都内では中古マンション市場のうち、どの価格帯の取引が活発化しているのか?
東日本不動産流通機構が毎月発表している、「月例マーケットウオッチ・サマリーレポート」をひも解いてみた。
※投稿18年5月7日(更新24年8月25日)
都内中古マンションの"熱い"価格帯の推移
都内では中古マンション市場のうち、どの価格帯の取引が活発化しているのか?
東日本不動産流通機構が毎月発表している、「月例マーケットウオッチ」には、都内の中古マンションに係る価格帯別の「成約件数(四半期ごと)」(次図)、「新規登録件数(四半期ごと)」、「在庫件数(月末)」が掲載されている。
価格帯別の成約件数(月例マーケットウオッチ)
まずは取引が活発な”熱い”価格帯を把握すべく、価格帯別の成約件数の推移を可視化してみた(次図)。
- 1~3千万円台の成約件数(鶯色ゾーン)は、19年頃までは多かったが、その後減少。
- 4~9千万円台の成約件数(ピンク色ゾーン)は、アベノミクスが始まった12年末頃から増加。20年以降は5~6千万円台が最も多く、次いで7~9千万円台が多くなった。一方、4千万円台は減少傾向を見せている。
- 億ションの成約件数も、アベノミクスが始まった12年末頃から漸増し、20年以降は増加の勢いを増している。
【参考メモ】
- 同機構の価格帯別の成約件数は四半期単位データなので、3で割って月単位データに換算した。
- 同機構の価格帯は「~2千万円」「~3千万円」というように、「以下」「未満」「以上」「超」といった境界値が不明瞭。そこで、過去の発表資料を参考に、便宜的に次のように表現することとした。
- ~1千万円:1千万円以下
- ~2千万円:1千万円台
- ~3千万円:2千万円台
- ~4千万円:3千万円台
- ~5千万円:4千万円台
- ~7千万円:5~6千万円台
- ~1億円:7~9千万円台
- 1億円~:億ション
価格帯別の成約件数の推移
次に、価格帯別に成約状況の推移を可視化分析してみよう。
4千万円台:成約件数、減少傾向
成約件数は、アベノミクスが始まった12年末頃から増加するが、19年に300件を目前に減少に向かう。
【参考メモ】
- 「在庫件数」と「新規登録件数」には、同一物件を複数の仲介業者が登録していたり、同一物件を同一期間内に新規登録⇒削除⇒新規登録を繰り返したりして、多めに計上されている可能性がある(以下の価格帯についても同様)。
5~6千万円台:成約件数10年前の2倍
成約件数は、アベノミクスが始まった12年末頃から増加傾向が見られる(次図)。
直近(24/04~06)の月間平均成約件数(355件)は、10年前(145件)の2.4倍。
7~9千万円台:成約件数10年前の6倍
成約件数は、アベノミクスが始まった12年末頃から増加傾向が見られる(次図)。
直近(23/04~06)の月間平均成約件数(298件)は、10年前(50件)の6.0倍。
億ション:成約件数10年前の11倍
成約件数は、アベノミクスが始まった12年末頃から漸増。20年以降は成約件数だけでなく、在庫件数・新規登録件数とも増加の勢いを増している。
直近(24/04~06)の月間平均成約件数(221件)は、10年前(20件)の11.2倍。
まとめ
- 1~3千万円台の成約件数は、19年頃までは多かったが、その後減少。
- 4~9千万円台の成約件数は、アベノミクスが始まった12年末頃から増加。20年以降は5~6千万円台が最も多く、次いで7~9千万円台が多くなった。一方、4千万円台は減少傾向を見せている。
- 億ションの成約件数も、アベノミクスが始まった12年末頃から漸増し、20年以降は増加の勢いを増している。
あわせて読みたい