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レオパレス21の施工不備問題を可視化 ※随時更新

レオパレス21では経理担当者が希望退職に殺到し、2度にわたって決算発表が延期された。9月30日にようやく2020年4~6月期決算の公表を行うことになった。

この混乱は、もとはと言えば18年4月に発覚した界壁施工不備問題に端を発している。

あれから2年と5か月が経過。調査対象となった39,085棟のうち何棟に不備があったのか。また、改修工事はどの程度進捗しているのか。そして入居率への影響は……。

同社が都度発表する資料は、数値データの羅列。全体像が把握しづらいので可視化してみた。

(投稿20年9月27日 ※更新20年10月1日


もくじ

39,085棟の約8割が施工不備(「軽微な不備」含む)

調査対象となった3万9085棟のうち、不備があった物件は「軽微な不備」を含めると約8割(77%)に上る(次図、20年8月末現在)。

「不備あり」13,626棟(35%)、「軽微な不備」16,457棟(42%)、「未判定」780棟(2%)、「不備なし」8,222棟(21%)。

レオパレス施工不備物件の調査結果の推移

 

「未判定」は2%にまで収束したので、次の関心は改修工事の終了時期だ。

施工不備物件の改修工事進捗状況

20年2月7日に公表された「2020年3月期第3四半期プレゼンテーション資料」では、「明らかな不備」の改修工事がすべて完了する時期は「2020年12月完了予定」で、「軽微な不備」のそれは「2020年6月を目途にスケジュールを発表」とされていた(次図)。

改修工事スケジュール


ところが、社員の大量退職が出ているところへ、新型コロナが追い打ちをかけたことから、改修工事の終了時期の見通しが立たなくなっている。8月末現在の計画では20年12月末までに2,000戸程度を完了させ目標を掲げるのが精一杯。

9月以降の改修計画

当社は、業績・財務面で厳しい状況が続いている中、構造改革の一環として希望退職を含む人的・物的資源の再配置を実施しており、施工不備対応に関わる施工規模・施工体制も一旦縮小しています。
こうした現下の状況においては、改修計画を暫定的なものとせざるを得ないことから、上記の施工体制のもと、当面の間は施工不備を原因として新規の入居者募集を保留している空室等を中心として、2020年12月末までに2,000戸程度を完了させることを目標に改修工事を進めてまいります。

それ以降の改修計画につきましては、経営改善の目処を立てたうえで施工規模・施工体制を見直し、改めてご報告させていただきます。

レオパレス21ニュースリリース 20年8月28日

 

※20年10月1日追記

20年9月30日に発表された「2021年3月期第1四半期プレゼンテーション資料」では、「今後の業績改善の目途が立った時点で、改修計画の見直しを行い改めて報告」とされた。

優先調査対象物件の改修着手率は85.4%、完了率は13.7%。十分な施工体制を維持できなかったことにより、改修工事が遅延。

施工不備対応遂行には業績回復が不可欠であり、希望退職の募集を含む人的・物的資源の再配置を実施することとし、2020年7月以降施工規模・施工体制を一旦縮小

明らかな不備の改修工事完了時期及び軽微な不備の物件の改修計画の報告時期については、今後の業績改善の目途が立った時点で、改修計画の見直しを行い改めて報告

(20年9月30日「2021年3月期第1四半期プレゼンテーション資料」P7)

 

これまでに発表された改修工事の件数データを可視化したのが次図。

施工不備物件13,626件に対して、改修工事が完了したのはたったの8%(20年8月31日現在)。すべての改修工事が完了するには程遠い状況であることが分かる。しかも下図には「軽微な不備」は含まれていない。

レオパレス施工不備物件の改修工事進捗状況

「不備あり」物件13,626件に対して、「未着手」5,177棟(38%)、「着手」7,394棟(54%)、「完了」1,055棟(8%)(20年8月末現在)。

入居率の推移

レオパレス21の施工不備問題が表面化したのは18年4月27日。入居率はその前月の3月(93.72%)をピークに低下し続けたあと、19年12月(78.91%)に底をつき、いったん上昇するも再び低下傾向を見せている(次図)。

20年5月に、支払いが収入を上回る「逆ざや」に陥るといわれている入居率80%を再び切り、8月現在78.18%まで低下

レオパレス21入居率の推移

 

なぜ、19年12月(78.91%)に底をついたあと、いったん上昇したのか。賃貸物件の内訳を可視化するとその理由が分かる(次図)。

すなわちこういうことだ。施工不備問題が発覚して以降、「優先調査対象物件」の新規入居募集を保留したことにより入居率が低下していたが、改修工事を進め、一部の募集を再開したことにより20年12月に反転したことが影響している。

↓ 更新20年10月1日

レオパレス21入居率の推移(内訳)

従業員数の推移

膨大な数の施工不備物件を適切に処理していくためには、現場要員だけでなく、経理要員においても適切な人員配置が不可欠だ。

ところが、経費削減のために実施した希望退職者を募った結果、1,067人もの応募があった(20年8月7日発表)。20年3月期の従業員数7,043人の15.1%にも上る。

従業員数の推移(実績と計画)を可視化したのが次のグラフ。

  • 20年3月期時点の人員配置は、全従業員7,043人(アルバイト・派遣社員は含まない)のうち、4割超を賃貸事業要員が占め、「開発(請負)」の一部を吸収した「全社(共通)」のコーポレイト要員は2割超にまで膨張した。
  • 20年6月5日に発表された「20年3月期 決算概要」では、「開発(請負)」要員は新賃貸事業に統合し23年3月期時点で2,900人(対20年3月期比▲878人、23%削減)にする計画となっている。新賃貸事業以外(=ほか)の要員は、2,300人(同▲965人、30%削減)(内訳未公開)。

レオパレス21従業員数の推移(実績と計画)
従業員数の実績データについては有価証券報告書を、従業員数の計画データについては20年6月5日に発表された「 20年3月期プレゼンテーション資料(2020年3月期 決算概要)」を参照した。

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