羽田新ルートの運用開始(19年3月29日)に向けて、いよいよ国交省の手続きが最終段階に入った。
国交省が当初の予定通り、今月中とされていた9月30日、「予定告示」と公聴会のパブコメを発信したのである。
公述書の提出期限まで2週間しかないので、取り急ぎの情報集約。
公聴会は10月29日@新宿文化センター
羽田新ルートについては、国交省が巧妙に情報発信しているので、予定告示とか公聴会とか言われても、一般の人には何のことやらさっぱり分からないのではないか。
簡単に補足すると、次のような流れになっている。
- 19年9月:予定告示
制限表面に変更を生じる場合には(制限表面については後述)公聴会を開催しなければならない。公聴会開催の10日前までに官報で公示しなければならない(航空法施行規則第81条) - 19年10月29日:公聴会
羽田新ルートの制限表面設定に係る公聴会 - 19年11月:決定告示
公聴会の結果を踏まえ、制限表面設定に係る申請が許可された旨の告示が官報で公示される - 11月12日~15日:航空ダイヤ調整会議@オーストラリア・ブリスベーン
- 20年1月~:試験飛行
- 20年3月29日:羽田新ルートに係る新ダイヤ運用開始
来年1月以降の試験飛行や3月末の新ダイヤ運用開始で、多くの都民は初めて巨大な旅客機が頭上を飛ぶことを知ることになるのではないか。そして、なぜこんなことになっているのかと憤慨するに違いない。
公聴会開催案内文書
国交省が9月30日に公表した公聴会開催案内をひも解いてみよう。
公述書の提出期限まで2週間しかない!
- 開催日時:10月29日(火)10時~
- 場所:新宿区立新宿文化センター 大ホール
- 傍聴人数:先着順1,500名以内
- 公述申出:10月15日(火)17時までに公述申込書及び公述書各2部郵送
意見は参考扱いという位置づけなので、ガス抜きに終わる可能性が高いのではないか。
留意事項
- 皆様からいただいた御意見につきましては、当該事項に関する決定の参考とさせていただきます。
- 御意見に対する個別の回答は致しかねますので、あらかじめ御了承願います。
告示(円錐表面及び外側水平表面の変更)
告示文書には、何が書かれているのか。ほとんどの人には判読不能ではないか。
ようするに、羽田新ルートが運用されることによって、下図に示されたエリアがなんらかの制限を受けるということ。
「航空法に基づく東京国際空港の円錐表面及び外側水平表面の変更に関する告示」より
同別図より
公示(同公聴会)
公聴会の公示を読むと、いつ、どこで開催されるのかは分かるが、誰が公述(発言)できるのかまではよく分からない(次図)。
「公述できる利害関係人の範囲航空法施行規則第80条に規定する者」とは誰なのか?
結論を言えば、5区(大田・品川・目黒・港・渋谷区)の下図(追記)に示す首長のほか地域住民など。ただし、公述人(発言者)の選定権は国交大臣にあるので、必ずしも地域住民が選ばれるとは限らない。
※詳しくは、「羽田新ルート|公聴会の開催時期、公述できる人など(まとめ)」参照。
※【追記10月1日】航空法施行規則第80条(利害関係人)に掲げられている「五 空港等を利用する者」が羽田空港の利用者を意味するのであれば、下図に示すエリアの住民だけでなく、ほとんど誰でも公述できることになる。
パブコメ(円錐表面及び外側水平表面の変更)
10月29日の公聴会に向けて、円錐表面及び外側水平表面の変更に係るパブコメの募集も開始された。
意見募集期間は、9月30日(月)から10月29日(火)(必着)。
パブコメで寄せられた意見はあくまでも参考扱い。
国土交通省では、東京国際空港の飛行経路の見直しに伴い、同空港について指定した円錐表面及び外側水平表面の変更を検討しております。
つきましては、下記の要領にて広く国民の皆様の御意見を募集いたします。お寄せいただいた御意見につきましては、最終的な決定を行う際の参考とさせていただきます。
なお、御意見に対する個別の回答は致しかねますので、あらかじめ御了承願います。
【追記10/1】制限を受ける区
国交省が公開した図には、円錐表面と外側水平表面が描かれているが、どの区が制限を受けるのか分かりにくい。
そこで、同図に円錐表面と外側水平表面を着色したうえで、さらに区境を記入したのが次図。同図から23区のうち制限を受けないのは荒川・足立区ということになる。
今回新たに制限区域に入ったのは、9つの区(世田谷・新宿・中野・杉並・豊島・練馬・北・板橋・文京)。
あわせて読みたい