新宿区議会「19年第3回定例会」決算特別委員会(10月4日)で、羽田新ルートに関して、沢田あゆみ議員(共産)の質疑応答があった。
議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約5千文字)しておいた。
※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。
※答弁は環境対策課長
公聴会の開催情報の把握が遅れたことについて
沢田あゆみ議員(共産党、区議7期、女子栄養大Ⅱ部卒、53歳)
沢田:この(公聴会開催)情報を課長はいつお知りになりましたか?
区政における情報公開と個人情報保護という観点から3点にわたって質問をしたいと思います。
まず、区が区民にとって必要な情報を収集し、区民に公開するということは、区民が意見表明を行い、そして政策決定に参画をしていくという意味で大変大事な前提になると、保証になると思います。
そういう点から、1点目にお聞きしたいのは、羽田の新ルートについてなんですが、先日10月1日の質疑のなかで、担当の課長から国交省の公聴会の情報についてはその時点では持っていないというふうに言っておられたと思うんですが、しかし、10月29日の火曜日10時から新宿区立新宿文化センターで公聴会が開催されるということが9月30日の国交省のホームページに掲載をされていて、これが国交省のこの問題での公告用のページには載ってないんですけれども、同時にパブリックコメントも始まっておりまして、このパブリックコメントも10月29日が締め切りということなんですね。この情報を課長はいつお知りになりましたか。
環境対策課長
課長:10月1日夕方
いまご指摘いただいた情報につきましては、10月1日に環境清掃費の慣行の打ち合わせがありまして、終わった後、夕方、この情報については入手したということでございます。
沢田:新宿区に何のお知らせもなくいきなりHPにアップ
これは国交省として行う、新宿だけではなくて全地域を対象とした公聴会なんですよね。
それがこの新宿区の文化センターで行われるという、ある意味、そういう意味では、地元区、新宿区なわけですが、国交省から事前に何の連絡も来てなかったということなんですよね。
これについてはいかがなものかと私は思うんですけども、課長がこの間の答弁のなかでも、再三、「しょっちゅう、国交省に電話をして情報交換をしているんだ」というお話をされていたんですけれども、その割には国交省の今回事実として、新宿区に何のお知らせもなくいきなりホームページにアップされていたということは果たしてどうなんだろうかと。
ちゃんと信頼関係が築けてると、ちょっととても思えないんですよね。この点についてはいかが思われますか。
課長:(国交省から事前の)情報提供はなかった
いまご指摘のように、これまでも様々な、従来から、たとえば国がプレスをするという段においては、各関係区市には必ずメール等で一斉に情報提供をいただいていたという経緯がございました。
しかるに、今回に関してはそのような情報提供はなかったということについては誠に残念というふうに思っておりまして、直ちに抗議をさせていただいたということでございます。
沢田:厳しい姿勢で臨んでいただきたい
ほんとに残念ながら、こちらが一生懸命信頼関係を築いたと思っている割には、向こうからすればそれほどでもなかったということが事実として現れてしまったのかなあというふうに思うわけです。
そういう意味では、今後の国交省に対する対応については、厳しくしていく必要があるんじゃないかというふうに思うんですけど。
これからまだ様々な交渉事とかがあると思うんですが、そういう点ではやはり厳しい姿勢で臨んでいただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
課長:しっかりと情報を求めていく
繰り返しの答弁になってしまうかもしれませんが、今回の情報提供なかったということに関して、国に問いただしたところ、理由の1つ、まぁ理由になるかどうかなんですけれども、通常我々が日頃窓口として対応しているそういう部署と別のこの公聴会の担当という部署が全てやっていたということでございまして、そういったなかで連携が取れておらず、我々に対するいままでできていたはずの情報提供もなかったということなので、部署が変わろうが我々がしっかりと情報を求めていくという姿勢を今後も強く持っていきたいというふうに考えています。
沢田:すべての情報を区のほうに与えてくれているのか
国交省もそんなことは理由にならないと思うんですけども。
じゃあ国交省のなかで、公聴会をやる担当と各区の担当と違うから、各区の担当するところは知らなかったということなんですか。
そうなると果たして区がやり取りしててもすべての情報を区のほうに与えてくれているのかどうかという、そういうところにも関わってくると思うんですけども、そこは確認をされてますか。
