不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


トルコ航空199便、品川・港区上空を夜間に低空飛行(9月22日)【追記あり】

なぜ、トルコ航空199便ボーイング777(大型機)は9月22日(金)夜、品川・港区上空を低空飛行したのか、という話。

※投稿23年9月24日(更新23年11月13日)


もくじ

夜間、品川・港区上空に轟音響く

9月22日(金)22時37分頃、品川・港区上空に轟音を響かせて通過したことがX(旧Twitter)で話題になっていた。


【爆音注意】港区上空を夜中に飛行するトルコ航空機THY199 - YouTube

flightradar24で調べると、羽田空港C滑走路を北に向けて離陸したイスタンブール行きのトルコ航空199便ボーイング777-300ER(大型機)が22時37分頃、品川区上空を高度約600mで進入し、東京タワー北側を右旋回し、東京湾上まで南下した後、船橋上空約3,000mを経由して西北西方向に抜けていったことが確認できる(次図)。

トルコ航空199便の飛行ルート

なぜトルコ航空199便は、品川・港区上空を夜間に低空飛行したのか

本来であれば、C滑走路離陸後、すぐに右旋回し、海上ルートで船橋に向かわなければならない。

なぜトルコ航空199便は、品川・港区上空を飛行したのか。

じつは、航空交通管制(ATC:Air Traffic Control)が聴けるサイト「LiveATC.net」のアーカイブで当時の管制官とトルコ航空199便のパイロットのやり取りを視聴することができる(次図)。

「LiveATC.net」のアーカイブ

具体的なやり取りを傍受することは問題ないが、通信内容を文字起こしして公開することについては、日本では電波法59条(秘密の保護)に抵触する可能性があることから(過去に同法により処罰された例はないので、実際的に問題ないという情報もあるが)、要点のみ言えば次の通りだ。

自動操縦システムの設定などのトラブルによって生じたものらしい。

アーカイブ音声にうまくアクセスできない人、アクセスできても英語が理解できない人は、X(旧Twitter)で「THY199」で検索し、日本人(日本語)やドイツ人(英語)が当時のやり取りをポスト(ツイート)している内容を確認してみてください。

【追記1】トルコ航空199便、飛んでなかったことに!?

※追記23年9月25日

国交省が運営しているサイト「羽田空港飛行コース」に9月25日午後、9月22日の航跡動画と航跡図が公開されたので、トルコ航空199便を確認しようとしたら、衝撃的な状況になっていた。

航路図(22:00~22:59)には、品川・港区上空を飛行した跡がないのである(次図)。

航路図(22:00~22:59)

さらに、航跡動画(22:25~22:46)を確認したら、トルコ航空199便(B77W)だけが表示されていないのだ(動画30倍速:40秒)。


航跡比較(国交省vs.フライトレーダー24)- YouTube

動画では21分(22:25~22:46)の間に、次の4便がC滑走路から離陸していくのだが、flightradar24には表示されていたトルコ航空199便(B77W)だけが抜けているのである。

  • A359(エアバスA350-900)AY62ヘルシンキ行
  • 【B77W(ボーイング777-300ER)TK199】←抜けている!
  • B789(ボーイング787-9)NH116バンクーバー行
  • B789(ボーイング787-9)NH203フランクフルト行
  • B789(ボーイング787-9)JL72ホノルル行

トルコ航空199便は飛んでなかったことにされてしまったのだろうか……。

※追記23年9月26日

複数のフォロアーさんが羽田空港環境地域振興課(5757-3032)に電話確認した情報を整理すると、国交省が公開している「羽田空港飛行コース」の航跡動画・航跡図からトルコ航空199便(B77W)だけが表示されないのは、正確さを期すべく、トルコ航空に当時の状況をヒアリングしているため、ということのようだ。

でもホントにそうなのか。このブログによって、トルコ航空199便の非表示が知れ渡ってしまったので、そのように回答せざるを得なくなったということはないのか。

過去に「正確を期すために、航跡動画に表示させていない」事例がどの程度あったのか、知りたいところである。

【追記2】トルコ航空199便、飛んでいたことにする

※追記23年9月27日

9月26日午後、9月22日の航跡動画・航跡図が非公開になった(次図)。

9月22日の航跡動画・航跡図が非公開

ところが、翌27日05時に確認すると航跡動画・航跡図が公開されていた。

消されていたトルコ航空199便は、しっかりと記録されている(動画10倍速:42秒)。

高輪(港区立高輪台小学校)の最大騒音レベルは81dB(22時36分29秒)。


2023年22時20分~50分羽田発着便 - YouTube

↓ 航跡図には、トルコ航空199便の飛行ルートが記録されるようになった。

さて、「LiveATC.net」のアーカイブで当時の管制官とトルコ航空199便のパイロットのやり取りを視聴すると、当時かなりヤバい状況だったことが分かる。

このあとの追及は、国会議員(羽田低空飛行見直しのための議員連盟)とマスメディアに期待したい。

【追記3】トルコ航空199便航跡図、修正前後の比較

国交省が運営しているサイト「羽田空港飛行コース」に「航跡図の表示不具合について」が掲載された(10月4日05時から10月5日05時の間に掲載された)。

航跡図の表示不具合について

〇航跡図の表示不具合について
9月22日(金)22時台にC滑走路から離陸した航空機の一部の航跡図について、システム不具合により実際の航跡と大きく異なる表示があることから、より正確な航跡をお知らせします。
https://www.ntrack.mlit.go.jp/appx/230922_B77W.pdf
(筆者:リンク切れ対応PDF

