国土交通省は4月26日、「平成30年度マンション総合調査結果」を公表。同調査は、全国の管理組合や区分所有者のマンション管理の実態を把握するため、約5年ごとに実施されている。
調査結果報告書はデータ編も含めると393ページとかなりのボリュームだ。
つぶさに見ていくと、民泊に係るデータを発見(次図)。
民泊データが掲載されるのは今回初めて。貴重なデータなので可視化してみよう。
民泊に関するルールの有無
「民泊を全面禁止とした」管理組合が95.2%、「特にルールを決めてない」管理組合が3.1%となっている(次図)。
ほとんどの管理組合が「民泊を全面禁止とした」ような印象を受けてしまうが、注意が必要だ。なぜならば、アンケート調査に回答したのは全国の1,688管理組合(回収率40.2%)だからだ。つまり、アンケート調査に回答していない管理組合(59.8%)のほうが多い。
国からのアンケートにシッカリこたえるためには、管理組合もそれなりにシッカリした体制が維持されている必要がある。アンケート調査に回答していない管理組合のなかにこそ、民泊に関して「特にルールを決めてない」管理組合が多く含まれているのではないのか。
民泊に関するルールの定め方
民泊に関するルールがある1,609管理組合のうち、「総会特別決議により管理規約で定めた」が81.9%と最も多い(次図)。
総会普通決議による「使用細則」や「方針」、理事会で方針を定めた管理組合は極めて少数派であることが分かる。
民泊に対する実施状況と意向
マンション内での民泊の実施状況と意向について、「マンション内のルールで禁止されているし、行いたいと思わない」が91.8%と圧倒的に多い。「マンション内のルールで許容されており、行っている」は3.2%と極めて少ない(次図)。
マンションでは民泊反対派が圧倒的多数であるかのような印象を受けてしまうが、上述「民泊に関するルールの有無」と同様、アンケートの回収率に注意する必要がある。
このアンケート調査に回答したのは全国の3,211区分所有者(回収率38.2%)である。逆に言えば、アンケートに回答していない区分所有者(61.8%)のほうがはるかに多い。
アンケートに回答していない区分所有者のなかにこそ、こっそりと民泊を運営している人が多く含まれているのではないだろうか……。