課長:しっかりと要望してまいりたい
国のほうから、この件に関しては、いわゆる謝罪というか、大変申し訳なかったという話でございまして、参考までに、新宿以外の区からも同様の意見、そういう苦情というか、が入っていたというふうに認識をしています。
このことを、これを無にすることなく今後さらに情報をいただけるように、しっかりと我々としては要望してまいりたいというふうに考えています。
公聴会情報の区民への周知について
沢田:広く区民にお知らせをする必要がある
この情報をとにかく早く入手して、それを区民にもお伝えしていくということが、区にとっては大事な役割になってくるかと思うんですが、今度行われる公聴会、たまたま区内で行われるということもありますし、まさに区民にとっては意見表明をする貴重な機会にもなるわけです。
そこで傍聴することもできる。利害関係人として公述に手を挙げるということも可能なわけです。
同時に、パブリックコメントも始まっていて、この開催日である29日が締め切りになっているということなので、やはりこの公聴会が行われということや利害関係人として区民の皆さんもそこに手を挙げることができるということや、それからのパブリックコメントでどんな方でも意見を国に対して直接言っていくことができるという、このことを広く区民にお知らせをする必要があると思うんですけれども。
たとえば、区の広報でお知らせするとか、ホームページにすぐに載せるということや、区内の掲示板、町会の皆さんにもご協力いただいて町会の掲示板なんかも含めてそのことをポスターなどを貼ってお知らせをするということをやるべきだと思うんですけど、いかがですか。
課長:10月3日の段階でHPで公表している
羽田空港の機能強化に関する周知については、本来は国のほうで責任を持って全て周知をしていくべきというような考え方を持っております。
しかしながら、区民の皆様に知っていただく必要性というのも当然ある。こういったなかで、先ほど来、答弁申し上げておりますけれど、9月30日に国がプレスをしまして、我々区としては翌日の夜10月1日にそれを把握をいたしました。従いまして、少なくともこのプレスをしてる内容については翌日の10月2日の段階でホームページ載せると決定をし、手続きを経て10月3日の段階で既に公表しているという状況でございます。
沢田:あらゆる手段を通じてお知らせを
ホームページは直ちにできることですからそうだと思うんですけども、広報とか掲示板等とポスター、あらゆる手段を通じてお知らせをするということについてはいかがなんですか。
課長:今後の情報提供のあり方については、今後検討
まず広報でございますけども、ご案内の通り、広報については記事を作ってから掲載するまでに一定程度の期間も必要といったこともあろうかと思います。
ともかく我々としては今回、10月1日に入手した情報について1番早く、リアルタイムで公表できるということでホームページにさしていただきました。
今後の情報提供のあり方については、今後検討してまいりたいというふうに考えています。
沢田:今後検討?
今後検討するっていうか、もう1日にそのことはキャッチしてるわけですから、すでにこれからどうするかということで、広報のほうもこういう緊急の場合は時々ありますよね。
広報のなかで紙面を確保してもらって、そこに入れてもらうっていうようなことを各所管、そういうことというのはままあるんですけれども、そういう最大限の努力をして早く区民のみなさんに広くお知らせをするということが必要だと思うんです。
いまの(答弁)だと広報に出すか出さないかもハッキリしないですし、掲示板、ポスターの話も今後の検討というなかに含まれているのかもしれませんが、ちょっとよく分からなかったので、もう一度お答えください。
課長:(国との)役割分担も踏まえて様々な状況を加味して検討
繰り返しの答弁になりますが、本来こうした機能強化に関する周知については、国がやっていくべきものというふうに認識しております。
ただ一方で、我々区としてはこういうの皆様に区としてできる情報提供、これはやっていこうといったなかで、今回スピーディーにホームページの掲載はさせていただいたということで、今後どうするかということについては、そういった役割分担も踏まえて様々な状況を加味して検討してまいりたいと考えております。
沢田:国に対しては、そういう要望というのはしてるんですか
そしたら国に対してはどういう周知の仕方をしてくれとか、そういう要望というのはしてるんですか。
課長:いまもしていませんし、今後も現時点でする予定はありません
