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羽田新ルート|衆院国交委、石井大臣vs宮本徹議員

第198回 国会衆議院「国土交通委員会」において4月12日、羽田新ルートについて宮本徹議員(共産党)の質疑応答があった。

ネット中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約4千700文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

「地元の理解」について

宮本徹(日本共産党)
宮本 徹 衆議院議員(共産党、2期、東大、47歳)

宮本:品川・渋谷区議会で、全会一致で決議・意見書が採択されております

前半は羽田の新飛行ルートについて質問いたします。
3月26日に品川区議会と渋谷区議会で、全会一致で決議・意見書が採択されております

品川区議会の決議は、「危険性が指摘される中で、品川区上空を飛行することは、多くの区民に理解しがたい現状がある。落下物、騒音への不安、国の説明・周知不足等の理由により、品川区上空を低高度で飛行する新飛行ルート案を容認することはできない」。こうして「国土交通省に対して品川区上空を飛行しないルートへの再考を強く求める」、こう書いてあります。

渋谷区議会の意見書は、「私たちの頭上を低空で飛行することとなり、落下物や騒音、大気汚染など区民生活へ大きな影響が想定される」として、「渋谷区議会は国会及び政府に対し、区民の生活を守るために計画の見直し等を強く求めるものである」。こう書かれております。

大臣、この両議会の意見書・決議についてはどう受け止められておられますか

石井:承知をしております

石井啓一 国交大臣
石井啓一 国交大臣(公明党、9期、東大工学部、61歳)

品川区議会や渋谷区議会におきまして、羽田空港の新飛行経路について、区上空を飛行しないルートへの再考を求める決議や計画の見直し等を求める意見書が可決されたことは承知をしております

国土交通省といたしましては、訪日外国人旅行者の受け入れ、わが国の国際競争力の強化等の観点から羽田空港の機能強化は必要不可欠と考えております。飛行経路の見直しの実現のためには丁寧な情報提供を行い、できる限り多くの方々にご理解をいただくことが重要と認識をしております。

これまで騒音や落下物に対する懸念に対応いたしまして、騒音対策や落下物対策の充実強化を図り、これをしっかり説明することにより、ご理解を得られるよう努めてきたところであります。今後とも羽田空港の機能強化の必要性や騒音、落下物対策につきまして、より多くの方々のご理解をいただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

宮本:「地元」には、地元自治体の議会は入る?

「理解を得られるように」と言いますが、第5フェイズまで5回にわたり説明会を重ねた結果がこれなんですよね。地元の理解を得られてないのは明白なんですよ。説明して、説明して、説明して、説明した結果がこの区議会の現状です。しかも、「どう受け止めるのか」と聞いたら、「承知をしている」と。「重く受け止める」とも言わないと。とんでもない姿勢だと思います。

首相は昨年1月の施政方針演説で、「地元の理解を得て、2020年までに発着枠拡大を実現します」と言ってるわけですよ。この「地元」には当然、地元自治体の議会は入るんじゃないですか

石井:「地元」のなかには地方議会も含まれると認識

訪日外国人旅行者数2020年4千万人、2030年6千万人とする観光ビジョンの目標の達成や我が国の国際競争力を強化する等の観点から、首都圏空港の機能強化は必要不可欠と認識をしております。これらの目標を達成のためには、羽田空港の飛行経路の見直しや成田空港の高速離脱誘導路の整備等によりまして、年間の発着枠を合計8万回拡大する必要があると考えております。

羽田空港の機能強化に関しまして、ご理解を得る「地元」とは、関係地域の地方公共団体および住民の方々を想定をしておりますが、「地元」のなかには関係地域の地方議会も含まれると認識をしております。

国土交通省といたしましては、引き続き騒音対策や落下物対策等に取り組むとともに、今後とも丁寧な情報提供を行うことによりまして、より多くの方々からご理解をいただくよう努めてまいりたいと考えております。

宮本:新飛行ルートは現状では理解が得られてない

つまり「地元の理解を得て」と言った場合の「地元」には地方議会も当然入るという答弁がございました。

ということは、現状では地元の理解は得られてないということになりますので、このまま新飛行ルートは現状では理解が得られてないんで進められないと、こういうことになるんじゃないですか。

石井:ご理解をいただけるよう努めてまいりたい

国土交通省といたしましては、引き続き騒音対策や落下物対策等に取り組むとともに、今後とも丁寧な情報提供を行うことによりまして、より多くの方々からご理解をいただけるよう努めてまいりたいと考えています。

宮本:(理解が)得られていない以上、断念することを強く求めておきたい

「理解が得られていない」というのは明白ですから、今まで「地元の理解を得て」という説明をずっとしてきたわけですから、得られていない以上、断念することを強く求めておきたいと思います。

増便枠について

宮本:訪日客数がアジアよりも少ない米国に対して発着枠を手厚く配分?

