「事故物件住みます芸人」を売りにしているピン芸人・松原タニシ氏の3作目『事故物件怪談 恐い間取り3』二見書房 (2022/7/11)を読了。
1作目と2作目は読了済み。帯に「著者累計33万部ベストセラー」と記載されていたのを見て勢いで「恐い間取り3」 も読んでしまった。
「著者累計33万部ベストセラー」になれたのは、亀梨和也の主演で20年夏にホラー映画化された影響が大きいのではないか。
今作は伝聞が多く、第1章(僕と事故物件)と第5章(事故物件と僕)以外の章には「ホントか!?」と思うようなエピソードが並んでいる。
どちらかといえば「怖い間取り」というよりも、話のほうに重心が置かれている。
まあ、野暮なことは言わない。文章は以前にも増して読みやすくなっているので、単に怖い話を読みたい人にとってはホラーなエンターテイメントに仕上がっている。
住みよい長屋
2022年、僕は一軒家の事故物件を探しでいた。
今まで借りてきた十三軒はすべてマンションかアパートだ。
つまり、いずれも建物の一室が事故物件ということになる。
自殺、殺人、孤独死、オーバードーズ、墓の上、行方不明……いろんなパターンの物件を借りてきた。しかしどれも「一室」という意味では同じだ。建物自体が事故物件にあたる一戸建て、一軒家に僕はまだ住んだことがない。だから、住んでみたい。何が違うのか確かめたい。SNSで募集をかけた。
「一軒家の事故物件の情報をお持ちの方、連絡ください」すると、ある人が滋賀県にある一戸建て事故物件が賃貸で募集されていることを教えてくれた。ちなみに「一軒家」と「一戸建て」の違いは、「一軒家」の方が周りに人家がなくぽつんと建っている家のことを表しているみたいだが、一般的にはだいたい同じ意昧で使っても大丈夫らしい。
一戸建て事故物件の入居者募集をしていたのは「成仏不動産」だった。それは株式会社MARKSが運営する、事故物件を専門に取り扱うウェブサイトのことだ。僕も取材で関東の事故物件を内見させてもらったことが一度ある。(以下略)
(P63/第1章 僕と事故物件)
※成仏不動産
「発見まで72時間未満の孤独死・病死物件」「発見まで72時間以上の孤独死物件」「火事や事故で人が亡くなった物件」「自殺物件」「殺人物件」と心理的瑕疵に応じて5段階区分で物件が紹介されている。
本書の構成
全5章、319ページ。
- 第1章 僕と事故物件
- 第2章 不幸と事故物件
- 第3章 不思議と事故物件
- 第4章 霊感と事故物件
- 第5章 事故物件と僕
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