国土交通省は8月29日、「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」<25年第2四半期>を公表した。
対象は全国80地区。中でも注目したいのは、湾岸エリアの佃・月島である。
湾岸エリアは今なお高層マンション開発の最前線にあり、都心への接近性や眺望の良さから需要が衰える気配はない。地価はどう動いているのか。分譲価格は今後どうなるのか。
2025年第2四半期(2025年4月1日〜2025年7月1日)における佃・月島の動きを読み解く。
※豊洲・有明地区は2022年第1四半期を最後に調査対象から外れている(豊洲・有明、調査対象から外れる!)。
【佃・月島】の総合評価(変動率)の推移
東京都区部の地価動向に係る変動率の変化(次図)。
「東京都区部の地価動向」(P23)を元に作成
佃・月島の総合評価(変動率)は前期と同じ「0%超3%未満」(次表)。
「地区毎の総合評価(変動率)推移」(P20)を元に作成
【佃・月島】マンション分譲価格は緩やかな上昇傾向が当面続く
当地区の投資家などからのマンション需要は根強く、マンション分譲価格は緩やかな上昇傾向が当面続くと見込まれる。
※前期の記載が違うのは、朱書き部分(3LDK以上の分譲貸し物件を中心に)が追記されたことだけ。
地価動向
- 当地区は銀座等の都心への優れた接近性を備えるとともに、東京タワーや東京スカイツリー等のランドマーク施設と河川等に囲まれて変化に富んだ眺望が得られることから、分譲・賃貸ともに高層マンションの需要が強く、人口・世帯数は微増傾向で推移している。
- 令和4年に着工された大規模な開発事業を始めとする複数の市街地再開発事業により土地の高度利用が進み、防災上の課題の解決を含む都市機能の拡充等によって地域のさらなる発展が期待される。
- 当地区のマンション需要は当期も堅調で、新築マンションの販売状況は引き続き好調である。なお、取引利回りは横ばいが続いており、マンション賃料は3LDK以上の分譲貸し物件を中心に上昇している。
- マンション開発素地に対する需要は、マンション開発素地の供給が限られることも影響して強い状態が続いており、取引価格は緩やかな上昇傾向が続いている。そのため、当期の地価動向はやや上昇で推移した。
将来地価動向
- 当地区の投資家などからのマンション需要は根強く、マンション分譲価格は緩やかな上昇傾向が当面続くと見込まれるため、将来の地価動向もやや上昇で推移すると予想される。
- ただし、足下では、デベロッパーは建築費の上昇分を分譲価格や賃料に転嫁して対応しているが、転嫁の余地は徐々に縮小している。
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