マンション専用の口コミ掲示板「マンションコミュニティ」で、羽田新ルート直下で販売中の大型タワーマンション(以下、「物件A」)の投稿を読んでみた。
羽田新ルート問題への関心はどの程度あるのか……。
口コミ掲示板への投稿件数を可視化
物件Aに投稿された件数は今年の5月17日の初投稿以来、4千500件を超えている(11月24日現在)。
これまでの投稿件数を見える化したのが次のグラフ。これまでの主なピークは、次の3つのイベントと関連していることが分かる。
- 5月16日:公式HPオープン
- 8月24日:モデルルーム・オープン
- 11月25日:第1期2次抽選(登録受付::11月16日~11月25日)
投稿数は、モデルルームオープン8月24日に向けて急増し、その後減少している。国交大臣の羽田新ルート運用開始宣言(8月8日)の影響は、なかったのか……。
口コミ掲示板への投稿者の関心の変化
物件Aの膨大な投稿データ(投稿件数4千500件、約40万文字)をもとに、投稿者の関心がどのように変化しているのか、テキストマイニング分析をしてみた。
フリーソフト「KH Coder」を使うことで、投稿文章を単語や文節で区切り、それらの出現回数や出現傾向などを解析することができるのだ。19年5月以降、月ごとに抽出した特徴的な言葉上位10語の変化を次表に示す。
10月に「リスク」という言葉が第10位にランクインしているが、羽田新ルートに関連しているわけではなく、10月12日に関東地方に上陸した台風19号が関連した投稿だ。
上表では、羽田新ルートに係る言葉はTOP10に入っていない。つまり、掲示板投稿者の羽田新ルート問題への関心は高くないことを意味している。高いとか安いとか、買えるとか売れるとか、(値)上がるとか、投稿者の関心はマンションの資産価値に関心があるようだ。
羽田新ルート問題への関心は高くない!?
さらに、共起ネットワーク分析をやってみた。この分析によって、どんな言葉が多く出現し、どの言葉とどの言葉が一緒に使われていたのかを探ることができる。
特徴的な言葉上位60語を対象に、共起ネットワーク分析した結果を次図に示す(円が大きいほど出現回数が多く、線が太いほど関係性が高いことを表している)。
羽田新ルートに係る「騒音」が上位60語にランクインしているものの、円は大きくない(すなわち、あまり語られていない)。
以上のように、物件Aに最も関心を寄せているであろう投稿者の投稿内容からは、現状では羽田新ルート問題への関心が高くないことが確認できた。
来年の1月30日から大型旅客機の試験飛行が始まる。掲示板への投稿内容がどのように変化していくのか……。
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