首都圏不動産公正取引協議会が「おとり広告」などの撲滅を強力に推進するためとして、違反者に対して不動産情報サイトへの広告掲載を1か月以上停止する「厳重警告及び違約金課徴の措置」を始めたのは17年1月。このブログではそれ以来毎月、同措置の結果が「公取協通信」に掲載されるたびに、定量的な分析記事を投稿している。
同協議会が11月7日に発行した「公取協通信第295号(平成30年11月号)」に10月度の厳重警告・違約金の措置が掲載されている。
ざっくり言うと
- 【措置対象業者】10月の違反4社
- 【サイト別】自社HP2件、いい部屋ネット2件、ほか
- 【内容別】取引条件の不当表示6件、おとり広告3件、ほか
- 【免許更新回数別】4社すべてが2回以下
- 【悪質事例】3回目の厳重警告・違約金の措置
【措置対象業者】10月の違反4社
17年1月からスタートした「厳重警告及び違約金課徴の措置」の対象業者は、毎月5社前後で推移している。
「なぜ、毎回5社前後なのか」という突っ込みはさておき、今回は4社(次図)。
※8月の調査結果は、公取協通信に掲載されていない。
【サイト別】自社HP2件、いい部屋ネット2件、ほか
今回4社の広告が掲載されていたのは、自社HP2件、いい部屋ネット2件、ほか3件。
これまでの「厳重警告及び違約金課徴の措置」の対象をサイト別にみると、自社HP、スーモ(SUUMO)、ライフルホームズが多い(次図)。
【内容別】取引条件の不当表示6件、おとり広告3件、ほか
今回は取引条件の不当表示6件、おとり広告3件、ほか8件。
これまでの「厳重警告及び違約金課徴の措置」の対象を内容別にみると、「おとり広告」と「取引条件の不当表示」が多い(次図)。
【免許更新回数別】4社すべてが2回以下
今回は、4社のうち免許更新回数1回が2件、2回が2件。
これまでの「厳重警告及び違約金課徴の措置」の対象を免許更新回数別にみると、1~2回の業者が多い(次図)。
【悪質事例】3回目の厳重警告・違約金の措置
B社は過去2回(15年1月と17年6月)おとり広告で厳重警告・違約金の措置を受けている。
今回で3回目。スリーアウトでも退場にならない業界……。
B社(足立区所在/免許更新回数(2))
◇おとり広告(契約済物件)
- 既に契約済みで取引できないにもかかわらず、新規に情報公開を行い、2か月半以上継続して広告(1件)
- 新規に情報公開後に契約済みとなり、取引できないにもかかわらず、更新を繰り返し、長いもので3か月以上、短いものでも1か月以上継続して広告(9件)
◇取引条件の不当表示
- 「賃料 4.0万円 管理費等 0円」⇒ 賃料45,000円、管理費4,000円(1件)
- (以下略)
過去の措置
- B社は、平成27年1月及び平成29年6月にインターネット広告(不動産情報サイト及び自社ホームページ)において、いずれも契約済みのため取引できない「おとり広告」を行ったことなどにより厳重警告・違約金の措置を受けている。
あわせて読みたい