マンションの賃貸化・空室化が進行すると、合意形成が困難になり、管理組合が機能不全に陥る可能性が高くなる。管理組合が機能不全に陥ると、適切な維持管理ができなくなるので、経済的に余裕のある人は売却して出ていく。あとに残されるのは滞納者。そしてマンションのスラム化が進む……。
国土交通省は6月21日、「令和5年度マンション総合調査結果」を公表。
同調査は、マンション管理の実態を把握するため、全国の管理組合や区分所有者を対象に5年ごとに実施されている。今回の調査対象者は、1,589管理組合(回収率37.2%)、3,102区分所有者(回収率36.3%)。
調査結果報告書はデータ編も含めると416ページとかなりのボリュームになるので、忙しい皆さんに代わって、マンション管理の現状を可視化してみた。
古いマンション・駅チカマンションほど、賃貸化が進行
完成年次別の賃貸住戸数割合の変化をみると、古いマンションほど賃貸化が進行していることが分かる(次図)。
特に、完成年次94年を境に、賃貸戸数の割合が10%を超える(「~20%」+「20%超」)マンションは急増し、当該年次の概ね5割りを超えている。
最寄駅からの距離別の賃貸住戸数割合の変化をみると、駅に近いマンションほど賃貸化が進行していることが分かる(次図)。
特に、500m未満を境に、賃貸戸数の割合が10%を超える(「~20%」+「20%超」)マンションは急増し、4割りを超えている。
古いマンションほど、空室化が進行
完成年次別の空室戸数(3か月以上)の割合の変化をみると、古いマンションほど空室化が進行していることが分かる(次図)。
完成年次94年・79年を境に、空室戸数の割合が5%を超えるマンションの割合は段階的に増加している。
古いマンション・大規模マンションほど、滞納住戸割合が増加
管理費・修繕積立金の滞納状況についても可視化しておこう。
完成年次が古いほど、滞納住戸が「ある」マンションの割合が増加する傾向が見られる(次図)。
総戸数が多いマンションほど、滞納住戸が「ある」マンションの割合が増加する傾向が見られる(次図)。
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