中国人が日本の不動産を買っているという話はよく聞くが、公的な統計データがないので、その全体像はよく分からない。
そこで、中国人向けの日本の不動産物件売買プラットフォーム「神居秒算(しんきょびょうさん)」というサイ卜に掲載されている物件数を定点観測することにした。
※投稿21年2月2日(更新23年12月2日)
全国:1位東京
神居秒算に掲載されている主な都道府県のマンション(アパート)の件数を次図に示す。
マンション掲載件数は東京がダントツ。
主な都道府県のマンション掲載件数の推移を次図に示す。
東京は3千~4千件の範囲で推移していたが、22年8月に激減。23年以降は1,500~1,700件程度で推移している。
大阪は大幅に減少したまま。
東京23区:1位板橋区
23区のマンションの掲載件数を次図に示す。
150件を超えているのは、板橋・大田区。
23区のマンション掲載件数の推移を次図に示す。
新宿区は、21年6月をピークに急減。板橋・大田区は、増加傾向が見られる。
大阪市:中央区ダントツ
マンション掲載件数は中央区がダントツ。
大阪市内のマンション掲載件数の推移を次図に示す。
21年8月を境に大きく減少している。
※詳細分析した記事は下記。日付は投稿日。
- 20年12月31日:中国人投資家向け!港区高額マンションの実態
- 20年12月30日:中国人投資家による日本の不動産への投資状況を可視化
【分析】神居秒算の表示件数の減少が意味するところ
※追記23年1月4日(データ更新23年12月2日)
神居秒算の表示件数の減少は、中国人の間で中古マンションが飛ぶように売れているからなのか、それとも中国人による中古マンションの購入が減少しているからなのか。
おそらく後者ではないのか。
筆者がそのように考えた理由は以下の通りだ。
東京に係る「神居秒算の表示件数」と「中古マンションの在庫件数」の推移を見ると、前者は22年8月以降急減しているのに対して、後者は漸増傾向を見せている(次図)。このことは神居秒算への新規登録が少ないというふうに考えると筋が通る。
二つ目の理由は、東京に係る「神居秒算の表示件数」と「中古マンションの成約件数」の推移を見ると、前者は22年8月以降急減しているのに対して、後者は月変動は概ね1,500から2,000件の間で推移していること(次図)。このこともまた神居秒算への新規登録が少ないというふうに考えると筋が通る。
【追記】「神居秒算」にアクセスできない【⇒改善済】
※追記22年1月7日
22年1月7日から「神居秒算」にアクセスできるようになった。
※追記22年1月5日
21年末から「神居秒算」にアクセスできない状態が続いている(22年1月5日現在)。
神居秒算の親会社であるGA technologies社(AIを活用した中古不動産の総合プラットフォームを開発・運営する会社)にWEBメールで照会したところ、神居秒算のICPライセンスの名義変更の手続のため、21年12月24日〜21年1月7日の間(予定)、「神居秒算」サイトへのアクセスが一時的に出来なくなっているとの回答があった。
ICPライセンスとは、中国を拠点としたWebサービスに義務付けられた許可のこと。同ライセンスの登録を行わない場合は、中国国内法により罰せられる。
GA technologies社は昨年9月、神居秒算の事業を取得したので、名義変更手続きが必要になったのであろう。
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