それで、石井大臣。今年2月12日の記者会見で、羽田空港の国際線発着枠の増加についてこう述べてるんですね。「先般、発着枠数が増枠した場合に、米国へ配分されるべき発着枠数につきましては、12枠とする共通認識を持つに至りました」、こう述べてます。

羽田発着枠が約50便増加し、日米に12便ずつ、24便を割り当てとなります。残りはアジア、欧州各国への配分です。

この配分、大変不思議なんですよね。昨年の訪日客数は中国の838万人、韓国の754万人に対して、米国は150万人程度。にもかかわらず発着枠の増加数の半分が日米路線ということになっています。

石井大臣に伺いますが、訪日客数がアジアよりも少ない米国に対して発着枠を手厚く配分したと、客観的に見てそう思うわけですが、大臣の見解はどうですか。

石井:日米間の豊かなビジネス需要に応え、国際競争力強化を図るため

今般、羽田空港で増加いたします発着枠につきましては、「未来投資戦略2018」に記載されておりますように、訪日外国人旅行者の受け入れ拡大や我が国の国際競争力の強化を図るために活用することとしております。

米国からの訪日旅行者数はここ数年、毎年対前年10%以上の成長を続けておりまして、2018年も対前年11%増の153万人となっております。

こうしたなか、長期滞在をし、消費額の大きい傾向にある欧・米・豪のなかでも筆頭国となる米国からの訪日需要を我が国の成長力として取り込むと共に、日米間の豊かなビジネス需要に応え、我が国の国際競争力強化を図るため、航空会社からのリクエスト等も踏まえ、日米双方に1日12便の配分とすることで共通認識を持つに至ったところでございます。

宮本:米側のビジネスの要求に応えるというのが真の狙い?

今まで訪日観光客4千万を目指してということをずっと強調してきたわけですよ。だけどここで出てきたのは日米路線に大半を、半分を当てると。けっきょく観光立国というのは口実で、アメリカ側の、とりわけビジネスの要求に応えるというのが真の狙いというのが羽田新飛行ルートなんではないか、と考えざるを得ないんですよね。

これ、過去からそうなんですね。石井大臣は2015年12月4日の記者会見で、「日米航空交渉について、羽田の昼間の米国路線の実現に向けて日米で協力して取り組む」と発言されておられます。

また、2016年2月19日の会見でも、「もちろんアメリカに対しても適切な配分を行う」と発言されておられます。

石井大臣のこれらの発言は米側が2014年3月に、羽田空港への長距離国際線のアクセスが利用可能となったので、米国航空企業による羽田空港への商業的に意義ある拡大を求めてきたことを踏まえた発言なんじゃないんですか

石井:日米間のビジネス・観光交流促進の重要性を踏まえ合意

2010年3月からの羽田空港国際線発着枠の前回増枠時の配分につきましては、両国の航空当局間で協議を行った結果、日米間のビジネス・観光交流促進の重要性を踏まえまして、日米双方に1日5便の配分とするということで合意に至ったものであります。

宮本:USTRの指摘に沿って、昼間時間帯のアクセス拡大?

私が今紹介したセリフは、アメリカのUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)の「2014年外国貿易障壁報告書」に記載してある対日要求のセリフなんですね。2015年の同報告書は、「米国政府は引き続き米国航空会社の関心を満たすような商業的に意味のある羽田空港への昼間時間帯のアクセス拡大を引き続き追求する」と書いてあります。

結局、石井大臣はUSTRの指摘に沿って、アメリカ航空会社の昼間時間帯のアクセス拡大を進めてきたと、こういうことなんじゃないんですか。

石井:米国に限らず両当事者国間で議論をする

2014年3月の増枠のことでしょうか?

