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なぜ、荒川北上ルートの飛行機騒音は上昇しているのか【追記あり】

北風時に羽田空港を出発して荒川に沿って北上するルートの最大騒音レベルが9月に入って上昇傾向を見せている。

その原因を調べているうちに、トンデモナイ状況が判明した。江戸川区民は必読!


もくじ

北風時・荒川北上ルートの最大騒音レベルが上昇傾向

東京都は平日の毎日、羽田新ルート周辺の騒音測定局(5か所)で測定した騒音モニタリング結果(速報値)を公表している。

筆者はこの速報値をもとに作成したグラフをブログに掲載し、随時更新している。

最近気になっているのは、北風時に羽田空港を出発して荒川に沿って北上するルート(運用時間帯:7時~11時半、15~19時うち3時間)の測定値(測定場所:江戸川区立小松川第二中学校)の飛行騒音の変化だ。

9月に入ってから上昇傾向を見せているのである(次図)。

最大騒音レベル(北風時)都測定データ
羽田新ルート|東京都の騒音測定結果を可視化【随時更新】」より

 

なぜ、荒川に沿って北上するルートの最大騒音レベルは上昇傾向を見せているのだろうか?

筆者が11月6日に「北風時、荒川に沿って北上するルートの最大騒音レベルに上昇傾向…」とツイートしたところ、次のようなリツイートを頂戴した(原文ママ)。

  • go to travel が始まってから札幌行きのB777と国際便のB787が増えて来てる為だと思います。
  • 江戸川区上陸時の規定最低高度が4千ftのところを9月頃は6〜7千だったのが今は4〜6千に下がってる為では?
  • 乗客議員が増えて重くなっているからかもしれませんね。

 

筆者の独自調査によれば、たしかに9月下旬あたりから大型機が増加している(次図)。でも、都の速報値は、複数の航空機の最大騒音レベルの平均値ではなく、最大騒音レベルの値が最も大きかった航空機の値なので、大型機の増加傾向とは必ずしもリンクしない(大型機が増加したから最大騒音レベルが上昇したとまでは断言できない)。

また、乗客人数が増えて総重量が増加傾向にあるとしても、同様の理由により、最大騒音レベルの増加傾向とは必ずしもリンクしない(乗客人数が増えたから最大騒音レベルが上昇したとまでは断言できない)。

機材区分別の通過機数の推移(南風時の到着ルート)
羽田新ルート|運用実績を可視化(10月)」より

4000ft(約1200m)よりも低い高度を飛んでいる!

では、飛行高度の影響についてはどうなのか。

都の騒音測定場所(江戸川区立小松川第二中学校)の最大騒音レベルと、飛行高度との関係を分析するのは一筋縄ではいかない。そこで、国交省が運用しているサイト「羽田空港飛行コース」に公開されている「航跡動画」を活用することにした。この動画には、1分ごとの飛行高度とともに、騒音実測値が表示されるからだ(次図)。

航跡動画


ただ、国交省の騒音測定場所である「大島」(東京都交通局大島総合庁舎)は、都の騒音測定場所(江戸川区立小松川第二中学校)よりも飛行ルート直下に近いことに留意する必要がある(次図)。

位置図


羽田新ルート運用開始以来、都の速報値で最大値78dBを記録したのは、運用開始日の3月29日と10月31日の2回だけ。そこで、10月31日を対象に、最大騒音レベル68dB以上を記録したときの時刻・飛行高度・機種を整理してみた(次表・図)。

この日、最も大きい騒音値が記録されたのは10時25分。高度980mを飛行するボーイング737-800だった(大型機ではなく、小型機!)。

このことから、都の測定値が大きいのは必ずしも大型機に限らず、小型機であっても、高度が低かったり、上昇するためにエンジンを吹かしていたりすると大型機以上に大きな騒音を地上に降り注いでいることがあり得るということが推察される。

北風時・荒川北上ルート(10月31日、68dB以上) 「大島」の最大騒音レベル・飛行高度・機種

北風時・荒川北上ルート(10月31日、68dB以上) 「大島」の最大騒音レベル・飛行高度


国交省の説明資料では、荒川北上ルートの飛行高度は3,000ft(約900m)~10,000ft(約3,000m)となっている(次図)。

68BdB以上を記録した10機のうち4機は4,000ft(約1,200m)よりも低い高度を飛んでいる。うち2機は910m(上図)。

ただ、9月に入って高度が低い航空機が増えたのかどうかは、flightradar24をひも解くなど、さらに詳細な分析をしないと何とも言えない。

北風時の荒川沿いルートの飛行高度
FAQ冊子v6.2_P121

エアバス340(4発機)の影響

航空機事情に詳しい方から11月7日未明、ルフトハンザのエアバス340(主翼下に4発のターボファンエンジンを装備した、騒音の大きな大型機)の影響の可能性を指摘するリツイートを頂戴した。

