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羽田新ルート|ガラパゴス管制を止めれば都心低空飛行は不要

7月19日(金)夕刻、大井町きゅりあん(大井町駅徒歩1分)で『都心低空飛行問題シンポジウム』が開催された。

※詳しくは、「NHKの拡散効果に期待!『都心低空飛行問題シンポジウム』」参照。

特に気になったのは、杉江弘氏(元日本航空機長)の基調講演で語られた不都合な真実。

世界の管制ルール(出発便の待機時間を短縮する)を適用すれば、羽田は約5%増やせるから、これだけで羽田増便問題は解決できるという指摘。

都心低空飛行問題シンポジウム - YouTubeより、杉江氏の指摘を整理してみた。


もくじ

世界標準の管制

滑走路の手前の誘導路で止まってる出発機に、着陸機が過ぎ去ったら速やかに滑走路に入って離陸の待機をしなさいというのが、世界標準の管制。

ちょっと専門的な話をしますが、実際問題、日本の管制の離発着のやり方で、世界から、うんと遅れてることがあるんです。それはどういうかというと、世界の大空港、アジアもそうです、世界中どこでもそうですけど――。

(模型飛行機を手に取って)いま飛行機を用意しました。ここ(演台の上)に滑走路があって、ここ(演台の端を指して)の滑走路を端っこだとしますね。飛行機が(着陸機が滑走路に)進入してきます。

杉江弘氏(元JAL機長)基調講演

世界の大空港では、管制官はたくさんの飛行機を発着させるために、ここ(滑走路の手前の誘導路)で止まってるその出発機(の機長)に、「いま右に飛行機が来ている(降りてきている)、見えるな」と。「その飛行機(着陸機)が過ぎ去ったら、速やかに(滑走路に)入って、離陸の待機をしなさい」とこういうこと言うんです。どこでもそうです。

↓ こんな感じ。

世界標準の管制(イメージ)

日本のガラパゴス管制

日本の管制は、着陸機待機している飛行機の目の前を通過して、待機している飛行機の目の前に何もなくなってから出発許可を出す。15秒ぐらい時間が無駄だという。

ところが日本は違うんです。

飛行機(着陸機)が(待機している飛行機の)目の前を通過して、ここ(待機している飛行機の目の前に)に誰も(何も)いなくなってから、出発許可を出すんです。

そうすると、どういうことになるかというと、ここ(待機している飛行機の目の前)を過ぎ去ってから、ここで初めて「滑走路に入っていいよ」というんです。

パイロットは何をやるかというと、最後の何項目をスイッチを入れたり、CAに「いまから離陸するぞ」と。そうするとCAの人は、お客さんに「もう一度ベルトを確認してください」とやりますよね。そういうことをやるんです。

それでパーキング・ブレーキを外して、エンジンをこうやります(スロットルレバーを前に倒す)。飛行機というのは重いんですから、なかなか動かない。やっと動いて、滑走路に入ってくる。

滑走路にやっと入ったところで、前を見たら先行機はもうとっくに滑走路を出ているんです。この間は15秒ぐらい時間が無駄なんです。わかりますよね。

それで、主に日本の飛行機は大体そういう管制に慣れてるんだから、世界中どこでもすごくアクションが遅い。特に日本航空は遅い(会場笑)。国交省からは昔、クレームをつけられた。「もっと早く(滑走路に)入れ」って言われたんです。

↓ こんな感じ。

日本のガラパゴス管制(イメージ)

ガラパゴス管制を止めれば都心低空飛行は不要

日本のガラパゴス管制を止めれば、羽田発着枠約5%、成田の発着枠約10%増えるという杉江氏の試算。都心低空飛行問題は解決できるという。

こういうこと(世界標準の管制)が、日本の管制官になぜできないのか。

私もいっぱい管制官に知り合いがいて、管制官に聞くと、みんな言うには「何かあったら責任が回ってくるから嫌なんだ」と。でも、何もあるわけがないですよ。こんな飛行機(着陸機)とここ出口(滑走路の入り口)で、出発する飛行機とがぶつかるわけないんですよ。だって世界の空港はこれでやってるんですから

これはですから、羽田の発着枠をこれで増やせます。約、私の計算では5%くらいです。

成田は夕方の5時、6時のときは、もう飛行機は10機、15機、誘導路に並びますから、離陸のために。それ(日本のガラパゴス管制)を全部やっているわけですから。これ(世界標準の管制)をやれば、世界的にこういう運航をやれば、10%ぐらいは発着枠が増えます。いまより。

そうやっていくと、羽田空港も相当(便数が)増える。この問題(都心低空飛行問題)もう解決ですよ。もうこれで、これだけで

雑感

杉江氏は、ジャンボジェット(B747型)飛行時間で世界一の記録を持ち、現在では広く航空界全体に採用されて安全運航に寄与しているに「スタビライズド・アプローチ」と呼ばれる飛行方式の立案・推進に従事した経歴の持ち主でもある。

その飛行経験豊富な杉江氏が、日本のガラパゴス管制を止めれば都心低空飛行は不要になる可能性を指摘していることは一考してみる価値があるのではないか。

まあ、国交省は、滑走路の様々な運用パターンを検証した結果、現在の計画案がベストと言ってくるのかもしれない。このあたりは、秋の国会でシッカリと議論してほしいものだ(もう手遅れか……)。

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