実施に努めること。また、新飛行経路に関連し増設された騒音測定局による騒音影響の監視及び情報提供に取り組むこと

     さらに、羽田空港の機能強化に対する関係区市の意見への回答に沿うよう、引き続き丁寧かつ真摯に対応すること

  • (3)長期的な航空需要の増加に対応するため、東京2020大会開催以降の方策など、更なる機能強化についても検討を進めること
     なお、検討に当たっては、空港機能と港湾機能が共存できるよう配慮すること。

じつはこの要求内容は1年前に出された「令和2年度 国の予算編成に対する東京都の提案要求」とほとんど同じ。

 

コピペ文章ベースだから、羽田新ルート問題に対する都知事のやる気のなさしか感じられないのは筆者だけか。とはいえ、「東京2020大会開催以降の方策など、更なる機能強化についても検討を進めること」を見逃すわけにはいかない。

「更なる機能強化」の検討を国に要求した意味

「更なる機能強化」と言われても、多くの都民にはピンとこないだろう。「更なる機能強化」とは、「第5滑走路(E滑走路)」の増設計画のことを示唆している。

東京都は19年8月22日に公表した「『未来の東京』への論点」のなかでも、「第5滑走路(E滑走路)」という言葉は使わずに、「羽田空港の更なる機能強化」を謳っている(都の長期戦略に「羽田空港の更なる機能強化」)。

都議会定例会(19年9月9日)で東京都技官は「都が滑走路の増設に向けて国と協議に着手する方針であるという事実はございません」と、読売記事「羽田滑走路 増設協議へ…都と国 機能強化へ5本目」の火消しに回っていた。

「第5滑走路(E滑走路)」という議論百出しそうな表現の代わりに「羽田空港の更なる機能強化」を言い続けること。これにより、国は都(都民)からの要望に応えたという形で第5滑走路(E滑走路)の増設計画を進めることができる。

 

第5滑走路(E滑走路)は、工事費6,200~9,700億円程度、工事期間10~15年程度(地域との合意、関係者調整、環境アセスメントに必要な期間を除く)とされている。

第5滑走路(E滑走路)が運用されると、明治神宮外苑を南下して、青山一丁目、国立新美術館、六本木ヒルズ毛利庭園、麻布十番、三田の慶応、品川埠頭の上空を通過することになる(次図、紫色の直線)。

羽田新ルートの影響を受ける町丁目マップ(港区)
羽田新ルート|次は第5滑走路の増設!? 」より

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