3/29はルフトハンザLH717がB747で、羽田新ルート正式運用後唯一通過した日。

10/31,11/2は冬ダイヤになって新ルート運用時間帯に戻って来た(週3運用中)LH717が、A340で通過。やはり4発機は影響がありそう。

ネットで調べてみると、たしかにA340-300のLH717便 (羽田発-フランクフルト着)が10月31日からの冬ダイヤで週3日(月、木、土)運用されることになっていることが確認できる。

都の速報値で最大値78dBを記録したのは運用開始日の3月29日と10月31日(木)の2回だけであったことと、2番目に大きな77dBを記録したのが11月2日(月)だけであったことは、LH717便 飛行日と完全に一致している(次図)。

最大騒音レベル(北風時)都測定データ


ちなみに、国交省が掲げている羽田新ルートに係る騒音対策には、南風時のB滑走路からの出発経路(川崎ルート)では、地元自治体の要望を踏まえA340は制限対象とされている。

多くの江戸川区民はこのような事実を知らない。

南風時のB滑走路からの出発経路において長距離国際線及び機材の制限等を行います。
新飛行経路のうちB滑走路から西向離陸する経路については、環境影響に配慮した方策をとることとし、地元自治体の要望を踏まえ、長距離国際線の制限、機材制限、騒音軽減運航方式等の導入を行います。

運用制限

■長距離国際線の制限

(略)

■機材制限
4発機(B747、A340等)を制限します。

(参照)2019年夏ダイヤで羽田空港に就航している国際定期路線のうち4発機(B747)を導入している路線:羽田-シドニー(カンタス航空)、羽田-フランクフルト(ルフトハンザ航空)、羽田-バンコク(タイ航空)

まとめ

飛行機騒音が上昇している原因(分析結果)

北風時の荒川沿い北上ルートの最大騒音レベルが9月に入って上昇傾向にあるのは、大型機が増えていることと、一部の航空機が低い高度を飛んでいる場合があることが原因である可能性はあるものの、断言はできない。

江戸川区民にとってトンデモナイ状況

10月31日(土)と11月2日(月)に羽田新ルート運用開始以来、最大級の騒音値を記録したのは、15時台羽田発フランクフルト行きのLH717便エアバス340(主翼下に4発のターボファンエンジンを装備した、騒音の大きな大型機)であることはほぼ間違いない。今後毎週3回(月・木・土)江戸川区民の頭上に75dBを超える航空機騒音が降り注ぐことになる。

川崎ルートでは、地元自治体の要望を踏まえエアバス340は制限対象とされているが、江戸川区ではエアバス340が飛んでいる。多くの江戸川区民はこのようなトンデモナイ事実を知らない。

江戸川区議さん、仕事してますか……。

【追記】エアバス340飛行、当面は11月30日まで

※11月11日追記

ルフトハンザHPに掲載されている「日本路線のスケジュール」をひも解くと騒音のデカい4発機エアバス340が飛行するのは11月30日までとなっている。12月3日から3月27日までは、エアバス350-900(次表)。

ルフトハンザHP

エアバス350はエアバス340の後継機で、ICAO(国際航空民間機関)が定める騒音レベル「チャプター4」を大きく下回る。

よって、騒音が大きいのは当面は11月30日まで。

21年の3月28日以降は、不明。

【追記】測定場所に隣接している首都高7号線の影響

※11月11日追記

測定場所である小松川第二中の北側に首都高7号線が隣接している(次図)。

隣接している首都高7号線の影響

 

一方、8月1日から11月5日までの97日間のうち、北風時の運用は59日。北風時に「騒音発生回数」が1桁だったのは23日(次図)。北風時運用に占める割合は4割近い(39%=23÷59)。

つまり、騒音レベルの日最大値として、飛行騒音ではなく、自動車騒音を拾っている可能性がゼロではないことが考えられる。

よって、荒川北上ルートの飛行機騒音が上昇している要因の一つに、測定場所である小松川第二中に隣接している首都高7号線の影響がないとは言えない。

「最大騒音レベル」と「騒音発生回数」 (北風時)都測定データ

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