自分の住んでいるマンションで、民泊を防止するにはどうすればいいのか?
既にマンションで民泊が営まれている場合は、どのようにして排除すればいいのか?
ざっくり言うと
1.管理規約を改正し、民泊禁止を明記する【防止】
マンションでの民泊を防止するためには、マンションの管理規約にその旨を明記する必要がある。
具体的には、国交省が2016年11月11日に公表した次の文言を追記すればよい。
※管理規約の改正には特別多数決議( 区分所有者数および議決権数の各4分の3以上 )が必要。
区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用してはならない。
- ※詳しくは、「国交省通知に拍子抜け!特区民泊でのマンション管理規約文案」ご参照。
2.違法民泊の証拠をつかむ【排除の準備】
もし、あなたの住んでいるマンションで既に民泊が営まれている場合には、管理組合を通じて民泊を止めるようホストを説得してもらおう。
それでもダメな場合には、保健所に通報して取り締まってもらおう。警察は、事件性がなければ介入してくれない。
ただ、いずれの場合であっても、違法民泊が営まれているという証拠をつかんでおく必要がある。特に役所は、証拠がないと動いてくれない。
証拠をつかむ方法としては、二通りある。
Airbnbなどの民泊仲介サイトに自分のマンションの住戸が登録されている事実を自分でチェックする方法。
もう一つは、「違法民泊調査サービス」に依頼する方法だ。
前者はお金が掛らないが、上手く調べられないかもしれない(上手く調べられないことのほうが多いだろう)。後者は当然お金が掛る。
2-1 自分でAirbnbをチェックする
Airbnbサイトにアクセスし、民泊を探したい場所の住所を入力すると、地図上に民泊を営んでいる概略の位置と1泊あたりの料金が表示される(次図は一例)。
表示された地図をドンドン拡大していくと、料金表示されている位置にはなぜか建物がない(次図は一例)。
Airbnbのシステムでは、正確な住所は予約を確定したゲストしか見ることができない仕組みとなっているのである。
物件の正確な位置が分からなくて、どのようにして民泊を特定するのか?
物件の紹介ページに掲載されている写真が手掛かりになる。
バルコニーからの景色に映り込んだ建物や看板などの写真から位置を特定したり、エントランスホールなどの内観写真からマンションを特定したりするのである。
- ※詳しくは、「闇民泊に手を貸している?Airbnbの表示システム 」ご参照。
ただ、この方法は万能ではない。手掛かりになるような写真が掲載されていなければお手上げだからだ。
また、最近は民泊の位置を特定させない手の込んだ方法が横行しているので(巧妙化するAirbnbを利用したUR「違法民泊」の世界が危うい)、悪質な闇民泊の存在を素人が把握するのは難しいであろう。
ちなみに、Airbnbは民泊の近隣住民向けに、苦情を受け付ける窓口『Airbnbと近隣のホスト』を設けている。国からのプレッシャーを受けて(?)昨年の5月末に開設されたものだ。
ただ、残念ながら全くもって実効性のない、かたちだけの窓口となっているようだ(Airbnbが提供する”迷惑民泊ホストへの苦情報告ツール”を使ってみた)。
2-2 「違法民泊調査サービス」に依頼する
最近ときおりメディアで見かけるのが「民泊ポリス」。
完全匿名制の民泊通報サービスとして、かつては「通報の受付」「事実確認」「情報開示」のほか、場合によっては民泊ポリスが直接保健所に連絡をすることまで、無料で実施していた。でも、現在は一部有料サービスとなっている。
そのほかにも、探偵会社や行政書士が提供している有料の「違法民泊調査サービス」がある。
- ※詳しくは、「違法民泊調査サービス(5選)」ご参照。
証拠を掴んだら、管理組合を通じて、民泊を止めるよう説得してもらう。
説得に応じてもらえない場合には、次のステップとして、保健所に通報する。
3.保健所に通報する【排除】
民泊の証拠を掴んだら、保健所に通報する。
なぜ保健所なのかといえば、ホテルや旅館と同様、「民泊」についても旅館業法に基づき衛生面での規制を所管しているのが保健所だからなのである。
特に、京都市や大阪市には、専用の「民泊通報窓口」が開設されている。
4.裁判【最終手段】
保健所の指導をもってしても民泊を排除できない場合には、最終的な手段として、裁判所に訴えるしかない。
大阪市内にある100戸超の分譲マンションで昨年5月、民泊を指し止めした事例がある。
- ※詳しくは、「違法民泊ホストに逆風!大阪地裁判決、京都市「民泊110番」」ご参照。
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