民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行された18年6月15日以降の、東京23区と主な都市における住宅宿泊事業の届出状況の推移などを可視化する。
※投稿21年2月3日(更新24年4月10日)
東京23区
受理件数(最新)
東京23区の住宅宿泊事業の届出施設の受理件数の合計は少なくとも8,319件(24年4月10日調査)。
区ごとの件数を下図に示す。600件を超えているのは、新宿区、墨田区、豊島区、渋谷区、台東区。
Airbnbサイトで「民泊」が一斉に非掲載となったのは18年6月2日。同年6月1日以前は23区内で1万6千件が掲載されていた。現在の住宅宿泊事業の届出施設の受理件数8,319件は、かつてAirbnbで掲載されていた件数の52%でしかない。
【メモ】
- 各件数は、国交省が運営している民泊制度ポータルサイト「minpaku」に定期的に公開されている「住宅宿泊事業法の届出状況」のほか、各区HP公開データに拠る。
- 各区のデータ公開日はバラバラ。すべてが月初データというわけではない。
受理件数の推移
民泊新法の施行日(18年6月15日)以降の、各区の受理件数の推移を次図に示す。
1位の新宿区は20年5月をピークに漸減していたが、22年6月を底に増加に転じている。
廃止件数の推移
各区の住宅宿泊事業の廃止件数の推移を次図に示す。
【メモ】
民泊事業を廃止した場合、30日以内に廃業届を提出しなければならない(住宅宿泊事業法 第28条)。提出しなければ20万円以下の過料に処せられることになっている(同法 第79条)。
住宅宿泊事業法vs特区民泊(大田区の推移)
民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行される以前に、大田区では政府の肝いりで特区民泊が始まっていた。
大田区の住宅宿泊事業法に基づく件数と特区民泊件数の推移を比較したのが次図。特区民泊は20年4月をピークに減少していたが、下げ止まりから増加に転じた。
住宅宿泊事業法の件数は、特区民泊に接近している。
主な都市
受理件数の推移
18年6月1日以前、全国でAirbnbサイトに掲載されていた件数上位の自治体は、東京、大阪、京都、沖縄、北海道、福岡の順であった(全国Airbnb登録件数5.3万件、4か月連続で減少)。そこでこれら自治体の合法民泊受理件数の推移を可視化してみた(次図)。
1位大阪市、2位札幌市。
大阪市は19年10月をピークに減少していたが、23年度に入って増加に転じたか。札幌市も20年4月をピークに減少していたが、23年度に入って漸増し始めた。
住宅宿泊事業法vs特区民泊(大阪市の推移)
大阪市内では、特区民泊は20年3月をピークに漸減傾向が見られたが、3,200件前後で踏みとどまったあと、23年に入り増加し始めた。住宅宿泊事業法に基づく民泊施設は19年10月をピークに漸減傾向を見せていたが、23年度に入り漸増し始めた。(次図)。
興味深いのは、大阪市と大田区の傾向が異なるであること(次図)。
大阪市では、住宅宿泊事業法に基づく民泊施設は漸減し、特区民泊は23年度に入って増加し始めた。大田区では住宅宿泊事業法に基づく民泊施設と特区民泊ともに23年度に入って増加し始めた。
特区民泊条例の建付けの違いがこのような現象を生み出しているのであろうか……。
【追記】民泊件数の公表、毎月から2か月毎に変更(観光庁)
※追記23年9月26日
観光庁は23年7月15日を最後に「都道府県別届出状況一覧」を公表しなくなった。そこで観光庁の「ご意見箱」に記載されているメールアドレス(hqt-kankocho-a13m@gxb.mlit.go.jp)宛に状況を問い合わせてみた(9月22日)。
住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況」(下記URL)につき、「令和5年7月14日時点」以降更新されていません。
毎月更新することをやめたのでしょうか?
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住宅宿泊事業法の施行状況 | 民泊制度ポータルサイト「minpaku」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/business/host/construction_situation.html
4日後(9月26日)、観光庁からメールで回答が送られてきた。
それまで毎月公表していたのに、23年度からは2か月に1度の公表に変えたのだという。
観光庁観光産業課民泊業務適正化指導室です。
ご連絡いただきありがとうございます。「住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況」につきましては、今年度より2ヶ月に1度の更新としております。
何卒ご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。
各自治体がデータを集計し、国に報告する手間を削減する効果はあるのかもしれない。でも、オーバーツーリズムを解決するためにも、月次での民泊の件数把握は必要だと思うのだが……。
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