江戸川区は、区独自で清新町コミュニティ会館に騒音測定局を設置し、04年度から常時測定を実施。18年度以降の測定結果を「航空機騒音の測定結果」として年度単位でHPで公表している
※投稿21年11月11日(更新23年10月25日:22年度データを反映)
- 江戸川区上空の飛行ルートと騒音測定局の位置
- 通過機数・騒音発生回数の経年変化(12年度~)
- 最大騒音レベルと通過機数・騒音発生回数(20年度~)
- 【追記】全羽田離陸便のうち何%江戸川区上空を通過しているのか
江戸川区上空の飛行ルートと騒音測定局の位置
江戸川区上空を航空機が飛行するのは、従来の「22ILSルート(南風悪天候時の着陸便)」と、羽田新ルートの「荒川ルート(北風運用時の離陸便)」の2ルート(次図)。
- 22ILSルート(南風悪天候時の着陸便)※従来からのルート
- 定期的な運航ルートではなく、南風でかつ悪天候により通常の東京湾上空の飛行経路が利用できない場合に限り、安全な運航を確保するために使用されることになっている。
- 運用時間は、6時~23時のうち15時~19時の実質3時間を除く1日最大14時間。
- 荒川ルート(北風運用時の離陸便)※羽田新ルート
- 運用時間:7時~11時30分の4時間30分と、15時~19時の実質3時間の合計7時間30分
北風時の羽田新ルートの運用時間帯は、7時~11時半・15時~19時。北風時の運用は年間運用の約6割と想定されている。つまり、南風時に都心を通過して羽田に向かう着陸ルート(15時~19時)よりも運用される時間がはるかに長いので、荒川ルートを通過する機数は格段に多くなる(次図、青色線)。
江戸川区は、区独自で清新町コミュニティ会館に騒音測定局を設置し、04年度から常時測定を実施。18年度以降の測定結果を「航空機騒音の測定結果」として年度単位でHPで公表している(航空機騒音の測定結果|江戸川区)。
- 20年度の測定結果:21年10月29日公表
- 21年度の測定結果:22年9月30日公表
- 22年度の測定結果:23年9月25日公表
通過機数・騒音発生回数の経年変化(12年度~)
江戸川区上空を通過する機数と騒音発生回数の経年変化を可視化したのが次図。
- 19年度まで(羽田新ルート運用開始前)
羽田新ルート運用開始前の19年度までは、南風悪天候時の着陸便が不定期に運用されていて、少ない年で年間4,853機(17年度)、多い年で年間8,655機(14年度)だった。 - 20年度
通過機数:22ILSルートと荒川ルートを合わせて23,463機(=3,268機+20,195機)。新ルート運用開始前と比べて2.7倍(14年度)から4.8倍(17年度)に激増。
1日平均騒音発生回数:新ルート運用開始前は少ない年で13.4回(17年度)、多い年で23.9回(14年度)だったが、運用開始後の20年度は61.2回に激増。 - 21年度
20年度と比べて、通過機数・1日平均騒音発生回数ともに1.3倍に増加。 - 22年度
21年度と比べて、通過機数1.2倍、1日平均騒音発生回数1.3倍に増加。
最大騒音レベルと通過機数・騒音発生回数(20年度~)
江戸川区が公開した資料には、月次データと週次データも掲載されている。
月次変化
最大騒音レベルと通過機数の月次変化を可視化したのが次図。
- 20年度
月間の最大騒音レベルは75~87dB。新ルート(荒川ルート)の通過機数は10月から1月に多く、従来ルート(22ILSルート)は悪天候の多い7月に集中している。 - 21年度
月間の最大騒音レベルは75~80dB程度。新ルート(荒川ルート)の通過機数は9月以降多く、従来ルート(22ILSルート)は4月から8月に多い。 - 22年度
月間の最大騒音レベルは75~82dB程度と前年度より上昇。新ルート(荒川ルート)の通過機数は9月から1月に多く、従来ルート(22ILSルート)は5月から9月に多い。
最大騒音レベルと騒音発生回数の月次変化を可視化したのが次図。
週次変化
最大騒音レベルと通過機数の週次変化を可視化したのが次図。
※ルート別の通過機数に係る週次データは計測されていない(区担当者談)。
上図により、月次変化では捉えられなかった最大騒音レベルの変化を週単位で確認することができる。
最大騒音レベルについては、東京都が毎日公表しているように日単位で知りたいところなのだが、江戸川区に電話取材したところ、「日単位のデータを整理するためには、これから委託する必要があり、費用が掛かるため難しい」とのことであった。
【追記】全羽田離陸便のうち何%江戸川区上空を通過しているのか
※追記21年12月18日
江戸川区は12月17日、「令和2年度航空機騒音の測定結果」として資料7・資料8を追加したことをコッソリと発表(次図)。
江戸川区職員による「航空機騒音の測定結果報告会」をコッソリ開催(12月16日、18:30-20:30@清新町コミュニティ会館)した翌日のことである。
※同報告会は、区HPにも広報紙にも掲載されていない。
資料7(滑走路別着陸便数)と資料8(滑走路別離陸便数)には、それぞれ滑走路別・月別の内訳表とルート図が掲載されている(次図)。
着陸便と離陸便について、それぞれ滑走路別の年間機数・割合を可視化したのが次図・次々図。
2020年度に羽田空港に着陸した全111,478機のうち、悪天時の従来ルートを利用して江戸川区上空を通過した便は3,268機(2.9%)。
また、羽田空港を離陸した全111,505機のうち、羽田新ルートを利用して江戸川区上空を通過した便は20,195機(18.1%)。
※追記23年10月25日(22年度のグラフ追記)
2022年度に羽田空港に着陸した全204,987機のうち、悪天時の従来ルートを利用して江戸川区上空を通過した便は5,360機(2.6%)。
また、羽田空港を離陸した全204,993機のうち、羽田新ルートを利用して江戸川区上空を通過した便は31,506機(15.4%)。
羽田空港の全離陸便数に占める荒川ルート便数の占める割合の経年変化を次図に示す。
好天時・北風運用が実施されるのは、風向などに依拠しているものの、荒川ルート便は羽田空港の全離陸便数の15%以上を占めていることが分かる。
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