国交省が7月13日に公表した「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」には、専門知識のない管理組合が保守委託しようとするときの検討すべきポイントが示されている。
全32頁。次の4項目で構成されている。
- 第1章 総則
- 第2章 機械式駐車設備の適切な維持管理のために管理者がなすべき事項
- 第3章 保守点検事業者の選定に当たって留意すべき事項
- 第4章 保守点検契約に盛り込むべき事項
詳細は同指針を読んでいただくとして、ポイントを3つ紹介しよう。
※投稿18年7月15日(追記23年2月9日)
管理者がなすべき事項
機械式駐車設備の適切な維持管理のために管理者がなすべき事項として、次の5つが掲げられている。
- 定期的な保守・点検(3項目)
- 不具合発生時の対応(3項目)
- 事故・災害発生時の対応(4項目)
- 機械式駐車設備の安全な利用を促すための措置(2項目)
- 文書等の保存・引き継ぎ等(3項目)
管理者は、当該機械式駐車設備の廃止まで、過去の作業報告書などを保管する必要があることにつき、留意しておきたい。
保守点検事業者の技術力などの評価チェックリスト
保守点検事業者の機械式駐車設備に関する知識・技術力などを評価するためのチェックリストが示されている(次図)。
委託先の経営状態や保守点検業務実績(業務継続年数)、緊急要請時の対応など、チェックリスト形式でまとめられている。全23項目。
あなたのマンションの機械式駐車設備の保守点検業者の知識や技術力に問題はないか?
保守点検契約に盛り込むべき事項のチェックリスト
保守点検事業者と保守点検契約を締結する際の、「保守点検契約に盛り込むべき事項のチェックリスト」が示されている(次図)。
通常時の保守点検の責任範囲だけでなく、災害時の保守点検の責任範囲の明確化も項目に掲げられている。全22項目。
雑感
今回公表された指針は、機械式駐車設備の維持管理に関して、国交省が初めて策定した指針。新築マンションの供給戸数が減少に向かっている状況で、「チョット遅すぎるんじゃないの」というのが正直な感想。
あと、機械式駐車設備の委託費用に係る情報もほしいところだが――
国交省が7年前(2011年4月18日)に公表した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に機械式駐車場の1台あたりの修繕工事費が掲載されてるので、そちらを見ろということなのか(国交省ガイドライン、販促本位の修繕費にダメ出し)。
【追記】指針の一部見直し(21年9月30日)
※追記23年2月9日
国交省は21年9月30日、「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」を一部見直しを発表。
見直したのは次の2点。
- 近年、機器等の交換が実施されなかったことによる事故が発生しているため、このたび、本指針に示す「機械式駐車設備標準保守点検項目」について、交換を促進できるよう項目を見直しました。
- 本指針では、所有者及び管理者から製造者への設備の適切な維持管理に係る問い合わせに対応する仕組みを製造者において整備することとしており、この仕組みを引き続き所有者及び管理者のほか、保守点検事業者も理解する必要があるため、本指針の「保守点検事業者の選定に当たって留意すべき事項のチェックリスト」を見直しました。
「交換を促進できるよう項目を見直し」については、「新旧対照表」が分かりやすい。見直しになった点検内容などが朱書きで記されている。
また、保守点検事業者の選定に当たって留意すべき事項のチェックリスト」を見直しについては、「有資格者が協力会社に在籍する場合には、協力会社の資格取得者数とその資格名を示してもよい」とされていたのが、「協力会社に在籍する作業員を有資格者として従事させる場合には、協力会社の資格取得者数とその資格名を示すこと」に変更された。
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