マンション選びでは、不動産会社の名前に注目しがち。でも、マンションの質を支えているのは設計事務所と建設会社。両者の技術力にも注目したい。
建築系業界紙「日経アーキテクチュア」2019年9月12日号に、設計事務所・建設会社の売上高ランキング2018だけでなく、国家資格の保有者数も掲載されていたので、「技術力」ランキングとして整理してみた。
※最新版（ 2022）もご覧ください。
設計事務所・建設会社の「技術力」の指標
設計事務所（設計会社）や建設会社（ゼネコン）で技術力が高い会社はどこか？
そんなこと簡単に分からないだろっ！
たしかにその通りなのだが、便宜的な方法として、「建築系の国家資格保有者が多く所属している会社ほど技術力が高い」とみなしてはどうだろうか。
建築系の国家資格として、一般の人にも馴染みのあるのが1級建築士。設計事務所の所員にとっては必須。これがないと肩身が狭い。
建設会社の社員にとっての必須資格は、1級建築施工管理技士。まあ持っていなくても現場仕事はできるが、責任ある立場にはなれない。
これらの資格は、足の裏についた米粒のようなもの。取らなければ気になるが、取っても食えない。
1級建築士よりもさらに専門性の高い資格が構造設計1級建築士と設備設計1級建築士。05年に発覚した耐震偽装事件を受けて創設された資格。一級建築士373,490人に対して、構造設計一級建築士9,986人、設備設計一級建築士5,448人（19年4月1日現在、日本建築士会連合会）と、希少性の高い資格である。この資格がないと、一定規模以上の建築物の構造設計や設備設計ができない（関係規定への適合性の確認ができない）。
以下、1級建築士が多い設計事務所・建設会社のTOP50を示す。
設計事務所「1級建築士数」TOP50
1級建築士が300人以上所属している設計会社は7位まで。100人以上は22位まで（次図）。
設計事務所の「1級建築士数」ランキングTOP50の上位には、一つの設計事務所で、意匠・構造・設備・エンジニアリングができる「組織系建築設計事務所」が並ぶ。
なかでも1位の日建設計（住友系）は、役員・職員数1927名（19年4月1日現在）が在籍する設計事務所の最大手。
（ ）内数値は、各資格の保有者数。
- 会社名（1級建築士、1級施工建築、構造1級、設備1級）
- 1位：日建設計（878、48、92、62）
- 2位：NTTファシリティーズ（813、252、60、42）
- 3位：日本設計（497、15、40、21）
- 4位：三菱地所設計（369、40、33、32）
- 5位：久米設計（348、23、35、20）
- 6位：梓設計（317、23、17、15）
- 7位：JR東日本建築設計（312、45、27、11）
- 8位：山下設計（283、8、25、25）
- 9位：石本建築事務所（212、10、26、17）
- 10位：佐藤総合計画（210、19、17、9）
- 11位：東畑建築事務所（203、15、15、11）
- 12位：大建設計（197、12、27、24）
- 13位：安井建築設計事務所（196、19、24、10）
- 14位：松田平田設計（178、11、16、8）
- 15位：日立建設設計（154、22、14、5）
- 16位：あい設計（135、16、31、13）
- 17位：東急設計コンサルタント（130、8、9、4）
- 18位：アール・アイ・エー（125、4、7、11）
- 19位：INA新建築研究所（120、2、9、2）
- 20位：内藤建築事務所（111、15、7、9）
- 21位：日企設計（105、3、2、2）
- 22位：類設計室（103、2、6、13）
- 23位：綜企画設計（98、10、5、6）
- 24位：昭和設計（93、4、6、4）
- 25位：乃村工藝社（87、203、0、1）
- 26位：IAO竹田設計（85、2、1、5）
- 27位：日建ハウジングシステム（74、5、6、6）
- 28位：伊藤喜三郎建築研究所（68、、3、5）
- 29位：交建設計（61、3、2、7）
- 30位：ジェイアール西日本コンサルタンツ（59、13、5、5）
- 31位：横河建築設計事務所（57、4、4、2）
- 31位：教育施設研究所（57、4、5、1）
- 33位：東電設計（56、2、24、2）
- 34位：北海道日建設計（50、3、5、5）
- 35位：国建（48、6、6、3）
- 36位：楠山設計（46、8、1、5）
- 37位：相和技術研究所（43、3、3、7）
- 37位：阿波設計事務所（43、6、3、3）
- 37位：エーシーエ設計（43、10、4、5）
- 40位：中日設計（41、0、5、8）