これも繰り返しで大変恐縮でございますけれども、国のほうの広報というか、こちらは「制限表面の変更に関する公聴会」というようなことがまずベースにありますので、国のほうの様々な広報等も基準、考え方があると思いますので、そこはそこで国のほうでやっていくべきものというふうに考えておりますので、そういった広報のあり方そのもの、中身についてのそういう要望については、いまもしていませんし、今後も現時点でする予定はありませんが、いずれにいたしましても、こういうことをやるんだということの情報提供については、しっかり国のほうに提供してもらいたいと、こういう立場で今後も取り組んでいきたいと考えております。
公聴会の公述人の選定について
沢田:反対の意見の人も含めて公述させてくれということを国に求めていくことが必要
少なくとも区民に正しい情報を早くお知らせするというそういう立場に立つのは区として当然のことだと思いますから、それがまずベースにあって、その後のいろんな意見の問題だと思いますから、それはきちんとやってもらいたいと思うんですね。
そして国のほうも、公聴会のやり方もなかなか私たちが思ってるような公聴会というふうにはなかなかなっていないですよね。だからお知らせの仕方もその範囲に限定されてくると思うんですけども。
この間、国が行った公聴会を見ていても、いわゆる国の方針に賛成の立場の人に偏った人選がされているんじゃないかというふうなきらいがあって、結局公述するといってもバランスよく意見が聴取されてないんじゃないかと思われる節もあります。
ですから、いま公聴会が行われる前に、これから公述する人の募集をしているわけですけれども、いろんな立場、反対の意見の人も含めて公述させてくれということを区としても国にいまから求めていくことが必要かと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
課長:国交省のほうで選定をし判断をする
公述等とのご指摘でございます。公述についてはご案内の通りで、様々な公述・意見が出た。ところが、公聴会の時間も限定されていると。
そういったなかで、最終的にどの意見を公述として採用して当日発言をするかということについては、ルール上、国交省のほうで選定をし判断をする、というふうな流れになっているというふうに伺っております。
我々についてはそういったなかで、適正にそういったことが行われるというようなことを期待をして、注視し、ここについては注視してまいりたいというふうに考えています。
沢田:区のほうで意見を言ってほしい
国交大臣が選ぶんですよ。だから偏っちゃうということが起きているので、だから区のほうで意見を言ってほしいと言ってるんです。
今回のこの羽田の新ルートの問題というのは、まさに区民の命と安全が脅かされるというこの重大な問題なわけですね。ですから、やはり区としては区民を守る立場に立って、まさにそれは新ルートの反対という立場に他ならないと私は思いますけれども、やはり国に対してきちんと働きかけをする、正確な情報を迅速に区民に提供する、そういう立場で今後もやっていただきたいということを申し上げて次の質問に移ります。
雑感(公聴会に着目したところまでよかったが…)
公聴会が新宿文化センターで開催されるということが国交省HPに9月30日に掲載されていたのに(公聴会10月29日@新宿文化センタ)、環境対策課長がそのことを知ったのは10月1日の夕方だったという失態。
国交省HPのチェックを怠った(?)課員と、国交省から事前の情報提供がなかったので「直ちに抗議をさせていただいた」と強気の姿勢を崩さない課長。彼らは羽田新ルート問題に本気で向き合っているのだろうか。
公聴会の情報について、沢田区議は、区HPだけでなく、区報や町会の掲示板ポスターなどで広く伝えるべきだと訴える。これに対して、環境対策課長は「国のほうで責任を持って全て周知をしていくべき」と原則論を述べたうえで、区としては10月3日にHPで公表したと主張。「今後の情報提供のあり方については、今後検討してまいりたい」と曖昧な答弁。
公述人の選定について、環境対策課長は「国交省のほうで選定をし判断をする」ルールだから、区としては適正に行われているのか「注視してまいりたい」と答弁。国交省のHPさえまともにチェックできない課長に公述人選定プロセスをチェックできるのだろうか。
以上、羽田新ルート問題を所掌している新宿区の環境対策課長への不満を並べてみた。では、質疑のほうはどうだったのか?
今回、決算特別委員会の「しめくくり質疑」で沢田あゆみ議員(共産)が公聴会に着目したところまでよかったが、肝心の中身にまで踏み込めていない。たとえば、過去の類似事例を聞き出し、公聴会で出された意見がどのように反映されるのか、どうすれば区民の意見が反映されるかなど、もっと具体的な議論を展開してほしかった。
※9月19日に開催された本会議の代表質問は「羽田新ルート|新宿区議会「19年第3回定例会」質疑応答」参照。
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