土木学会は6月7日、「『国難』をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書」を公表。
20年間の被害額を南海トラフ巨大地震1410兆円、首都直下地震778兆円と見積もった。国土強靱化計画をさらに強化するよう提言している。
南海トラフ巨大地震は1410兆円(毎日新聞記事)
土木学会は6月7日、巨大地震や高潮、洪水による被害額の試算を公表。南海トラフ巨大地震は1410兆円、首都直下地震は778兆円。国土強靱化計画をさらに強化するよう提言した。
南海トラフ巨大地震は1410兆円 被害額推計
土木学会は7日、巨大地震や高潮、洪水による被害額の試算を公表した。地震とそれに伴う津波は発生から20年にわたる被害を累計し、南海トラフ巨大地震は1410兆円、首都直下地震は778兆円と見積もった。政府の想定を基に、長期にわたる国内総生産(GDP)の落ち込みを阪神大震災の経過を参考に推計。従来の政府の試算を大幅に上回る規模となった。
(中略)
一方、公共インフラ整備を進めることで、これらの被害を最大6割軽減できると推計。政府・与党が推進する国土強靱(きょうじん)化計画をさらに強化するよう提言した。(毎日新聞 6月7日)
南海トラフ地震と首都直下地震の被害額が大きすぎて…
巨大災害の被害推計は、地震・津波、高潮、洪水ごとに、次の3つの額が表で示されている(次表)。
- 経済被害:道路破断、生産施設毀損、港湾における交通破断による20年間の経済被害
- 資産被害:内閣府試算による、地震・津波で毀損する建築物等の資産量
- 財政被害:20年間の経済被害による、一般政府(国と地方)の総税収の縮小額
(報告書概要版)
上表を可視化したのが次図。
南海トラフ地震と首都直下地震の被害額が大きすぎて、高潮や洪水の被害額がかすんでしまっている。
南海トラフ地震の対策事業費38兆円、国家財政破綻…
これらの被害に対して、「様々な公共インフラ対策で、経済被害(間接被害)を3分の1から 6 割程度、軽減できる」とされている(次表)。
(報告書概要版)
上表のうち、地震・津波の対策に係る数字を可視化したのが次図。
南海トラフ地震では、対策事業(道路、港湾/漁港、海岸堤防、建築物耐震強化)38兆円以上を投じることで、509兆円の減災額(41%)の効果が得られるとされている。
被害額1,240兆円が大きすぎて、対策事業費38兆円がたいしたことないように感じてしまうが、今年度の国の一般会計予算97兆7千億円の4割り近くというトンデモナイ予算規模なのである。
今回「国土強靱化計画をさらに強化するよう提言した」土木学会。土木業界の大規模な予算獲得を狙っているのか……。
巨大災害が起きたら「日本が東アジアにおける小国、最貧国の1つになりかねない」(土木学会会長)というが、その前に建設国債の増発で国家財政が破綻してしまうのではないか。