不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


UR賃貸、特別募集住宅(事故物件)の掲載状況 ※適宜更新

事故物件を紹介しているサイトは多々あれど、UR賃貸が専用ページを設けていることをご存じだろうか。

※投稿20年11月5日(更新24年3月10日)


もくじ

掲載されているのは、5地域141物件なのだが…

UR賃貸の場合、事故物件とは言わず、「特別募集住宅」となっている。

特別募集住宅一覧

  • 特別募集住宅は、お住まいの方が物件内などで亡くなられた住宅です。
  • ご入居から1年間または2年間、家賃が半額に割り引かれる住宅があります。(物件により異なります。)

 

掲載されているのは、5地域(関東 、東海 、関西 、中国 、九州)141物件(20年11月4日現在)。

特別募集住宅一覧


ところが、それぞれの府県の物件をクリックしてみると、「物件」の数よりも多い数の住戸が表示される。

たとえば、「神奈川県(10物件)」では、13住戸が表示される(次図)。

「神奈川県(10物件)」は、13住戸


どうも「物件」の数は、団地の数のことを意味しているらしく、実際に表示されるのは、当該団地の住戸数のようである。

関西のほうが関東よりも事故物件の割合が高い!?

地域ごとに、「物件の数(≒団地の数)」「当該団地の総戸数」「特別募集住宅の戸数」「総戸数に対する特別募集住宅の割合」を整理してみると、興味深い状況が垣間見える(次表)。

「総戸数に対する特別募集住宅の割合」、すなわち事故物件の割合が高い地域が存在するのである。

三重、広島、鹿児島は、相対的に事故物件の割合が高い地域。

UR賃貸の特別募集住宅一覧(20年11月4日現在)


鹿児島県としては1物件(1団地)しか登録されていないが、特別募集住宅の戸数としては4戸登録されている(次図)。

14階建ての団地で、事故物件となっているのは、4階と9階が各1戸、13階が2戸で、床面積は46~61m2。孤独死だったのだろうか……。

鹿児島県としては1物件(1団地)

 

あと、関西のほうが関東よりも事故物件の割合が高いのだが(関東の概ね2倍)、ホントなのか? 

じつは違った。UR都市機構へのメール照会で判明した(後述)。

UR賃貸に都内の事故物件が掲載されていなかった理由

特別募集住宅一覧を見て、すぐに気が付くことがある。

北海道・東北地域、それと都内の物件が掲載されていないのである(再掲、次図)。

北海道・東北地域、それと都内の物件が掲載されていない

 

なぜ、都内の事故物件が掲載されていないのか?

北海道や東北、東京では、人の死にまつわる事故物件をネットで扱うことに慎重な風土でもあるのか。

UR都市機構にメール照会したところ、予想外な答えが返ってきた。

筆者が閲覧した時点では、都内で募集した事故物件はすべて申し込み済みだったから、表示されていないのだという。

質問

「特別募集住宅⼀覧」のページに「関東」として、神奈川、千葉、埼⽟、茨城の物件は掲載されていますが、東京の物件は掲載されていません。

なぜ、東京の物件は掲載されていないのでしょうか?

 

回答

「関東」の「特別募集住宅一覧」につきましては、東京の物件についても、神奈川・千葉・埼玉・茨城と同様にホームページで御確認いただけますが、お申込みが入った住宅は、一覧に表示されなくなる仕組みとなっております。

お客様がご覧いただいた際には、東京の特別募集住宅が全てお申込み済みであったものと考えられます

関西のほうが関東よりも事故物件の割合が高い(関東の概ね2倍)結果(上表)となっているのは、関東のほうが事故物件の人気が高く募集一覧に残らないことが一因なのかもしれない。

 

なぜ、都内ではUR賃貸の事故物件は、引っ張りだこなのか?

UR賃貸と一般の賃貸物件との大きな違いは、礼金なし、仲介手数料なし、更新料なしに加え、保証人が必要ないこと。保証人が必要ないこともあり、外国人が借りやすい。事故物件を厭わない外国人が特別募集住宅に殺到しているのだろうか

あるいは、『事故物件 恐い間取り』映画のヒットを受けて、短期の居住ニーズがあって経済的にゆとりのない専門学校の学生などが、特別募集住宅に殺到しているのだろうか

ちなみに、現在募集中の全141団地・267戸の家賃の割引期間は、すべて1年。また、家賃の割引率は、4戸の「URライト(定期借家)住宅」の6割以外は、すべて5割。

【適宜更新】UR賃貸の特別募集住宅(事故物件)戸数・推移

※更新24年3月10日

UR賃貸の特別募集住宅(事故物件)戸数は大阪がダントツ。次いで兵庫。

UR賃貸の特別募集住宅(事故物件)戸数

 

特別募集住宅(事故物件)戸数の都府県別の推移を次図に示す。

大阪府内の事故物件の表示戸数は、21年9月の165戸をピークに減少していたが、23年10月に67件で底打ちしたあと、約70~90件の間で推移している。

UR賃貸の特別募集住宅(事故物件)戸数の推移

あわせて読みたい

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.