メディア報道では首都圏の新築マンションの平均価格「バブル期超え」で盛り上がっていたが、物価補正すると「バブル期超え」ではなかったという話。
キッカケはK氏のツイート
不動産経済研究所が4月18日に発表した「首都圏新築分譲マンション市場動向2021年度」では、首都圏の新築マンションの平均価格がバブル期超えの6,360万円であったことが話題になった、との書き出しで「マン点流!見える化(新築億ション、どのくらい増えているのか) | スムログ」を投稿したところ、日本証券アナリスト協会認定アナリストのK氏から興味深いツイートを頂戴した。
日本はインフレ考えないでバブル超えとか言ってるから。
インフレを考えたら本邦マンション市場は全くもってバブルではない。
首都圏新築分譲マンションの平均発売価格は、バブル絶頂期の90年度に6,214万円を記録。21年度は6,360万円だからバブル期を146万円上回っている(次図)。
メディア報道、「バブル期超え」で盛り上がる
メディア各社の報道では、次のように「バブル期超え」で盛り上がっていた。
- (読売)首都圏の新築マンション、平均価格6360万円…バブル期超え過去最高に
- (毎日)新築マンション価格、バブル超え6360万円 1戸平均
- (産経)マンション価格バブル超え 3年度首都圏6360万円
- (共同通信)首都圏マンション価格バブル超え 21年度新築、6360万円
- (日刊スポーツ)首都圏の新築マンション価格がバブル期超え「パワーカップル」中心に都心タワマンなど人気
- (TBS NEWS)バブル期超え過去最高に 首都圏マンション平均価格6360万円
物価補正すると「バブル期超え」ではなかった
スムログの記事でも「首都圏新築マンション平均価格、バブル期超え6,360万円」という小見出しを使ったのだが、K氏の指摘が気になった。そこで、首都圏新築マンションの平均発売価格を物価補正してみた。
具体的には、「2020年基準の消費者物価指数(東京都区部 年度平均)」の総合指数を用いて物価補正したのが次のグラフだ。
2020年基準で補正すると、90年度の6,618万円に対して、21年度は6,360万円。その差258万円。バブル期よりも258万円下回っている!
ということで、消費者物価指数で補正すると、21年度の首都圏新築マンションの平均価格はバブル期を超えていないというのが、本日の結論。
あと、蛇足ではあるが、消費者物価指数(上図の緑色線)は、98年度の101.7をピークに下降し、12年度に95.1と底を打ったあと、19年度にようやく100に回復するという、日本経済のデフレ状況を確認することもできた。
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