修正前の航跡図(10月5日05時現在も表示されている)と修正後の航跡図(国交省が言うところの「より正確な航跡」)を比較してみた(次図)。

修正前の航路図のほうは、品川・港区上空を飛行していなかったフェイク航路図であったことが確認できる。

航跡図(修正前後の比較)

修正前の航跡図が適切に表示されていなかった理由として国交省は「システム不具合」を掲げているが、ホントなのだろうか………。

【追記4】トルコ航空199便に係る国交省の対応など(一覧表)

港区議会の「23年第3回定例会」決算特別委員会の総括質疑(10月4日)によって、事案発生以降の国交省・区・議員の情報の流れが明らかになった。
そこで、国交省が行った航跡動画・航跡図の非公開・公開操作とあわせて、一覧表にまとめたおいた(次表)。

国交省が9月25日から26日にかけて、慌ただしく情報操作をしていたことが分かる。誰がどのような判断をしてこのような情報操作が行われたのか、気になるところだ。

トルコ航空199便に係る国交省の対応など

【追記5】国交省に照会した結果

国交省「航空機騒音に関するお問合せはこちらへ」を使って、本事案が発生した理由・再発防止策を照会した顛末を以下に記す。

筆者問合せ(9月24日)

(1)なぜ、夜遅く大型機が品川区上空を低空で飛行したのでしょうか?
(2)再発防止策を教えてください。

なぜ夜遅く大型機が品川区上空を低空で飛行したのか照会(9月24日)したところ、9日後(10月3日)に回答メールが届いた。

羽田空港航空機騒音等相談窓口からの回答(10月3日)

以下回答メールは、お客さま個人に宛てたものですので、メール内容の一部または全部を転用したり、二次利用することはご遠慮ください

羽田空港航空機騒音等相談窓口です。
お問い合わせをいただきました件につきましてご回答いたします。

○9/22THY199便が都心上空を飛行した件について

***回答内容が記されている***

いつものように「二次利用することはご遠慮ください」と記されていたので、羽田空港航空機騒音等相談窓口宛に次のメールを送った(10月3日)。

回答の一部をブログ等で引用したいと考えております。引用する部分は公の利益に資する情報であり、個人情報や機密情報は含まれておりません。許可をいただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

待てど暮らせど返事がないと思ったら、1か月近く経って(11月6日)次の自動返信メールが届いた。

※こちらは自動返信メールです。返信はできませんのでご了承ください。
------------------------------------------------------------------

お問い合わせありがとうございます。

大変申し訳ありませんが、本URLによる返信の受付は終了させていただきました。
お手数ではありますが、再度
https://www.ntrack.mlit.go.jp/inquiry/input
よりお問合せ下さい

勝手に「受付は終了」しておいて、再度「お問合せ下さい」もないだろうと思いながら、次のメールを送った(11月6日)。

10/3の回答メールにつき、
回答の一部をブログ等で引用したいと考えております。引用する部分は公の利益に資する情報であり、個人情報や機密情報は含まれておりません。許可をいただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

7日後(11月13日)に羽田空港航空機騒音等相談窓口から次の回答が届いた。

羽田空港航空機騒音等相談窓口です。
11月6日にお問い合わせをいただきました件につきまして回答いたします。

回答メールの二次利用につきまして、ご遠慮いただいてるところではございますが、制限するものではありません。
今回のご回答はお客さま個人にあてたものであることをお含みおきいただきますよう、お願い申し上げます。

最初に「二次利用することはご遠慮ください」と言ってしまった手前、筆者の主張「引用する部分は公の利益に資する情報であり、個人情報や機密情報は含まれておりません」に対抗できるアイデアがなく、引っ込みがつかなくなったであろうか。

「個人にあてたものであることをお含みおきいただきますよう」という、なんとも曖昧で、いかにも役人らしい文書である。

最初に問い合せてから2か月近く経てようやく公開できるようになった回答は次の通りである。内容的にはすでに陳腐化している。

※読みやすいように、箇条書き形式にするとともに太字(一部朱書き)にした。

○9/22THY199便が都心上空を飛行した件について

  • 9月22日(金)22時35分に羽田空港C滑走路を離陸したターキッシュエアラインズ199便(羽田→イスタンブール)が通常と異なる経路(都心上空)を飛行しました。
  • 本件は当該パイロットによる機上システムの誤操作に起因するもので、経路の逸脱に気づいた管制官が本来の飛行経路に戻す指示を行ったが、結果として通常と異なる経路を飛行することになりました。
  • その後は問題なく飛行できることを確認し、本来の経路に戻った後は通常通りの運航で目的地まで飛行しました。
  • なお、本件において負傷者や機体の損傷はなく、他の航空機や地上物件との安全上の問題はありませんでした
  • 本事案につきまして航空局から当該航空会社に対し、原因究明と再発防止策の策定を指示するとともに羽田就航航空会社に対して、事例の共有と注意喚起を実施しております。

あわせて読みたい

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.