厚労省は1月6日、「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」の中間とりまとめを公表した。
中間とりまとめのポイント
「中間とりまとめのポイント」として、次の4項目が掲げられているのだが――
- 事前調査の充実・強化
- 事前調査結果等の届出の新設
- 石綿等の除去作業におけるばく露防止措置の強化
- 作業計画に基づく作業の実施状況の記録の義務化
門外漢にとっては、サッパリ分からないのではないか。
また、12枚からなる「別添資料1」は、目次がないので全体を俯瞰できない。
- 別添資料1:建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の見直しの方向性(建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会中間とりまとめ)
解体・リフォーム工事の工期や工事費に影響しそうな項目は次の2点。
- 解体・改修工事に係る届出制度の新設
- レベル3建材に対する措置
以下、順に概説する。
解体・改修工事に係る届出制度の新設
アスベストが含有されているか否かに係らず、事前に労基署に届け出義務を課した対象工事を以下としている。
- 解体工事部分の床面積の合計が 80m2以上の建築物の解体工事
- 請負金額が 100 万円以上である建築物の改修工事
(別添資料1、P5)
これにより、戸建て住宅の解体だけでなく、小規模なリフォームも事前届出の対象となるである。これまで安易に処理されていた多くの工事に抑止力が働くことで、工期が長引いたり、工事費が増高したりする可能性が出てくる。
レベル3建材に対する措置
ケイカル板第 1 種を破砕する場合には、これまで必要なかった隔離養生が義務化される。
石綿則において、いわゆるレベル3建材については、破砕を行わずに除去することを原則とするとともに、石綿等を含有するケイ酸カルシウム板第 1 種をやむを得ず破砕する場合は、湿潤化に加えて、作業場所の周囲を隔離(負圧までは求めず、養生シート等で囲うような措置を想定)しなければならないこととすること。
(別添資料1、P7)
レベル3建材とは、屋根材や外壁材、天井・壁・床などに内装材として使われる石綿含有成形板、ビニール床タイルなど。アスベストの飛散性が低い建材なので、これまでは原形のまま手作業で取り外すか、破砕する場合には、防塵マスク+湿潤化だけで済んでいた。
ところが、ケイカル板第 1 種を破砕する場合には、防塵マスク+湿潤化だけでは済まず、作業場所の隔離養生(作業場所の周囲を養生シートなどで囲うこと)が義務化されるのである。これにより確実に工事期間は延び、工事費もアップする。
検討会では、年度末を目途に、報告書をとりまとめる予定としている。
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次の記事は、厚労省ではなく、環境省のアスベスト工事の規制強化。