- 40位：浦野設計（41、11、2、7）
- 42位：プランテック総合計画事務所（40、7、2、1）
- 42位：アルテス（40、10、24、0）
- 44位：伊藤建築設計事務所（39、4、4、7）
- 45位：ユニバァサル設計（38、0、2、2）
- 46位：ニュージェック（37、2、11、3）
- 47位：フケタ設計（35、2、5、13）
- 48位：共同建築設計事務所（33、、、4）
- 49位：JFE設計（32、12、6、1）
- 49位：レーモンド設計事務所（32、0、2、1）
建設会社「1級建築士数」TOP50
1級建築士が2,000人以上所属している建設会社は7位まで、1,000人以上は9位まで、500人以上は13位まで（次図）。
建設会社では、1級建築士を所有している社員の多くは1級建築施工管理技士も所有している。だから次図では、赤線（1級建築施工管理技士）は、概ね青線（1級建築士）を上回っている。
ただ、1位（積水ハウス）だけは、1級建築施工管理技士の所有者が1級建築士所有者を大きく下回っている。同社は工業化されたプレハブ建築が主流なので、1級建築施工管理技士を多数抱えておく必要がないのであろうか（2級建築施工管理技士で対応している？）。
スーパーゼネコン5社（鹿島、清水、大成、大林、竹中）を抑えて、住宅メーカーの積水ハウスと大和ハウス工業が1位と2位。
（ ）内数値は、各資格の保有者数。
- 会社名（1級建築士、1級施工建築、構造1級、設備1級）
- 1位：積水ハウス（2,765、1,742、13、9）
- 2位：大和ハウス工業（2,614、3,372、111、227）
- 3位：大成建設（2,579、2,697、139、105）
- 4位：竹中工務店（2,466、2,337、227、77）
- 5位：鹿島（2,356、2,526、170、104）
- 6位：清水建設（2,119、3,015、176、102）
- 7位：大林組（2,071、2,723、161、52）
- 8位：大東建託（1,532、2,150、16、7）
- 9位：戸田建設（1,078、1,453、37、26）
- 10位：長谷エコーボレーション（675、849、38、5）
- 11位：フジタ（669、1,012、43、19）
- 12位：安藤ハザマ（656、1,104、24、17）
- 13位：前田建設工業（586、933、34、23）
- 14位：Ξ井住友建設（493、873、32、15）
- 15位：東急建設（449、754、15、16）
- 16位：西松建設（421、821、19、11）
- 17位：奥村組（414、635、32、11）
- 18位：五:洋建設（388、614、17、10）
- 19位：熊谷組（373、668、16、12）
- 20位：鴻池組（285、594、21、11）
- 21位：鉄建建設（228、438、5、3）
- 22位：佐藤工業（209、412、11、8）
- 23位：高松建設（205、321、7、6）
- 24位：浅沼組（185、454、10、7）
- 25位：飛島建設（167、255、11、3）
- 26位：銭高組（144、218、12、2）
- 27位：矢作建設工葉（140、314、5、5）
- 28位：福田組（132、267、6、3）
- 29位：ナカノフドー建設（127、321、7、10）
- 30位：木内建設（119、202、6、13）
- 31位：JFEシビル（115、247、13、4）
- 32位：松井建設（113、337、7、1）
- 33位：北野建設（109、240、5、4）
- 34位：東亜建設工業（108、298、4、2）
- 35位：ピーエス三菱（95、257、12、2）
- 36位：イチケン（93、278、4、6）
- 37位：大成ユーレック（87、177、3、2）
- 38位：大豊建設（83、234、4、5）
- 39位：大本組（79、229、9、3）
- 40位：西武建設（78、172、3、2）
- 40位：青木あすなろ建設（78、272、2、5）
- 42位：岩田地崎建設（75、178、1、1）
- 42位：東洋建設（75、285、3、4）
- 44位：村本建設（68、293、2、2）
- 44位：TSUCHIYA（68、157、2、1）
- 46位：大末建設（66、221、4、9）
- 47位：ボラテック（60、29、1、0）
- 48位：東鉄工業（56、227、2、2）
- 49位：松村組（55、146、2、0）
- 50位：大鉄工業（54、205、2、1）
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