民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行された18年6月15日以降の、東京23区と主な都市における住宅宿泊事業の届出状況の推移などを可視化する。
※投稿21年2月3日(更新23年2月2日)
東京23区
受理件数(最新)
東京23区の住宅宿泊事業の届出施設の受理件数の合計は少なくとも5,673件(23年1月3日調査)。
区ごとの件数を下図に示す。600件を超えているのは、新宿区、豊島区。
Airbnbサイトで「民泊」が一斉に非掲載となったのは18年6月2日。同年6月1日以前は23区内で1万6千件が掲載されていた。現在の住宅宿泊事業の届出施設の受理件数5,728件は、かつてAirbnbで掲載されていた件数の36%でしかない。
【メモ】
- 各件数は、国交省が運営している民泊制度ポータルサイト「minpaku」に定期的に公開されている「住宅宿泊事業法の届出状況」のほか、各区HP公開データに拠る。
- 各区のデータ公開日はバラバラ。すべてが月初データというわけではない。
受理件数の推移
民泊新法の施行日(18年6月15日)以降の、各区の受理件数の推移を次図に示す。
1位の新宿区は20年5月をピークに漸減していたが、22年6月を底に増加に転じたか。
廃止件数の推移
各区の住宅宿泊事業の廃止件数の推移を次図に示す。
【メモ】
民泊事業を廃止した場合、30日以内に廃業届を提出しなければならない(住宅宿泊事業法 第28条)。提出しなければ20万円以下の過料に処せられることになっている(同法 第79条)。
住宅宿泊事業法vs特区民泊(大田区の推移)
民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行される以前に、大田区では政府の肝いりで特区民泊が始まっていた。
大田区の住宅宿泊事業法に基づく件数と特区民泊件数の推移を比較したのが次図。特区民泊は20年4月をピークに減少中。
主な都市
受理件数の推移
18年6月1日以前、全国でAirbnbサイトに掲載されていた件数上位の自治体は、東京、大阪、京都、沖縄、北海道、福岡の順であった(全国Airbnb登録件数5.3万件、4か月連続で減少)。そこでこれら自治体の合法民泊受理件数の推移を可視化してみた(次図)。
1位大阪市、2位札幌市。
大阪市は19年10月をピークに減少中。札幌市も20年4月をピークに減少していたが、21年6月以降1,300件前後で踏みとどまっていたのだが……。新型コロナにより民泊の廃業や賃貸事業化が進む。
住宅宿泊事業法vs特区民泊(大阪市の推移)
大阪市内では、特区民泊は20年3月をピークに漸減傾向が見られたが、3,200件前後で踏みとどまっている。住宅宿泊事業法に基づく民泊施設は19年10月をピークに漸減傾向を見せていたのだが、22年11月を底に増加に転じたか(次図)。
興味深いのは、大阪市と大田区の傾向が反対であること(次図)。
大阪市では住宅宿泊事業法に基づく民泊施設が減少し特区民泊が踏み止まっているのに対して、大田区では住宅宿泊事業法に基づく民泊施設が踏み止まるあるいは微増で、特区民泊が減少しているのである。
特区民泊条例の建付けの違いがこのような現象を生み出しているのであろうか……。
あわせて読みたい