不動産経済研究所は2月20日、「全国マンション市場動向(2019年のまとめ)」を発表。
全国発売は12.0%減の7万660戸。3年ぶりの減少で1976年以来の低水準に。
首都圏15.9%減、近畿圏13.9%減、東海・中京圏9.1%減と大都市圏が減少。
平均価格は4,787万円。前年比28万円・0.6%アップで三度最高値を更新。
不動産経済研究所が発表した資料には、過去10年間の全国のマンションの発売戸数や価格などのデータが表形式で掲載されている。最近の新築マンションの市場動向を知るための貴重な情報が満載だが、いかんせん数字の羅列なので直観的に理解しづらい。
マスコミ情報では物足りない人のために、過去に発表されたデータも含め、首都圏のデータを中心に可視化(グラフ化)したうえで、考察を加えてみた。
発売戸数の動向
首都圏発売戸数:4年連続で4万戸を下回る(00年代前半の半分以下)
首都圏の発売戸数は、ワイドスパンで見ると05年(耐震偽装事件発覚の年)以降、減少傾向にある(次図)。14年4月の消費税増税前の需要先食いで13年に増加するが、減少傾向に歯止めは掛かっていない。
4年連続で4万戸を下回る。00年代前半(8~9万戸)の半分以下。
23区発売戸数:19年は遂に1.4万戸を下回った
23区の発売戸数も、ワイドスパンで見ると05年(耐震偽装事件発覚の年)以降、減少傾向にある(次図)。14年4月の消費税増税前の需要先食いで13年に増加するが、減少傾向に歯止めは掛かっていない。
19年は遂に1.4万戸を下回った。
価格の動向
首都圏の平均価格:13年以降上昇、6千万円目前に鈍化
首都圏の平均価格は、13年以降上昇傾向にあったが、6千万円目前に鈍化(次図)。
また、首都圏の平均単価のほうも、13年以降上昇傾向にあったが、90万円を目前に鈍化。
23区の平均価格:13年以降上昇、7千万円超で鈍化
23区の平均価格も、13年以降上昇傾向にあったが、7千万円を超えたあたりから鈍化(次図)。
23区の平均単価は、13年以降上昇傾向にあったが、18・19年は鈍化(次図)。
10年間でより狭く、より高くなった
23区のデータをもとに、横軸に「専有面積」、縦軸に「分譲価格」で描いたのが次のグラフ。
- 07年~09年は、面積が小さくなり価格が低下。
- 09年~14年は逆に、面積が大きくなり価格が上昇。
- 14年~18年は、面積は小さくなるが価格は上昇するという、マンション購入者にとっては最悪の状況。
- 19年は、面積が若干広くなったが、価格も若干上昇した。
ザックリいえば、23区の新築マンションはこの10年間で狭くなったのに、分譲価格は約2千万円上昇しているのである。
首都圏においても、23区と概ね同じような傾向である(次図)。
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