「事故物件住みます芸人」を売りにしているピン芸人が書いたというところに惹かれて、『事故物件怪談 恐い間取り』二見書房 (2018/6/26)をアマゾンで購入。税込み1,512円。
松竹芸能所属のピン芸人松原タニシ氏がこれまでに住んだ事故物件5件(第1章 僕と事故物件)のほか、知り合いなどから聞いた事故物件(第2章 誰かの事故物件)、著者が実際に確かめに行った事案(第3章 土地の事故物件)が間取りや地図などと共に紹介されている。
「事故物件怪談」と冠されているだけあって、夏の暑さを忘れさせてくれるかも……。
※以下、「第1章 僕と事故物件」からのピックアップ3件。
事故物件2件目:大阪 2DK 2万6千円
不動産屋から紹介された3件の事故物件のなかから、殺人のあった物件を決めるくだり。
「事故物件ありませんか?」
単刀直入に尋ねたところ、不動産屋は次の三つの物件を提示した。
- 2DK 2万6千円
- 2DK 2万7千円
- 3LDK 4万3千円
どれも安い。破格。
僕はそれぞれ何かあった部屋なのかを尋ねた。
「二文字でしか答えられませんが……」
不動産屋はそう言ってから、それぞれの部屋の死因を教えてくれた。
- 2DK 2万6千円「殺人」
- 2DK 2万7千円「自殺」
- 3LDK 4万3千円「病死」
僕は立地と安さから「2DK 2万6千円の殺人」を選んだ。(P23)
事故物件にようやく慣れはじめたある日のこと、携帯の留守電に入っていた、”ゴボゴボゴボ”という奇妙な音は、恐怖の体験に……。
事故物件4件目:千葉 1K 1万7千円
東京での仕事も増え、関東にも拠点となる事故物件を求め、不動産屋から紹介された10件のなかから即決するくだり。
「東京は事故物件でもそれなりに高いですね」
そう言って見繕ってくれた約10件。確かに都内であれば事故物件でも5万円を超えるものが多い。その中に2万円台の物件を見つける。
- 千葉
- 1万7千円
- 薬の過剰摂取により女性死亡
- 今年1月、死後10日後に発見。
「ここにしましょう」
経済的理由で、僕は即決した。(P45-47)
テレビ番組の取材で、この部屋にカメラが入ったが、タレントは家の前に着くと「どうしても入れない」と泣き出してしまい、部屋には入らずにロケが終了。
番組スタッフが撤収作業をするなか、スタッフの女の子がその場に立ち尽くし、フロアにあった柵を指差して言ったのは――。
事故物件5件目:大阪 3DK 3万円
著者が“事故物件ロンダリング”に一役買った物件。
事故物件は基本、前の住人が亡くなっていることを次に住む人に告知しなければいけない義務がある。しかし、一度でも誰かが入居すれば、告知義務がなくなる、というルールがある。つまり、前の前の住人の死亡は伝えなくていいのだ。
西門さん(注:著者の馴染みの不動産担当の上司)は真っ先に僕の顔が頭に浮かんだらしい。「事故物件住みます芸人」である僕が住んだ事故物件は、その次に住む人にとっては事故物件でなくなる(厳密には“告知義務”がなくなる)。
もし僕がそこに「住みたい」と言えば、オーナーの悩みは解決されるわけだ。これが実現すれば、まさに“事故物件ロンダリング”である。(P49)
賃貸契約を結ぶにあたり、室内外の撮影・公開禁止、近隣住民に所在地を推察されないように注意することなどが書かれた「確認書」もついてきたという。
【追記】映画化、主演 亀梨和也
※20年5月26日追記
『事故物件 恐い間取り(仮)』として、8月28日(金)から全国公開。
主演:亀梨和也
監督:中田秀夫
脚本:ブラジリイー・アン・山田
『事故物件怪談 恐い間取り』二見書房
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