川崎市議会の「23年第5回定例会」本会議代表質問(12月7日)で、羽田新ルートに関して、井口真美議員(共産党)の質疑応答があった。
議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約1千文字)しておいた。
井口真美 議員(共産)
井口真美 議員(共産、区議6期、愛知県立大学中退、62歳)
井口:元のルートに戻すよう国に求めるべき
羽田新飛行ルートについてです。1960年代に航空機事故が相次ぐ中、市民の運動と川崎市議会が全会一致で臨海工業地帯上空での即刻飛行禁止を求めて意見書を上げ、当時の市長も一体となって運動を起こした結果、1970年に東京航空局長は原則として川崎石油コンビナート上空は飛行しない旨の通知を発出しました。通知は守られ、50年間安全の空が守られてきました。
しかし、市民や議会にも説明がなく、福田市長が通知の廃止を認め、2020年3月から川崎市殿町地域住宅街と石油コンビナート上空への低空飛行が開始され、3年9か月を過ぎようとしています。
9月22日に羽田空港発のトルコ航空機が離陸直後、経路を逸脱し、東京タワーに接近し、管制官が2回、急いで急上昇をと指示し、危険性は回避されました。報道によると、トルコ空港は国交省に「パイロットが自動操縦への切り替えを忘れた人為的なミスが原因」と報告したとのことです。
航空評論家は、「近年も海外では離陸直後、高度が急降下するケースがあり、ヒューマンエラーや機材トラブルでも起きることがあり、リスクは考えなければならない」と語っています。やむを得ず不時着を迫られた場合、川崎側の離陸直後は住宅街や石油コンビナート地帯であり、大惨事になることは明らかです。
また、羽田空港を含む7空港において、部品欠落が2022年度は992個と公表されています。東日本大震災の時の市原市の高圧ガスタンクの連続爆発の原因は、ガスタンクの支柱が折れて配管に刺さり、ガスが漏れ引火したためでした。部品欠落などによる配管の破損でも大惨事につながります。
地域住民からも、「歩いていて、真上に大きな飛行機が飛んで、部品が落ちたりしないか心配だ」「万が一の飛行機事故があったらと思うと不安だ」など、不安を抱えながら毎日を暮らす声が寄せられています。
離陸直後に石油コンビナート上空に飛ぶ、世界でも類を見ない危険な羽田新飛行ルートは中止し、「海から入り海から出て行く」元のルートに戻すよう国に求めるべきです。市長に伺います。以上で質問を終わります。
市長:新飛行経路に関する安全対策等、国にその対応を求め・・・
福田紀彦 川崎市長(3期、米国ファーマン大学卒、元松沢成文衆院議員の秘書、51歳)
羽田空港の新飛行経路についてのご質問でございますが、本市といたしましては、羽田空港の機能強化の必要性を認識しており、新飛行経路に関する安全対策等について、国にその対応を求め、責任を持って対応する旨の回答を得ておりますので、引き続きその対応状況を確認してまいります。以上でございます。
雑感(川崎市議会のネット中継がスゴイ!)
羽田新ルートに係る議会での質疑応答状況については、東京23区のうち、羽田新ルートが上空を通過する13区を中心にブログにアップしてきた。埼玉や神奈川をあまり取り上げないのは、そこまで手が回らないというのが理由である。
過去に川崎市議会での質疑応答を取り上げたのは、1度だけ。2018年の第4回定例会(12月6日開催)。このときは、片柳進議員(共産党)が新ルート案の撤回を「国や県に求めるべき」と質問したのに対して、今回と同じような答弁をしている。
羽田空港の機能強化の必要性につきましては、本市といたしましても認識しているところでございますが、引き続き新飛行経路の必要な対応について、国の責任により確実に実施していくことをしっかりと求めてまいります。
今回、わざわざ川崎市議会での質疑応答を取り上げたのは、質疑内容ではなく、川崎市議会のネット中継の先進性を他の自治体の議員・市民に知ってもらいたかったからだ。
川崎市議会のネット中継動画は、質疑応答内容がリアルタイムで文字表示されるのである。しかもルビ付き。
音声から文字への変換精度は極めて高く、今回ブロブにアップした範囲では、誤字はほとんど見当たらなかった(次図)。
※本会議(字幕付き)の録画映像は、会議録が市議会ホームページに掲載されるまでの間、公開されている。
川崎市議会のさらにスゴイところは、透明性の高さ。本会議だけでなく、常任委員会などの生中継・録画も視聴できる(次図)。
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