レンタカーリース会社の跡地に建つ、13階建ての大規模マンション。
物件概要
【予告広告】新宿駅直通21分(急行利用)、駅徒歩3分。総戸数254戸、13階建。販売戸数/未定、2LDK(58.17m2)~4LDK(91.08m2)。販売価格/未定。平成28年9月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年5カ月後)。
新聞半紙大のチラシ裏面に、「乗り降りしやすい『自走式駐車場』」を喧伝するキャッチコピー。
日々のくらしやすさにこだわり、実現した「自走式駐車場」「車寄せ」。
- 機械式駐車場と比べて、出入庫の手間が少なく、乗り降りしやすい「自走式駐車場」を採用。
- 1~3階で住棟のエレベーターホールとつながっているので、住まいへの行き来も便利です。
同じデベロッパーが建設しているマンションで機械式駐車場を採用している場合、営業マンはなんと説明するのか、と突っ込みたくなるのはさておき――。
車から下りて、住棟のエレベーターホールに直行できるのは、毎日車を使っている人にとってはとても便利であろう。
車に乗ったまま部屋まで行ける「ポルシェデザインのタワーマンション(60階建て、総戸数132戸、2016年竣工予定@マイアミ)」と異なり、このマンションを購入する人は、車を持っている人ばかりとは限らない。
このマンションの駐車施設は、総戸数254戸に対して95台。駐車場設置率としては37%(=95台÷総戸数254戸)。
エレベーターホールに直行できる3階建ての駐車場は、4割に満たない世帯のために造られているのだ。
車を持っていない6割強の世帯にとって、エレベーターホールに直行するために要した余分な建設費を負担するのは面白くなかろう。
この駐車場設置率37%は適切なのか?
- 23区新築マンションの駐車場平均設置率は毎年低下
- そもそも自家用車の保有台数が減ってきている
- 自家用車の所有台数の減少と呼応して駐車場平均設置率も低下
- 総戸数の4割超え駐車台数の23区新築マンションは要注意
23区新築マンションの駐車場平均設置率は毎年低下
SUUMO(首都圏版)のバックナンバーをひも解いてみよう。
SUUMO(スーモ)の最新号2015年4月14日に掲載されている23区の物件の、総戸数と駐車場台数を根気よく拾っていく。
同様に、過去7年間(2008年~2014年)4月上旬に発行されたSUUMOのデータも、超根気よく拾い、集計した結果が次表。
分かりやすいようにグラフ化したのが次図。
2008年・2009年に6割くらいあった平均設置率は年々減少し、現在(2015年4月)では4割まで低下しているのだ。
そもそも自家用車の保有台数が減ってきている
(財)自動車検査登録情報協会(略称:自検協)のホームページに、2005年から2014年(いずれも3月末)の「自家用乗用車の世帯当たり普及台数(都道府県別)」のデータが掲載されていたので、首都圏(1都3県)の数値データを見える化してみたのが次のグラフ。
埼玉・千葉は全国平均並みの1台を超えているが、神奈川になると0.8台を下回り、東京になると0.5台を下回っていることが分かる。
自家用車の所有台数の減少と呼応して駐車場平均設置率も低下
少なくとも、東京では自家用車の所有台数(世帯当たり普及台数)の減少と呼応して、新築マンションの駐車場の設置率も低下していると言えそうだ。
新築マンションの駐車場平均設置率と乗用車普及台数の推移を一つのグラフにしてみるとよく分かる。
※右側のタテ軸は、0.40~0.60(ゼロから始まっていない)ことに要留意。
総戸数の4割超え駐車台数の23区新築マンションは要注意
東京では自家用車の所有台数(世帯当たり普及台数)が年々減少しているので、現在の23区の駐車場平均設置率約4割も、今後低下していく可能性が高い。
もちろん、郊外か都心なのかなど、立地条件にもよるのだが、総戸数の4割を超えて駐車台数が計画されている新築マンションについては注意が必要だ。
マンションの多くは駐車場利用料の一部が修繕積立金に見込まれているので、ただでさえ少なく設定されている修繕積立金が、将来不足する可能性が高くなるからだ。
ちなみにこのマンションの駐車場設置率は37%だから、ぎりぎりセーフ?
(本日、マンション広告2枚)