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航空機騒音実態把握システム(Ntrack)、気になる落札情報

国交省が羽田空港を離発着した航空機の航跡動画・航跡図を閲覧できるサイト「羽田空港飛行コースホームページ」をリニューアルオープンしたのは20年3月26日(羽田新ルートの運用が始まった3日前)。

このサイトで公開されているデータは、「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)」で運用されている。同システムの設計から維持管理に係る一連の業務の落札情報を辿っていくと……。

※投稿23年8月17日(追記23年11月21日)


もくじ

航空機騒音実態把握システム(Ntrack)

国交省は毎翌日(土日祝日を除く)「羽田空港飛行コースホームページ」で「航跡動画」「航跡図」「過去の運用状況」を公開している(次図)。

羽田空港飛行コースホームページ
(「航跡動画」の例)

筆者は「航跡動画」情報を元に、到着ルート別に1機ごとの機種・着陸時刻を拾い、毎月初、可視化分析結果をこのブログで紹介している(次図)。

南風時の都心低空飛行ルート運用実績を可視化
南風時の都心低空飛行ルート運用実績を可視化(23年7月)」より

 

国交省が「羽田空港飛行コースホームページ」で公開しているデータは、羽田新ルートの運用状況を分析するうえで、とても貴重な一次データなのだが、欠損することがある。最近は特にひどく、7月は4日分(18~20日、24日)のデータが表示不能となっている(次図)。

羽田空港飛行コースホームページ_システムトラブル

システム不具合のため復旧作業を行っておりました令和5年7月18日、19日及び20日の航跡動画・航跡図につきましては、データ破損のため公開することができなくなりました。

システムの計画停止のため、以下の日時は航跡図等表示ができなくなっております。
令和5年7月24日14時50分~令和5年7月24日23時41分

 

「羽田空港飛行コースホームページ」をひも解いているうちに、いまさらながらではあるが、URL(https://www.ntrack.mlit.go.jp/NtrackTop/show)に「ntrack」という文字が含まれていることに気がついた。

ひょっとして、「ntrack」とはNoize(航空機騒音) track(追跡)の略称なのではないか。

そこで思い当たるのは、「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)」だ。東京航空事務所がここ数年、毎年競争入札に出している案件である。

Ntrackのシステム設計~維持管理費、落札実績のまとめ

「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)」でネットをググると、同システムの設計から構築、その後の維持管理まで、どの業者がいくらで落札したのか見えてきた(次表)。

まず、17年度に三菱総研が3,888万円でNtrackの構築に関するシステム設計を落札。ついで18~19年度に日本無線が年度を跨ぎ6億2,640万円でNtrack一式の調達を落札。20年度以降は、日本電気が毎年2千万円弱で「運用監視及び保守作業 」を、航空保安研究センターが2,300万円前後で「データ編集作業」を落札している。

「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)」に係る落札実績

上表を見て疑問に思うところはないだろうか。

航空保安研究センターが毎年”おいしい業務”を受注している、ということではない。

18~19の年度を跨ぐ業務「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)一式の調達」を日本無線(株)が6億2,640万円で落札しているのに、20年度以降の「運用監視及び保守作業 」にも「データ編集作業」にも日本無線が登場しないのである。

なぜ、日本無線は維持管理フェーズに登場しないのか。なぜ、日本無線でなく日本電気なのか。

なぜ、日本無線でなく日本電気なのか 

なぜ、Ntrackの一式調達を担った日本無線でなく、日本電気が「運用監視及び保守作業 」を毎年落札しているのか?

興味深い仮説を立てることができたので、国交省に関連資料を開示請求し、同資料を入手後、明らかにすることとしたい。

※国交大臣宛に開示請求済み(8月17日)。開示データ入手には1か月程度を要するので、本項を追記するのは9月下旬頃か……。

※追記23年9月15日

23年9月14日、「開示決定等の期限の特定規定の適用について(通知)」を受領。

Ntrackに関連して3件の開示請求していたのだが、いずれも「当該開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため」開示決定期限を延伸するという。3件のうち2件は「12月15日までに開示決定等する予定」ということだから、開示文書が筆者の元に届くのは年明けの可能性も。本件担当者はその間、のり弁の作成に励むのか……。

開示決定等の期限の特定規定の適用について(通知)
「開示決定等の期限の特定規定の適用について(通知)」3件のうちの1件

【追記】5年前の官報「日本無線」に間違い ⇒「日本電気」に訂正!

※追記23年11月21日

18年11月21日の官報に掲載された「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)一式の調達」の落札者は日本無線となっている。
ところが、開示請求によって入手した製造請負契約書には、日本電気が18年10月26日付けで「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)一式の調達」の契約を締結している(次図)。

「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)一式の調達」に係る製造請負契約書
羽田新ルート「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)」に不都合な真実!?」より


なぜ、同じ件名なのに契約者が一致しないの? なぜ、官報の日付よりも契約締結日が古いの?

真実を知るために、「国土交通省ホットラインステーション(航空関係)」を使って、質問してみた(11月6日)。

平成30年11月21日の官報に掲載された「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)一式の調達」(下記URL)によれば、落札者は日本無線となっています。
https://kanpou.npb.go.jp/old/20181121/20181121c00220/pdf/20181121c002200073.pdf

ところが、実際には日本電気が平成30年10月26日付けで「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)一式の調達」に係る製造請負契約書を締結しています。

  • 質問1:なぜ官報で公示された日本無線でなく、日本電気が契約したのでしょうか?
  • 質問2:日本電気の契約の契約締結日(平成30年10月26日)が官報掲載日(平成30年11月21日)より古いのはなぜなのでしょうか?

2週間あまりが経って(11月21日)、予想外の回答が送られてきた。

官報に記載された落札者が間違っていたというのである。

  • 質問1への回答
    平成30年11月21日付け官報にて行った落札者等の公示の情報に誤りがありました。
    正しくは、日本電気(株) 東京都港区芝5-7-1となります。
    公示情報の誤りにつきまして、令和5年11月17日付け官報(号外政府調達第217号)において「落札者等の公示の訂正」を行いましたので、併せて回答いたします。
  • 質問2への回答
    官報への落札者等の公示は、落札決定日の翌日から起算して72日以内に行う事となっております。

筆者の問合せによって、5年前の官報に掲載された落札者等の公示(日本無線が落札)を今になって訂正せざるを得なかった航空局関係者の前任者へのボヤキが聞こえてきそうだ。

「航空機騒音実態把握システム(Ntrack)」に係る落札実績

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