なぜ、多くの国民が寛いでいる元旦に小型機が飛び回っているのかご存じだろうか。
元日、課税当局が空から見ている
今年もまた元旦に、首都圏上空を複数の小型機が飛び回っていた。
飛行経路が確認できるFlightradar24で調べて見ると、12時に6機の小型機が飛んでいたことが確認できる(次図)。
(flightradar24 23年元旦12時現在)
なぜ、多くの国民が寛いでいる元旦に小型機が飛び回っているのかご存じだろうか。
「航空写真を活用した固定資産の現況調査の推進について(平成5 年 6 月22 日自治評第 26 号各都道府県総務部長、東京都総務・主税局長宛て自治省税務局資産評価室長通達)」以降、多くの自治体が空中写真撮影を活用した固定資産の調査を実施している。
評価替えの基準日は1月1日なので、この時期に空中撮影が集中するというわけだ。
空撮による固定資産調査結果が大きな収入源につながっている大都市圏では、年末年始の恒例行事となっているのである。
なお、課税主体は、税務署ではなくて、「その固定資産の所在する市町村」(地方税法第5条第2項)である。また、東京23区内では、区ではなく都が課税している(地方税法第734条)。
23年元旦、どの地域を見ていたのか
Flightradar24のデータをつぶさに見ていくと、10時頃から13時頃までの間に少なくも9機の小型機が特定のエリアをなめるように飛行している様子を確認することができた。
以下、順に図説する。
立川市周辺
セスナ208型機が立川市周辺を飛行。
日野市周辺+伊勢崎市周辺
セスナ208型機が日野市周辺と伊勢崎市周辺を飛行。
中央線沿線+多摩地区の中央部+埼玉県中部
セスナ208型機が中央線沿線、多摩地区の中央部(立川市・日野市・多摩市・町田市など)、埼玉県中部(鴻巣市・川島町・北本市・上尾市・桶川市・川越市など)を飛行。
町田市・多摩市
機種不明の小型機が町田市・多摩市周辺を飛行。
千葉県西部
JA282J(小型プロペラ機)が千葉県西部を飛行。
成田市周辺自治体
セスナ208型機が成田市周辺自治体の飛行。
浦安市+神奈川県北部
セスナ208型機が浦安市と神奈川県北部(横浜市・川崎市・相模原市)を飛行。
千葉県南東部+神奈川県中部
JA8890(アジア航測で登録されているセスナ208型機)が千葉県南東部(勝浦市・大多喜町・御宿町)と神奈川県中部(茅ヶ崎市・寒川町・海老名市・座間市・綾瀬市)を飛行。
千葉県中部+神奈川県中部
JA8229(アジア航測で登録されているセスナ208型機)が千葉県中部と神奈川県中部(伊勢原市・厚木市)を飛行。
空撮によりあなたの不動産は丸裸
こっそりと増築したつもりでも、空撮によりあなたの不動産は丸裸にされているのだ。
固定資産税の対象となる資産は、土地と建物。具体的には次のようになっている。
- 土地
- 田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地(雑種地)をいいます。
- 家屋
- 住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含みます。)、倉庫その他の建物をいいます。
特に、気を付けたいのは、カーポートと物置。
課税対象の3要件(外気分断性、土地への定着性、用途性)を満たすと課税対象となる可能性がある。
左右と奥行きの3方向以上が壁に囲まれたガレージタイプのカーポートや基礎で固定された物置は、課税されてもおかしくないのだ。
あわせて読みたい