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羽田新ルート「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)」に不都合な真実!?

国交省が羽田空港を離発着した航空機の航跡動画・航跡図を閲覧できるサイト「羽田空港飛行コースホームページ」をリニューアルオープンしたのは20年3月26日(羽田新ルートの運用が始まった3日前)。

このサイトで公開されているデータは、「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)」で運用されている。

開示請求によって入手した「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)」 の調達仕様書をひも解くと……。

※投稿23年11月6日(追記23年11月21日)


もくじ

航空機騒音実態把握システム(Ntrack)、たびたび不具合

国交省は毎翌日(土日祝日を除く)「羽田空港飛行コースホームページ」で「航跡動画」「航跡図」「過去の運用状況」を公開している(次図)。

羽田空港飛行コースホームページ
(「航跡動画」の例)

筆者は「航跡動画」情報を元に、到着ルート別に1機ごとの機種・着陸時刻を拾い、毎月初、可視化分析結果をこのブログで紹介している(次図)。

飛行機数・日数の月次変化(南風時の到着ルート)
南風時の都心低空飛行ルート運用実績を可視化(23年10月)」より

 

国交省が「羽田空港飛行コースホームページ」で公開しているデータは、羽田新ルートの運用状況を分析するうえで、とても貴重な一次データなのだが、最近はたびたび不具合を起こしている。

筆者の調査によれば、システム不具合によるデータ欠損は、7月は4日分(7月18日~20日、24日。次図)。また、「翌平日の午後以降の公開予定」とされているが、たびたび公開が遅れている(8月25日9月1日9月15日)。

そして遂に、9月22日のトルコ航空199便に係るデータ操作疑惑が発覚する。

羽田空港飛行コースホームページ_システムトラブル

システム不具合のため復旧作業を行っておりました令和5年7月18日、19日及び20日の航跡動画・航跡図につきましては、データ破損のため公開することができなくなりました。

システムの計画停止のため、以下の日時は航跡図等表示ができなくなっております。
令和5年7月24日14時50分~令和5年7月24日23時41分

さらに、11月4日(土)~6日(月)の午前中まで、「羽田空港飛行コースホームページ」にアクセスできなくなってしまった(次図)。

※11月6日(月)午後、アクセスできるようになった。

このサイトにアクセスできません

開示請求でNtrackの仕様書が明らかに

なんとも調子の悪いシステムなのであるが、システムの詳細はほとんど公開されていない。

国交省に開示請求して入手した同システムに係る複数の文書のなかから、国交省が18年8月に作成した「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)一式 の調達仕様書」(PDF:546KB)に興味深い情報が掲載されていたので、紹介しよう。

「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)」には、様々なシステムがぶら下がっている(次図)。

航空機騒音実態把握システム(Ntrack)
拡大

 

「航空機騒音実態把握 システム(Ntrack)」は、システムの「調達」と「保守」に分けて、契約されている(次表)。

表 2-1 本件と関連する調達案件
P5より

日本電気は「調達」を6億2,640万円で、「保守」を複数年にわたって毎年2千万円弱で受託している(Ntrackのシステム設計~維持管理費、落札実績のまとめ)。

※18年11月21日に公示された官報には、日本無線が「調達」を6億2,640万円で落札したことになっているが、筆者が開示請求により入手した「製造請負契約書」(PDF:921KB)では18年10月26日に日本電気が契約を締結したことになっている(次図)。

※なぜ、日本無線ではなく日本電気が締結しているのかについては、国交省に照会し、回答待ち(11月6日現在)。

航空機騒音実態把握システム(Ntrack)_製造請負契約書


【追記】23年11月21日

官報に記載された落札者(日本無線)は間違い。実際に落札したのは日本電気だった。

詳細は「【追記】5年前の官報「日本無線」に間違い ⇒「日本電気」に訂正!」参照。

Ntrack仕様書に不都合な真実!?

全34頁からなる調達仕様書を読んでみると、気になる記載が目に留まった。

「羽田空港飛行コースホームページ」で公開される情報は、「必要に応じて(略)編集を行う」「スクリーニングにより公開可能な航空機のみとする」というのである。

騒音値確定業務

  • 騒音情報、使用滑走路情報及び運航情報等を収集し、照合することにより、航空機騒音照合情報として作成し、登録する。
  • 必要に応じて、自動判定された航空機騒音、使用滑走路情報、照合結果等の編集を行う

情報公開に係る業務

  • 共同受配信機関から提供される航空機位置情報から航跡動画と航跡図を作成し、騒音値、使用滑走路情報等と合わせて、インターネット経由で公開する。ただし、公開する航空機はスクリーニングにより公開可能な航空機のみとする。(東京空港事務所のみ)
  • 国の設置する航空機騒音測定局の測定結果をホームページに掲載する。

(P2/表 1-1   対象とする業務)

9月22日のトルコ航空199便に係るデータ操作疑惑の一旦を垣間見た気がする。

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