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羽田新ルート、20年港区長選挙の投票率に影響を与えたか

港区長選挙は現職の武井氏の圧勝だった。羽田新ルートの撤回を掲げた大滝実氏(共産推薦)は、元都議の菊地正彦氏をも下回る結果となった。

羽田新ルートは港区民の投票率にどの程度影響を与えたのか。情報公開制度を利用して港区から入手した投票所別の有権者数・投票者数・投票率データを可視化分析してみた。


もくじ

現職の武井氏の圧勝だった20年区長選

2週間前(6月7日)に実施された港区長選挙では、羽田新ルートを容認する現職の武井雅昭氏(67)に4人が挑んだが、自民・国民・公明・社民・都民の推薦を受けた現職が圧勝した。

羽田新ルートの撤回を掲げた大滝実氏(共産推薦)は、元都議の菊地正彦氏をも下回る結果となった。

2020港区長選挙の開票結果 得票数
羽田新ルート|2020港区長選挙、現職の圧勝!?」より

 

現職の圧勝が予想されるなか、投票率が30.04%まで上昇(前回24.25%)したのは、新型コロナで外出自粛が続いていたことが影響したのだろうか(次図)。

武井氏の得票数等(2~5期選挙結果)
(同上)
得票率=得票数÷得票総数
絶対得票率=得票数÷当日有権者数

羽田新ルート通過、15地域に及ぶ

筆者の独自調査によれば、港区民の3割(7万人)が騒音の影響を受ける。

羽田新ルートが通過する地域は、15地域に及ぶ(次図)。

羽田新ルートの影響を受ける町丁目マップ(港区)
拡大図(PDF:370KB)

  • C滑走路到着ルート
    南麻布3丁目、南麻布4丁目、南麻布5丁目、西麻布2丁目、西麻布4丁目、南青山3丁目、南青山4丁目、南青山6丁目、北青山3丁目、高輪1丁目、高輪2丁目、高輪3丁目、白金台2丁目、白金台3丁目、港南2丁目

羽田新ルート、港区民の投票率への影響

港区に情報開示請求

南風時に港区上空を通過する羽田新ルートの運用は4月3日から始まった。新型コロナの影響で当初計画よりもスカスカでかつ小型機の割合が多いとはいえ、ルート下周辺の区民にとっては、室内自粛のなか、飛行騒音は結構うるさいのではないか。

さて、この羽田新ルートは港区民の投票率にどの程度影響を与えたのだろうか。

港区の情報公開制度を利用して、港区の選挙管理委員会に請求していた「投票所別の有権者数・投票者数・投票率(20年・16年港区長選)」が分かる資料が送られてきたので(次図)、分析してみた。

投票所別の有権者数・投票者数・投票率(20年・16年港区長選)
⇒拡大(PDF:1.5MB

地区別の投票率ランキング(20年)

投票所ごとの男女別データを町名別に集計し、20年区長選の投票率を算出した。

20年投票率TOP20のうち5地域(朱書き)が羽田新ルートが通過する地域である。

※港区の20年区長選の平均投票率は30.04%。

  • 1位:三田2丁目(36.96 %)
  • 1位:三田5丁目(36.96 %)
  • 3位:港南3丁目(36.44 %)
  • 3位:港南5丁目(36.44 %)
  • 5位:新橋1丁目(36.43 %)
  • 5位:新橋2丁目(36.43 %)
  • 5位:新橋3丁目(36.43 %)
  • 5位:新橋4丁目(36.43 %)
  • 9位:三田4丁目(36.09 %)
  • 10位:芝5丁目(35.89 %)
  • 11位:高輪2丁目(35.69 %)
  • 12位:高輪1丁目(35.18 %)
  • 13位:港南1丁目(35.13 %)
  • 13位:港南2丁目(35.13 %)
  • 15位:北青山3丁目(34.34 %)
  • 16位:白金1丁目(33.79 %)
  • 16位:白金2丁目(33.79 %)
  • 16位:白金3丁目(33.79 %)
  • 16位:白金4丁目(33.79 %)
  • 20位:高輪3丁目(33.29 %)
地域別の投票率(20年)を地図化

20年区長選の投票率を地図に落としたのが次図。

羽田新ルート周辺、飛行騒音の影響がより大きい南側の地域の投票率が相対的に高い(次図)。

港区長選の投票率(20年)【全体】

地区別の投票率の変化(20年-16年)を地図化

さらに、投票率の変化(前回16年との差)を地図に落としたのが次図。

羽田新ルート(C滑走路到着ルート)周辺に近い地域、特に南にいくほど投票率が前回よりも高くなっていることが確認できる。

港区長選の投票率の変化(20年-16年)【全体】


女性は男性よりも範囲に渡って前回よりも投票率が高くなっている(次図)

港区長選の投票率の変化(20年-16年)【男性】港区長選の投票率の変化(20年-16年)【女性】

まとめ

以上のように、羽田新ルート周辺、特に飛行騒音の大きい南側の投票率は前回よりも高くなった。ただ、羽田新ルートの影響を受けない地域を含めた大きな変化にまで至らなかったことが現職の5選につながったのではないか。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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