東日本不動産流通機構は11月10日、「月例マーケットウオッチ・サマリーレポート」(10月度)を発表。
同レポートには首都圏の中古マンション市場動向も記されている。
中古マンション
首都圏概況
- 成約件数は10月としては1990年5月の機構発足以降、過去最高となった。昨年10月の消費税率引き上げの影響もあり、前年比プラス31.2%の大幅増となっている。
- 成約m2単価は前年比で4.8%上昇し6ヶ月連続、成約価格は同5.4%上昇し5ヶ月連続で前年同月を上回った。
- 専有面積は前年比プラス0.6%であった。
地域別動向
- 成約件数はすべての地域が前年比で2ケタ増となり、各地域の増加率は前年比で10~40%台となった。
- 成約m2単価は神奈川県他を除く各地域が前年比で上昇し、東京都区部と多摩は6ヶ月連続で前年同月を上回った。
これだけではよく分からないので、同機構が過去に発表したデータも含め、首都圏中古マンション市場動向のトレンドを可視化した。
成約単価・在庫件数・成約件数の推移(首都圏)
首都圏の中古マンションの成約単価は、アベノミクスがスタートした12年11月以降新築マンションに引っ張られるように上昇し、17年4月に50万円を突破。その後は鈍化。19年2月頃から再び上昇傾向にあったが、20年1月をピークに足踏み状態(次図)。
20年10月の成約単価は56.04万円(前年同月比4.8%増)。
(新築マンションの発売単価は、不動産経済研究所データによる)
首都圏の中古マンションの在庫件数は、大きく波を打ちながら増加傾向にあったが、19年1月をピークに減少傾向(次図)。
首都圏中古マンションの成約件数の推移を次図に示す。
10月の成約件数3,636戸は、前年同月比31.2%増。
首都圏中古マンションの成約件数前年同月比の推移を次図に示す。
新型コロナ感染拡大の影響で、成約件数は4月に▲52.6%と大幅に減少したが、10月は31.2%まで戻した。
成約単価・在庫件数・成約件数の推移(1都3県)
1都3県の中古マンションの成約単価の推移を次図に示す。
都内の成約単価は、アベノミクスがスタートした12年11月以降上昇傾向にあったが、20年1月の74.82万円をピークに下落傾向。7月に反発したあと一進一退。
1都3県の中古マンションの在庫件数の推移を次図に示す。
都内の在庫件数は、大きく波を打ちながら増加傾向にあったが、19年2月をピークに減少傾向。
1都3県の中古マンションの成約件数の推移を次図に示す。
10月の東京都の成約件数は前年同月比33.5%増。
成約単価・在庫件数・成約件数の推移(23区)
23区の中古マンションの成約単価の推移を次図に示す。
都心3区の成約単価は、19年9月に120万円を突破し、その後足踏み状態が続いていたが下落傾向。7月以降大きく反発して130万円に届く勢いを見せたが、10月は下落(次図)。
23区では、次の順に成約単価が高い傾向が見られる。
都心3区>城西>城南>城北>城東
- 都心3区:千代田、中央、港
- 城西地区:新宿、渋谷、杉並、中野
- 城南地区:品川、大田、目黒、世田谷
- 城北地区:文京、豊島、北、板橋、練馬
- 城東地区:台東、江東、江戸川、墨田、葛飾、足立、荒川
23区の中古マンションの在庫件数の推移を次図に示す。
23区内の在庫件数は、減少傾向が見られる。
23区の中古マンションのうち、成約件数が多い城東地区と少ない都心3区の成約件数の推移を次図に示す。
両地区とも10月は大きく増加した。
まとめ
在庫が減少し価格が高止まりしている状況下で、10月は成約件数が跳ね上がった。
- 首都圏
成約単価は20年1月をピークに足踏み状態。10月の成約件数は前年同月比31.2%増。 - 都内
成約単価はアベノミクスがスタートした12年11月以降上昇傾向にあったが、20年1月をピークに下落傾向。7月に反発したあと一進一退。 - 都心3区(千代田、中央、港)
成約単価は、19年9月に120万円を突破し、その後足踏み状態が続いていたが下落傾向。7月以降大きく反発して130万円に届く勢いを見せたが、10月は下落。
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