石井国交大臣は6月14日の定例記者会見で、民泊新法施行1年の現状を踏まえ、届出システムの改善や地域での普及に向けた取組を進めていきたいと答えている。
「違法民泊」は依然課題(NHKニュース)
「民泊新法」の施行から15日で1年。届け出があった件数は1年前の7倍以上に増えた一方で、「違法民泊」も依然として後を絶たないという。
民泊新法 施行から1年で届け出7倍 「違法民泊」は依然課題
民泊の営業を解禁し、自治体への届け出を義務付けるいわゆる「民泊新法」の施行から15日で1年です。届け出があった件数は1年前の7倍以上に増え普及が進んだ一方で、無届けで営業しているいわゆる「違法民泊」も依然として後を絶たず、課題となっています。
去年6月15日に施行された「民泊新法」では、民泊の営業を解禁する一方、部屋を貸し出す人には、自治体への届け出が義務づけられました。
当初、届け出の件数は、全国で2200件余りでしたが、今月7日の時点では1万7301件と、1年前の7.8倍余りに増えました。(以下略)
(NHKニュース 6月15日)
家主居住型の民泊が伸びていないという指摘(大臣会見)
石井国交大臣は6月14日の定例記者会見で、家主不在型民泊が増えているが、家主同居型民泊が伸びていない点を問われて、届出システムの改善や地域での普及に向けた取組を進めていきたいと答えている。
(問)住宅宿泊事業法の施行が明日で1年を迎えることで、民泊に関して2点お伺いします。
施行1年で、先日の会見でも仰っていましたが、届出数は順調に増加していると。
ただその中で、都市部に偏り地方は伸び悩んでいるのが実態だと思います。
この点についての大臣の御所見と、地方に普及させる方策についてどのようなことを考えているのか、まず1点お伺いしたいと思います。
(答)先日の会見でも申し上げましたが、いわゆる民泊の届出件数は順調に増加を続けておりますけれども、都市部に集中しておりまして、今後は地方部における民泊の普及が課題と認識しております。(中略)
(問)続けて2点目ですけれども、施行1年で、届出内容の動向にも変化が見られるかなと。
例えば、法人事業者の割合ですとか、家主不在型の割合が増えてですね、裏を返せば個人で家主が同居してやっている民泊はあまり伸びていないのかなと。
こうした傾向を巡る要因としてどのようなことがあると考えられるのか。
併せて、先ほど大臣が仰ったように日本文化の交流ですとか体験ですとか、家主とゲストが触れ合うような、当初掲げていた理念からすると、そこが霞んでいるのではという気もするのですが、大臣の御所見をお伺いします。
(答)民泊法の施行当初から比較いたしますと、届出住宅における法人事業者の割合が27%から48%へと、また、家主不在型の割合が55%から74%へとそれぞれ増加しているところであります。
この要因につきましては、管理業者の登録数が増えるなど、新たなルールに基づく民泊ビジネスが軌道に乗ってきたことなどが考えられると思います。
家主同居型の増加方策につきましては、今後も民泊に関する制度や届出手続き等の分かりやすい周知や届出のためのシステムの改善等の取組を進めていくほか、住宅宿泊協会や関係事業者と連携いたしまして一般の個人の方にも民泊の魅力を伝えていくなど、地域での普及に向けた取組を進めていきたいと考えております。
民泊施設、都市部に偏り
民泊施設は「都市部に偏り地方は伸び悩んでいるのが実態」だという記者の指摘。たしかに東京23区や大阪市、札幌市といった一部の大都市に集中しているのが現状である(次図)。
(同上)
違法民泊は減っていない
NHKは、無届けで営業しているいわゆる「違法民泊」も依然として後を絶たないと報じている。
ところが、国交大臣の記者会見では「違法民泊」問題には触れられていなかった(さすが忖度記者クラブである)。
筆者の独自調査によれば、東京では3割、大阪では4割を超える違法民泊らしき存在が観測されているのだが(次図)。
「中国系民泊仲介サイト|東京2千件、大阪3千件が違法民泊!?」より
「同上」より