これにつきましては、一般的に航空交渉は米国に限らず両当事者国間で相手国との航空関係において希望する内容を議題として持ち寄って議論をするものでございます。

2014年3月からの羽田空港国際線発着枠の前回増枠時の配分につきましても、米側からの希望も踏まえ両国間でこのことを議題とすることを合意し協議を行ったものであります。

宮本:米国の国益に応える形で発着便を増やす…

ですから米側から求められるままに、その意に沿ってどんどん、どんどん米国枠を拡大する。

2018年のUSTRの報告書は、既に羽田空港から米国へのサービスを提供している米国の航空会社4社および日本の航空会社2社が現状のオペレーション拡大できるようになったとしております。
USTRが指し示す米国航空会社の商業的利益拡大を大臣は忠実に実施してきたと、ここをUSTRも手放しで評価しているわけですね。

さらに一番直近のUSTRの報告はこうなったわけですよ。「羽田は国際線のために2020年までに追加の発着枠をオープンさせることが見込まれているので、そのうちいくつかは米国の航空会社に利用させるべきである」と。「そのことを米国は監視し続けるんだ」と。

結局、訪日客の増加だとか、観光立国だとかということで住民向けにも説明でまあまあやってきたわけですけども、何のことはないですよ。アメリカのUSTRの、アメリカの国益に応える形で発着便を増やすと。新飛行ルートを今まで海上を飛んでたものを東京都民の頭上を飛ばすという話になってきてるんじゃないですか

横田空域との取引材料では?

宮本:米国の発着枠の手厚い配分、横田広域通過を認める交渉の取引材料?

もう一点お伺いしますが、羽田新飛行ルートで航空機が横田空域を通過することについて、報道では当初在日米軍は軍用機の訓練と離発着に影響が出るとの難色を示しておりました。

ところが、1月末、在日米軍は、午後の短い時間に限ることを条件に日本側の管制を認め、横田空域通過が可能となりました。そして今年2月の石井大臣の「米国の発着枠を12便にする」という発言があったわけですね。

これ、時系列でみますと、日本政府が米国の発着枠の手厚い配分を認めていったのは、横田広域通過を認める交渉の取引材料にしていったと、こういうことじゃないんですか。

石井:ご指摘のような事実はございません

横田空域の調整と羽田空港の発着枠の調整は全く別の問題でございまして、ご指摘のような事実はございません

宮本:米国の利益をおもんばかるんではなくて、国民の生活を守るべき

私だけが言ってんじゃないんですね。メディアでも同じような指摘がされております。時系列から言えば、そういうふうなことが実際にはあったんではないかというふうに疑念を持たざるを得ないわけですよね。

私は、やっぱりなぜ羽田のルートが海上になったのかという歴史的経過の重みをやっぱり再度、大臣には考えていただきたいと思います。

騒音公害があり、耐え難いということで海上ルートになったわけですよね。そういう経過があるわけですよ。だからこそ、「また都心の上を飛ばすのか!」ということで全会一致で、それこそ大臣のおられる公明党の会派も含めて、品川区議会、渋谷区議会で新飛行ルートは認められないという決議が上がっているわけであります。

アメリカの利益をおもんばかるんではなくて、国民の生活を守るべきだということを強く申し上げて後半の質問に移りたいと思います。

雑感(大臣答弁を信じるか信じないかはあなた次第…)

羽田新ルート計画の再考・見直しを求める品川・渋谷区の決議・意見書を受けて、「丁寧な情報提供」を3回も繰り出す石井大臣の答弁には苦しさがにじみ出ている。

さらに、羽田増便枠の半分を訪日客の少ない日米路線に配分した点を問われ、「横田空域の調整と羽田空港の発着枠の調整とは全く別の問題」だとする石井大臣の抗弁は説得力が感じられない。

「USTR(アメリカ合衆国通商代表部)が指し示す米国航空会社の商業的利益拡大を大臣は忠実に実施してきた」という宮本議員の指摘は腑に落ちる。

石井大臣の答弁を信じるか信じないかはあなた次第……。

せっかくの国会での議論も、マスメディアが取り上げなければ、都民の知るところとはならない。弱小なこのブログメディアによる情報が少しでもお役に立てば幸甚。

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2018年6月1日、このブログ開設から14周年を迎えました (^_^)/
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