東京都中央区の定住人口が1月1日時点で過去最多になったことを産経が報じている。
具体的にどの地域の人口が増えたのか。「新たな定住者は中国籍が目立った」状況とは。
東京都中央区の定住人口が過去最多に(産経)
東京都中央区の定住人口が1月1日時点で過去最多になったことを産経が報じている。
東京都中央区の定住人口が過去最多に
70年越しの更新
東京都中央区は5日、住民基本台帳に基づく今年1月1日時点の定住人口が17万4074人となり、昭和22年3月に日本橋区と京橋区が統合されて発足して以来、最多になったと発表した。
(中略)
近年は、再開発で多くの大規模マンションが建設され、住宅供給数が増加した。職住近接の生活環境を求める現役世代らのニーズにマッチし、新型コロナウイルス禍でも流入は続き、妊娠・出産による自然増も続く。さらに令和4年の1年間で外国籍の定住者が1262人増加。同年の増加総数(2655人)の約5割にあたり、記録更新を大きくアシストした。区によると新たな定住者は中国籍が目立ったという。
(産経ニュース 1月5日)
戦後まもない1953年にピークを付けた人口は減少し続けたのち、再開発で多くの大規模マンションが建設されたことにより急増し、70年ぶりの記録更新になった(次図)。
中央区「中央区人口ビジョン」2016年3月p1(PDF:2.4MB)グラフに、筆者が2019年以降のグラフを追記。
具体的にどの地域の人口が増えたのか。また、「新たな定住者は中国籍が目立った」状況についても、可視化してみよう。
どの地域の人口が増えたのか
中央区の1998年以降の人口推移を3つの地域(京橋、日本橋、月島)に区分して描いたのが次図。
3つの地域の中でもとりわけ月島地域の増加が著しい。
町丁目別世帯数男女別人口|中央区を元に作成
中央区に係る3つの地域区分は以下の通り。
- 京橋地域
- 八重洲、京橋、銀座、新富、入船、湊、明石町、築地、浜離宮庭園、八丁堀、新川
- 日本橋地域
- 日本橋本石町、日本橋室町、日本橋本町、日本橋小舟町、日本橋小伝馬町、日本橋大伝馬町、日本橋堀留町、日本橋富沢町、日本橋人形町、日本橋小網町、日本橋蛎殻町、日本橋箱崎町、日本橋馬喰町、日本橋横山町、東日本橋、日本橋久松町、日本橋浜町、日本橋中洲、八重洲、日本橋、日本橋茅場町、日本橋兜町
- 月島地域
- 佃、月島、勝どき、豊海町、晴海
さらに、月島地域の人口推移を5つの地域(佃、月島、勝どき、豊海町、晴海)に区分して描いたのが次図。
5つの地域の中でもとりわけ勝どきの増加が著しい。
勝どきが09年以降、晴海が10年以降、月島が13年以降増加していることが確認できる。
さらに、月島地域5つの地域のうち、人口増加の多い3地域(月島、勝どき、晴海)につき町丁目単位で描いたのが次図。
各地域の人口が急増した時期と主な大規模マンション(完成時期、総戸数)との関係は以下の通りだ。
- 勝どき1丁目(2005年、2012年)
- プラザタワー勝どき(2004年、512戸)
- Brillia Ist Tower 勝どき(2011年、536戸)
- 勝どき5丁目(2018年)
- 勝どき ザ・タワー(2016年、1420戸)
- 勝どき6丁目(2009年)
- ザ・トーキョータワーズ ミッドタワー(2008年、1981戸)
- ザ・トーキョータワーズシータワー(2008年、1333戸)
- 晴海2丁目(2015年、2017年、2020年)
- ザ・パークハウス晴海タワーズクロノレジデンス(2013年、883戸)
- ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス(2016年、861戸)
- パークタワー晴海(2019年、1076戸)
- 晴海3丁目(2011年、2017年~)
- ベイシティ晴海スカイリンクタワー(2009年、736戸)
- ベイサイドタワー晴海(2015年、352戸)
- ドゥトゥールウエストタワー(2015年、1450戸)
- ドゥトゥールイーストタワー(2015年、1450戸)
- 月島1丁目(2004年、2016年、2021年)
- ミッドタワーグランド(2020年、503戸)
- キャピタルゲートプレイス ザ・タワー(2015年、624戸)
- アイ・マークタワー(2003年、356戸)
月島地域(次図、ピンク囲み)に係る5つの地域町丁目を次図に示す。
中国籍人口が急増
国籍別の人口推移を見てみると、2000年以降中国籍(台湾を含む)が急増していることが分かる(次図)。
外国人人口「昭和54年からの時系列データ(各年1月1日現在)」|東京都を元に作成
※2011~2015年に鈍化したのは、東日本大震災の影響。
産経が「新たな定住者は中国籍が目立った」というのは、他の外国籍と比較するとその通りなのだが、中央区総人口に占める中国籍(台湾を含む)の割合は2.4%でしかないことを指摘しておく。
- 2.4%=4,108人÷171,419人×100(2022年1月1日現在)
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